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【作品解説】FGO Twitterまとめ①

天界より愛をこめて。こんにちは。きらすけです。
今回はだいぶ前にPixivのほうに投稿した「FGO Twitterまとめ①」の中の作品のいくつかについてちょっとだけ話をしようかなというつもりです。普通に考えてlogに解説つけるの喋りすぎでおかしいんですけどまあいいじゃないですか。一応目的としてはTwitter上では前後に付け加えられるその作品の背景とかコンテクストがまとめになっちゃうと消えちゃうのがもったいないよなあと思ったのでというのがあります。
というわけでまずは解説する作品を。

しょーもない与太に解説することはないのでまじめな方の絵についてだけです。ページ数はPixiv準拠。

三枚目「ヴィヴ・ラ・」
マリーちゃんの絵です。かわい~ですね。かわいいと思います。
個人的にマリーアントワネットという人間がかなり好きなので一回くらいはまじめに描きたいと思って描きました。
スカートが長いのはオルレアンでの初登場時、「わたしはドレスを破ってでも、貴女に戦いを挑みます」というセリフがあったのをウルトラ拡大解釈して生前長かったドレスを今は破って戦っているのでは?ということにしています。拡大しすぎですね。
下の民衆らしき手が掲げている旗は有名なトリコロール。これはフランス革命以降に掲げられるようになったものです。
レクイエムイベントでもあったように、アヴェンジャーとしての適性も十分にありながら、フランスを愛し、民を愛し続ける今のマリーちゃんが大好きです。

四枚目「太陽系の果てでワルツを(Orbiting with you around Uranus)」
オベロンと捏造ティターニアの絵です。タイトルと絵の中の英語についてです。天王星の衛星はシェイクスピアの作品にちなんで名づけられているものが多いのですが、その中にはなんとオベロンとティタニアという名前の衛星もあるのです。太陽系のはるか果てで、二人がワルツを踊るみたいに近づいたり、遠ざかったりしながら回っているとしたら…エモすぎますね。そういう絵です。ただ僕のダンスを描く画力が残念過ぎてあまり思ったようにきれいにはいきませんでした。このネタはすっげ~エモいと思うのでオベロン界隈に広まってほしいです。
ティターニアの衣装や髪形については非常に苦戦しました。原典を読んだりいろいろ調べたりして、妖精らしく無邪気で、けれどどこか恐ろしいひと…というイメージで描こうとしたのですが、そうするとどうしてもオーロラになってしまうのです。デザインラフがいくつか残っているのですが、どうしてもオーロラから逃れられずめちゃくちゃ練り直した形跡があります。結局まずウェーブのかかった髪、オベロンとはまた違うトンボっぽい翅、オベロンと同じ冠や靴のリボン、ダンスのシーンなので動きに映える衣装というところまでは決め、そこから何パターンか考えました。少女らしさを意識したちょっとピクシー風のロマンチック・スタイルや童話風に豪華に、のロココ調なども考えましたが、最終的に森に住むエルフの女王的イメージでゴシック調に落ち着きました。頭にかぶっているヴェール付きのとんがり帽子ですが、実際にこういう風なのがあったそうです。シンプルながらも動きが映えて華やかなものを、ということでスカートには大胆にスリットを入れ内側からボリュームのあるフリルをのぞかせました。森のイメージから帽子や足の飾りには植物のモチーフを取り入れています。前髪は上げましたがアホ毛が出ているのはアルトリアをちょっと意識してみた感じです。
一番下のレイヤーにキラキラの画像(Lushのバスボムを入れたときのお風呂です)をいれ、その上を丸々青で塗りつぶし、スクラッチアートみたいな感じで描きました。宇宙っぽさが出てよくできた!と思っています。

五枚目「戻れない場所」
遠くまで来てしまったフジマルの絵です。白紙化した地球に夜が訪れるのかどうか知らないんですが(本編の背景はいつも晴れた空なので)、夜が来たらきっとすごくさみしいんだろうなと思います。ちょっと月面みたいかもしれません。
二部に入って一部を読み返すと、あの頃は全然今とは空気感が違ったよなと思わされるというか、ずいぶん遠くまで来ちゃったなという気持ちになります。過去に戻れないのは当たり前なんですが、それでももうあそこへは戻れないのだろうな、と思うことは心が痛むことです。
フジマルはこれからどこへいくのでしょうか。あれだけの罪を背負って、多くの人を殺して、一体彼/彼女の旅はどこへたどり着くのでしょう。どんな人も不可逆の旅をしているとは言え、彼/彼女の行く末は心配になります。
余談ですが、小説「西部戦線異状なし」の中でたびたび現れるテーマとして「若いうちに戦争へ行くこと」があります。いわく、「大人は職業とか、家庭とか、そういう『帰る場所』を持っている。大人にとって戦争に出るということは人生が一時的に中断されることであり、戻ってきたらまた元通りの生活を始められる。しかし若い人にとってはそうはいかない。彼らは戦争に行ったらまるきり人生のすべてを破壊され、戦争に染められてしまう。自分たちは戻った時に元のようにいられないだろう」という。フジマルもきっとそうなのだろうな、と思うと悲しいです。
あとこれはどうでもいい話なのですが、シャドウボーダーのサイズ感がわからないです。でかいということしかわからない。

六枚目「雨は止まない」
マシュとぐだちゃんの絵です。一部を読んでいて、二人の関係性はきっとこんな感じなんだろうなと思って描きました。マシュは大きな盾で先輩の身体を守る。マスターはマシュに傘を差しかけてあげて、彼女の柔らかな心を守ってあげる。自分が多少濡れてしまうことも構わずに。まあ実際戦闘中に傘さしてる場合じゃないですよ。ついてけませんからね。
下の英文は直訳すると「雨が止んだら散歩に行こうね」、意味としては「もう戦わなくてよくなったら、二人で一緒に遊びに行こうね、普通の女の子みたいにさ」という感じです。ですが、これは「If it should」、叶うはずのないことを話す仮定法。なので「雨は止まない」のです。

七枚目「一粒の麦、もし死なずば」
もう戻らない人の絵です。元ネタはヨハネの福音書12:24のイエスのことば、「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」(新共同訳)です。下のラテン語は原典からそのまま持ってきましたがラテン語がわからんので切った位置は適当です。
彼が死んで、世界は再び実りであふれる場所へと再生した。けれど、あなたの死体の上に実った麦なんか食べたくもありません。最悪です。けれど食べなければ彼の死は本当に無意味になってしまう。我々は吐き戻しながら、泣きながら、パンを食べて生きていくしかないのです。
(本当に関係ない話ではあるのですが、ウクライナの国旗はこの絵のような青空と一面の麦畑をモチーフにしているそうです。あれほど血塗られた歴史を持ちながら、一切それを国旗に使わない、そこに勝手ではありますが矜持や平和への祈りを感じてすごく好きな国旗です。)

十七枚目「おめでとう汎人類史」
青リンゴの絵です。青リンゴが実装されたとき皆いろんな意味でざわつきましたよね。便利であるという以上にマスターのスタミナであるAPを形に変えて貯蔵するもの…いろんな絵が描かれたと記憶しています。
さてこの絵ですが直接の元ネタはなんとマンわかです。これです。

これで木に寄生されているぐだ子に大興奮して(最低)思わず描いてしまいました。FGOを知らないフォロワーにも「いい………」と言われた最悪性癖作品です。
木がちょっと空想樹なのは気まぐれです。
この下の鉢が植木鉢ならいいですけど、ごみ箱だったら嫌ですね。

十八~十九枚目「夜の汽笛は見つからない(The Poem of Innocence)」
また遠くまで来てしまったフジマルの絵です。多分「戻れない場所」とおなじフジマルくんです。
「思へば遠くきたもんだ…」は中原中也の「頑是ない歌」つまりThe poem of innocenceです。詩の続きについてはこちらを。真ん中くらいにあります。
この中に「汽笛」の話があるのがタイトルの元ネタです。詩にはばっちり「夕べ」の汽笛と書かれているのですが、語呂が悪いので夜の汽笛にしました。ごめん中原中也。

藤丸が図書室で中原中也を読むような少年であったのか、それはちょっとわからないんですが、とりあえず今回は読んだことがあって心に残っているフジマルということにしておきました。
背景の図書室はまた全部手描きです。カルデア図書室のほうはバトルステージと背景を見ながら、学校図書室のほうは自分の母校(小学校)を思い出しながら描きました。
フジマルにとってこの詩はあの冬の日に図書室で読んだあれであり、今ここで読んでその思い出を上書きしてしまうことはしたくなかったのかもしれません。

二十~二十三枚目「願わくば…」
相当昔に描いた漫画です。多分二年以上前ってところじゃないでしょうか。
ドクターがどうしてあの選択を取ったのか、あるいは取ることができたのか。それは今でも考え続けているテーマなのですが、このときはひとまず「人間が好きだったんじゃないか」という仮説を立てていますね。
二十二枚目の手紙のところの消しカス、上手くかけすぎて描いている最中に何度も手で払ってしまいました。あれ?なんで取れへんねやこれ?いやこれ自分で描いたやつやないかい、という茶番を三回くらいやった気がします。
きみがいるところが暖かく光であふれたところでありますように、これはガチの祈りです。そうあってくれ~~~~(願望)
おまけを見ていると多分このころからカルデアの廊下描くの好きだったんだろうなと思います。

四十九枚目「夢一夜(The promise of millions of years)」
マーぐだといいつつぐだ子は匂わせ程度にしか登場しない絵です。タイトルの元ネタはもちろん夏目漱石「夢十夜」。そのうちでも第一夜のストーリーを元ネタにし、最後の一文を下に書いてます。絵の元ネタは上述の通りですが、もともとこの絵を描こうと思ったのは激エモな夢を見たからです。以下はその大まかな内容です。

2022年8月31日の夢日記より
自分はだれかを倒さなくてはいけなかった。そのためには戦い全体を俯瞰し指示を与えるための視界が必要だった。自分は千里眼を持つマーリンなら、と思い彼に依頼する。自分は一時的にマーリンと視界を共有し、その敵を倒す。
無事戦いは終わったが、ただの人間である自分が一時でも千里眼を持ってしまうことは魂に大きな負担をかけることだった。自分の魂はキャパを超えた多くの事象を注ぎ込まれ疲弊する。それを何とかするためマーリンはある術式を組んだ。
夕焼けのプラットフォームで自分はマーリンと向かい合っている。影はどんどん伸びていく。「では、始めようか」マーリンが呪文を唱えると、光る球が現れて、そこに自分は収容された。それは小さな赤い太陽だった。その中で眠り、自分の魂に入った不要なものを長い時間をかけて少しずつ燃やした。その永い眠りの中で自分は夢を見た。
コンクリートで固められた近代都市の中で、マーリンが暮らしている。あまりに異質で、生きづらそうにしながら、それでも彼は地上で暮らしていた。彼の周りですべての事象は飛ぶように過ぎていく。人間は地上に増えたり減ったりして、絶滅、再生、また絶滅を繰り返す。「そろそろ来るはずだ」とつぶやいて彼はこちらを見る。
灰色のプラットフォームの上で自分はまるい太陽から吐き出された。すっかり変わり果てた世界で、自分は長い夢の主を探した。ツタの多く絡んだ庭の奥で彼は待っていた。「どれほど待っていたの」「人類が三度、自然に絶滅するほど」「どうして、そんなに待っていてくれたの」「キミはボクの一生の中で輝くような光だった。星の終わりまで死ねないボクにとっては、キミを待つ数百万年は夢のように意義のある日々だった」自分は静かに、数百万年の運命の腕の中へ倒れこんだ。

本当はもっとごちゃごちゃしてて夢らしく支離滅裂なんですがそれっぽくまとめました。最後の言葉とか本当に夢で見たんか?と思うくらいよくできてますね。こんな夢見たら描くしかないじゃないですか。グランドクソ野郎め。
あまりにもこの話が良すぎるのでいつか漫画でも描きたいと思っています。
ちなみにもともとは全身が入った横長の絵だったんですがあんまりよくなかったので顔周りだけアップにしました。もともとの絵はこんな感じです。



というわけで作品解説「FGO Twitterまとめ①」でした。お粗末様でした。

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