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上田秀人

日雇い浪人生活録(九) 金の色彩
先代・吉宗の遺命で幕政の中心を米から金へ転換する改革を進めるお側御用取次・田沼主殿頭意次。
その手伝いをしている両替商・分銅屋仁左衛門。二人は腹を立てていた。
分銅屋の用心棒・諫山左馬介を御家人殺しの下手人として、会津藩の留守居役高橋外記に売った人物がいる
──田沼意次は高橋外記に牙を剝き、分銅屋は南町奉行所の御用聞きを呼び付けた。
左馬介は日々実直に務めを果たすが、柳橋芸者・加壽美こと御庭番の村垣伊勢と分銅屋の女中・喜代との間で板挟みに。
真面目で正直な主人公が大人気

日雇い浪人生活録(十一) 金の徒労
柳橋芸者の姿をした女お庭番・村垣伊勢は、新たな普請奉行・佐久間久太夫を材木商因幡屋が接待する座敷にいた。
因幡屋の田沼意次への根回しで、佐久間は役を得たという。動いたのは金。材木商の思惑は、大がかりな普請への采配にあった。
一方、両替商分銅屋仁左衛門とその用心棒・諫山左馬介は、田沼の屋敷を訪ねていた。
話題は、水戸徳川家と会津松平家が金に窮する近況についてである。
十万両といわれる分銅屋の財を利用しようと躍起の両家。
家と禄を守りたい旗本、利のために目ざとく立ち回る者、ひたすら富を狙う者……それぞれどう動く!?

日雇い浪人生活録(十二) 金の穽
お側御用取次・田沼意次のもとには、役職を得るための賄賂を持った大名旗本が毎日のようにやって来る。
だが、金で役目を買うような輩は愚か者ばかり。しかも役職の席には限りがある。
頭を抱える田沼に両替商分銅屋仁左衛門はある策を授けるが、その帰り道には、左馬介相手に
「切れ者の田沼も所詮は武家者、金の遣い方には疎い」と嘆いてみせる。
そんな折、分銅屋になじみの研ぎ師がやって来る。
番頭がさりげなく話を聞くと、近頃は藩士から錆びた刀の研ぎの依頼が多いのだと言い……。

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