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哀捨て iN THE DARK 004/映像脚本+詞(コトバ)

M「ショウワァは、あなたを元気づけようとしただけなのよ」
D「ごめんなさい。わかってるわ。でも、悔しくて…」
J「そうだよね。歌姫の座を奪われちゃったんだからね」
   ミス・フォーチュンとショウワァ、頷き合う。
D「そんなことは、どうでもいいの。私は、歌が好きなの! みんなの前
 で、唄うことが楽しいの! 唄えることが嬉しいの!」
J「そうだったのか。話を聞いて、ディーバの気持ちがわかったつもりでい
 たけど…」
M「なにもわかっていなかったのね」
S「ぜんぜん理解していなかったんだ」
D「いいのよ。話を聞いてくれたおかげで、自分の気持ちに気づくことが出
 来たわ。私は、歌が好きなんだ! 唄えることが、私の喜びなんだって
 ね!」
S「すごいね! 僕の喜びはなんだろう…」
M「空を飛べるって、ステキなことじゃない!」
S「鳥だから、当たり前だよ」
M「だって、襲われそうになったら、空へ逃げればいいんだから!」
S「空にだって、天敵はいるんだよ」
M「え、そうなんだぁ…」
J「(大きく手を打ち)ねぇ、こうしようよ!」
S「びっくりした!」
J「ごめん、ごめん」
M「またなにか思いついたの?」
J「うん! この森で、ディーバのコンサートを開こうよ」
S「いいね、いいね!」
M「やりましょう! ね、ディーバ」
D「でも、どうやって? 会場はどうするの? お客さんは?」
J「それは、大丈夫。僕たちが全部やるよ」
S「僕たちって?」
M「私たちが、出来るの?」
J「出来るよ! 三人で力を合わせればね」
S「どうやって? そんなこと、僕はやったことないよ」
M「私だって…」
J「僕もないよ。でも、なんとかなるよ」
D「(心配そうに)ホントに、大丈夫なの?」
J「とにかく、やってみなくちゃ何も始まらないよ!」
M「そうね。(ディーバを見て)やってみましょうよ!」
D「わかったわ、やりましょう! 私、唄いたい!」
J「やったぁ! じゃあ、今日は早く寝て、明日からガンバロー!」
M&D「おー!!」
J「あれ、どうしたのショウワァ?」
S「僕に出来ることはあるのかなぁ…?」
J「もちろん、あるよ! 君は空を飛べるんだから、森中を飛びまわって、
 お客さんを集めて来てよ」
M「(うらやましそうにショウワァを見て)やっぱり、空を飛べるっていい
 なぁ…」
S「そうだよね! 僕は、お客さんを案内してくればいいんだよね!」
D「お願いね、ショウワァ。私、ガンバって歌の練習をするわ!」
S「うん、そうだね!」
J「みんなでコンサートを成功させよう!」
全員「おー!!」
   音楽12『泣いてしまえばいい』イン。

○木陰
   ジョイベル、ショウワァ、ミス・フォーチュン、歌い始める。
   ディーバ、少し離れた所に座り、歌を聴く。

泣いて 泣いて ワンワン泣いて
もっと もっと ワンワン泣いて
泣き疲れるまで
私がそばにいてあげる
そっと 抱いていてあげる
涙 涸れるまで

君がそんな夢を持ってた
なんて 僕は知らなかったから
その涙が 悔し涙なら
いいよ! 泣いて 泣いていいけど
でも その涙があきらめの 涙なら許さない

私は夢を持っている
私は夢に生きている
何度 やぶれても
夢に向かい続けてる
キラリ 瞳輝かせ
夢見つめている

誰にもなんにも言わないまま
独りきりで 頑張ってたけど
これからは 独りじゃないことを
いいね! 知って 知っておいてよ
ねぇ 僕にも夢があるから
叶えよう 一緒にね

だから今夜は
泣いて 泣いて ワンワン泣いて
もっと もっと ワンワン泣いて
泣き疲れるまで
僕がそばにいてあげる
そっと 抱いていてあげる
涙 涸れるまで
泣いてしまえばいい

○緑のきれいな森に
   夜が来て、朝が来る。
   四人、朝ごはんを食べている。
J「ねぇ、ディーバ。コンサートって、いつもどんなところでやってる
 の?」
D「いろいろよ。木陰が多いけど、前回は河原だったわ」
J「河原かぁ…」
M「またなにか考えてるんでしょ?」
J「いや、昨夜からずっと考えてるんだけど、コンサートなんか観たことな
 いから、なにも思いつかないよ」
M「え、観たことないの?」
S「観たこともないのに、コンサートをやろうとしてるのかい?」
J「そうだよ。誰だって、初めてのことってあるし、昨日も言ったけど、や
 ってみなくちゃなにも始まらないよ」
S「そりゃあ、そうだけど…」
M「ねぇ!」
   ショウワァとミス・フォーチュン、顔を見合わる。
J「とにかく、まずは必要なものを揃えよう。ディーバ、教えてよ」
D「そんなこと言ったって、私は出演させてもらってただけだから、よくわ
 からないなぁ」
J「そっかぁ。でも、コンサートといえばオーケストラだよね」
D「そんなに大袈裟じゃなくてもいいのよ。たとえば、ギターだけでもね」
J「じゃあ、僕がギターを弾くよ」
D「弾けるの?」
J「そんなに上手くはないけどね」
M「それなら、私はピアノが弾けるわ」
D「すご~い! (手を叩く)」
S「ぼ、僕は、なにも出来ないよ…。(俯く)」
J「なに言ってんだよ。君は、司会をやってくれよ」
S「そうか! 僕もコンサートに参加出来るんだね」
J「そうだよ。だから言ったろ。みんなで力を合わせれば、なんでも出来る
 って!」
   四人、顔を見合わせ、頷き合う。
M「ねぇディーバ、あなたが唄う歌の楽譜を持ってる?」
D「もちろん、持ってるわ。すぐに家に取りに行って来るね」
M「私も、一緒に行ってもいい?」
D「ええ!」
J「僕も行くよ。まだ足が痛むだろ?」
D「もう大丈夫よ。それに、私はもう友だちだけど、私の家族やまわりのヒ
 トたちにとっては、あなたは恐い怖いオオカミなのよ。そうじゃないって
 ことを、今度のコンサートでみんなに報せましょうよ、ね!」
J「わかったよ。ありがとう、ディーバ。僕にとっても大事なコンサートに
 なったよ!」
M「私も、もう不幸じゃない! ミス・フォーチュンになったんだって、み
 んなに報せるわ!」
S「それなら僕だって、おしゃべりなだけじゃない、コンサートの司会だっ
 て出来るんだって、みんなに知ってもらうよ!」
D「四人にとって、大事なコンサートになったわね!」
M「ええ。ガンバらなくちゃ!」
S「そうだね!」
J「ガンバロー!」
四人「おー!!」
   ディーバとミス・フォーチュン、ジョイベルたちに手を振り、歩き始
   める。
(S)「さっそく、ディーバとミス・フォーチュンは、ディーバの家のある
 ドングリ村へと向かいました」
   ショウワァ、ジョイベルに手を振り、飛び立つ。
(M)「ショウワァは、コンサートの宣伝をするために飛び立って行きまし
 た」
   ジョイベル、近くの木陰に座る。
(D)「そしてジョイベルは、コンサートを開くためにはどうすればいいの
 か、木陰に座って考え始めました」
   と、ショウワァが戻って来る。
S「コンサートは、いつやるの? 肝心なことを決めてなかったよ」
J「ホントだね! 僕とミス・フォーチュンの楽器の練習が、どれくらいか
 かるかだよね~。そうだなぁ…。うん、一ヵ月後の今日にしよう!」
S「一ヵ月後の今日だね。ディーバたちにも知らせておくよ。じゃあね! 
 (飛び立つ)」
J「(手を振り)ああ、ヨロシク!」
(S)「こうして、森の仲間たちみんなを巻き込むことになる、コンサート
 へのカウントダウンが始まりました」
   音楽13『Peace!自分自身のために』イン。

○森の中
   ディーバとミス・フォーチュンが歩いて来る。
   ディーバ、歌い始める。

あの日々を映した写真がある
笑顔のみんなの写真がある
Peace!サインした私がいる
楽しかった日々
幸せだった あのころ

Peace!
昨日が今日に変わっただけなのに
それだけで心ウキウキ
街もキラキラ輝いていた
決して終わらない Endless Days
そう思っていたのに…

○上空
   ショウワァが飛んで来て、森の仲間を見つけ、降りて行き、コンサー
   トの宣伝をして、また飛び立って行く。

あの日々はもう想い出にしよう
笑顔のみんなにまた逢う日まで
Cry 涙は海に捨てよう
これからの日々を
幸せにするためにも

Peace!
明日へ 未来へ 胸を張って行こう
それだけで心ドキドキ
街もワクワク期待している
だから始めよう Joyful Days
自分自身のために

○木陰
   ジョイベルが腕を組み、考えている。

Peace!
今日を生きれば明日はやって来る
こんなにも心ハレバレ
街もイキイキ色づいている
今こそ始めよう Happy Days
私自身のために

Peace!
明日へ 未来へ 胸を張って行こう
それだけで心ドキドキ
街もワクワク期待している
だから始めよう Joyful Days
自分自身のために
Peace!

○森の中
   ディーバとミス・フォーチュン、楽しそうに歩いて来る。
   SE:ものすごい風の音。
   音楽4『哀捨て iN THE DARK⑥』にチェンジ。
   ディーバとミス・フォーチュン、風に吹き飛ばされる。

哀捨て iN THE DARK
闇の中の 森の中
哀捨て FANTASy
祝福の鐘を鳴らそう!
Woh… Woh… Woh…
Woh… Woh…
   緑のきれいな森ごと、ものすごい風に吹き飛ばされる。

○暗闇の中
   當、陽、育、渚が浮かび上がる。
育「なんだかんだ言っても、アタルさんとヒカリさんて仲がいいですよね」
渚「そうね。この闇は、自分たちが創り出しているものなんだから、お互い
 の顔が見たいと強く願えば、見えるんじゃない?」
陽「そんな、まだ恋なんて…」
當「オレも、また同じことを繰り返すかもしれないし…」
渚「だから、二人の色の光は、私たちのより淡いのね」
陽「それは、私たちの心の傷の方が浅いってことですか?」
渚「いいえ。私たちの方が、明日に向かおうとする気持ちが強いのよ」
當「その気持ちは、僕だって強く持ってますよ!」
陽「私だって!」
渚「そうかなぁ? 恋することに怯えてるってことは、まだ明日を見ようと
 してないってことじゃないかな?」
當「え!?」
陽「そうかもね」
當「ああ…」
   音楽14『ひろがる光』イン。
   四人、歌う。

でも待って!
まわりのけしきも 行くべき道も
見えているのに 見えないふりを
しているだけじゃない?

何がこわいの? 不安なの?
自分に自身が持てないの?
それじゃあ風に聴いたって
わかるわけないし
こたえてくれるはずもない

ここにいる!
ねぇここにいる!
ぜったいここにいるって
さぁ声に出して言ってごらん
風が聴いててくれるから
自分に自信を持てばいい
ほら まっくら闇に 火が灯り
ほら まっくら闇に ひろがる光

育「あ、光が」
當「降り注いで来た!」
陽「四色の光がきれい!」
渚「みんなの顔が見えるわ!」
陽「みなさん、はじめまして!」
當「君が、クレナイヒカリかぁ」
陽「なによ、がっかりした!?」
當「ヨロシク!」
陽「こ、こちらこそ」
育「ナギサさん、ヨロシクです」
渚「こちらこそ、ヨロシクね」
   音楽15『Good Morning Sunrise!』イン。
   四人、歌う。

哀しみの今日を歩き続け
闇夜の海にたどり着いた
渚に座り 潮騒を聞きながら
真っ黒な海を見つめ続けていた

やがて、紅が闇を融かし始めた
見る見るうちに 海を染める紅に
願いを込めた
愛を失くしたけれど
ささやかなこの夢を
この夢だけは叶えさせてと

Good Morning, Sunrise!
哀しみは もう昨日
新たな今日を迎えたから
キラリ☆と光る 紅の海に叫ぼう!

Good Morning, Sunrise!
哀しみに さようなら
今日という日に歩き出そう!
キラキラ光る 太陽が空に昇り行く

陽「太陽の光って、こんなに暖かかったのね!」
當「ああ、眩しいね!」
育「どのくらい闇の中にいたんでしょうね?」
渚「長かった気もするけど、一瞬だったような気もするわね」
陽「そうですねぇ」
陽「でも、よかった。あの闇から脱け出せて」
育「また夢に向かえますよ」
渚「ギタリストになる夢ね?」
育「はい!」
當「オレも、夢を見つけなくっちゃな」
陽「私は、恋することに臆病にならない!」
渚「そうね。私は、もっと自分に自信を持たなくっちゃ!」
育「みんな、友達ですよね?」
陽「そうよ! また逢いましょうね!」
渚「きっとね!」
當&陽&育「はい!!」
   四人、歌う。

哀しみの今日は もう過去のこと
闇夜の海に光が射し
黒く染められた 私にも色が浮かび
波打つ海も はっきり見える

そして、紅がさらに広がり始めた
見る見るうちに 海の青と空の青
鮮明になり
愛に迷った私を
力づけ 励まして
勇気をくれる 希望をくれる

Good Morning, Sunrise!
喜びの今日にしよう!
二度と昨日を振り向かない
キラリ☆と光る 紅を胸に抱(いだ)こう!

Good Morning, Sunrise!
今日の日を楽しめば
きっと明日に出逢えるから
キラキラ光る 太陽とともに歩こう!

Good Morning, Sunrise!
哀しみは もう昨日
新たな今日を迎えたから
キラリ☆と光る 紅の海に叫ぼう!

Good Morning, Sunrise!
哀しみに さようなら
今日という日に歩き出そう!
キラキラ光る 太陽が空に昇り行く

(當&育)「僕たちは、海を見つめた」
(陽&渚)「そして、自分たちの明日を見つめた」
   音楽16『太陽のめぐみ』イン。
   四人、歌う。

海に身をまかせ 波に揺られて
風の吹くまま どこかへ行きたい
どこかへ連れてって
哀しみ色に染められた 心ごとすべて

傷ついた昨日 さすらう今日
見えない明日 光のない闇夜
いつから迷っているんだろう?
どこから迷って来たんだろう?
それよりここはどこなんだろう?
どこにいるのか それさえわからない

帰らない昨日 ただよう今日
なのに明日は 必ずやって来る
いつまで迷っているんだろう?
どこまで迷って行くんだろう?
自ら時間(とき)を止めてしまった
黒く塗られた そんな闇の中を

ナギサ また闇に迷いそうになっても
アタル 今日の日を忘れなければ
ハグ  きっときっと大丈夫!
ヒカリ この暖かい太陽の光を
アタル 二度と失わないために
ハグ  夢に向かって行こう!
ナギサ 明日に歩いて行こう!
アタル 太陽が昇り始める紫の夜明け
ハグ  太陽の光をいっぱいに浴びた青き海、青き空
ナギサ 人々の想いを詰め込んだ桜色の夕暮れ
ヒカリ そして陽は沈み、再び昇り来る、決してクレナイヒカリ
   四人、歌う。

海はやさしくて 波はおだやか
風はささやき ゆっくりどこかへ
運んでくれるから
哀しみ色が消えて行き 自分が見えて来る

傷つけた昨日 さまよう今日
また来る明日 塗り込められた闇夜
迷っていても哀しみは
色濃く深まり 染まるだけ
闇夜を溶かす 朝日のもとへ
自ら歩き 迎えに行かなければ
クレナイヒカリ 太陽のめぐみを
   紫、紅、青、桜、四色の光が四人を包み込む。



                               (終)

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