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【コケティッシュな休日と私のフェチと読書遍歴】

招待券(有効期限があとわずか)をもらったので、いつもチビたちと遊んでもらって日々お世話になっている同じマンションの友人親子をお招きして博物館の企画展に行ってきた。

私も子どもの頃、祖父母の家近くにあった博物館に長期休みは入り浸っていた覚えがある(小学生は入館無料の日が多かったので、冷暖房目当てに通っていた)…ので個人的に博物館にはとても親しみがある。

つくりは多少ちがうけど、においとか、ひんやりしたリノリウムの床とか、全体の雰囲気とか、模型の樹脂の凹凸の色褪せ具合とか…博物館は子ども時代の飽きるほど時間のあった長期休みの空気を運んできて、とても穏やかで懐かしい気持ちになる。

博物館について思いを馳せる時、村上春樹の小説に出てきた、水族館が無性に好きでそこで展示されていた「クジラのペニス」に哀しみを覚える、という男性をときどき思い出す。

彼はなんであんなにクジラのペニスに固執していたんだったろうか。詳しい事情は忘れてしまったが、哀しみ、というのは人それぞれだと中学生ながらに思ったのを覚えている。

哀しみというものを包摂する(←包摂。最近知ったので使いたい。内包する、と似た意味)存在としてはプラネタリウムにもこれに準じるなにかがあると感じる。美術館には哀しみはあまり感じない。(どちらかというと怒りを感じる。)

あえて言うなら美術館は「自己主張(表現)の場」であるところがちがうのかな。ある意味では承認欲求のドグマの昇華。

博物館ー水族館ープラネタリウムの類似性(哀しみの包摂)とはなんだろうな。博物館系列には自然科学の静かな世界が広がっている気がする。水族館の魚たちの模様や生きるエネルギーは賑やかではあるけれど、動物園に比べるととても静かだ。博物館・プラネタリウムは言うに及ばず。静けさというのが哀しみに通じるのかもしれない。

村上春樹の小説には実に色んなものに哀しみを覚える登場人物が出てくる…感情処理において現実世界に多い怒り派より哀しみ派の私には、特に多感な中学生時代にはとても共感できて安心できる貴重な精神の居場所だった彼の小説世界…我ながらとても影響を受けていると思う。

あとその頃だとアガサクリスティーはじめ各種海外ミステリーの古典小説、検死官シリーズ、綾辻行人、京極夏彦!(村上春樹に並ぶ最大手)…孤独な孤独な思春期を支えてくれた私の心の友人たち…でも今思えば豊かで深みのある交友関係だったな。

山田詠美、江國香織もグイグイ読んだな。私は思春期にそういう作品群から恋愛を学んだ。恋愛小説に限らず、推理小説からも。京極夏彦の魍魎の匣とかまんま恋愛小説だし。

狂骨の夢、女郎蜘蛛の理、邪魅の雫、陰摩羅鬼の瑕、嗤う伊右衛門…実は京極夏彦は恋愛小説家だと思ってる。いや考えてみたら村上春樹も恋愛小説家だな(恋する相手はだいたいしんでしまうか最初からしんでいるけれど)。

泉鏡花も恋というか執着がすごいし星新一もときどき油断しているところにサラッとすごい恋が出てくる。奥田民生は恋愛シンガーソングライターだし。(つまり私の恋愛観はかなり病的で偏っている)

さて今日はなんの話だ。博物館の企画展に行った話だった。のっけから話がわき道に逸れすぎ。閑話休題。

さて企画展。苔+ティッシュ(アンケートの返礼品がティッシュだった。)とコケティッシュをかけて、苔ティッシュと題されている。ライトな言葉遊びなのか企画者がちょっとアレなのかの判別がむずかしい。

「コケティッシュ」を大辞林(第三版)で引いてみると、「なまめかしく色っぽいさま、男の気を引くような様子」と出てくるのだとか。「コケティッシュな仕草」などと使われることが多いそう。

その手の話はネット辞書でいっぱい見つかるけれど、特に面白かったのはその由来まで載せたこの記事で。

▪️ 「コケティッシュ」の意味とは【大人のファッション用語】
https://woman.mynavi.jp/article/200509-2/

「元々はフランス語のcoq(おんどり)を語源にしていて、鶏みたいなもったいぶった様などの意味合いで、男女問わず使われていた言葉です。それが徐々に女性に対して使われる言葉へと変わってきたのだそう。」

「似た言葉で「コケットリー」がありますが、こちらは、色っぽさやなまめかしさという名詞になります。色っぽいという意味であれば、「セクシー」と近いかもしれませんが、「セクシー」の中にも女性らしいかわいらしさを感じられるのが「コケティッシュ」。「セクシー」という言葉は男性にも使われることもありますが、「コケティッシュ」が女性にしか使われないのは、それが理由です。」

コケティッシュがこの記事によってものすごくニワトリに寄って勝手に「コケコッコー」に脳内変換されたよね。めんどりイズム。コケットリーて。めちゃくちゃ日本語に寄せてきますやんフランス人。(覚えやすくてええやんか)

で、苔ティッシュ企画展。苔って地味な植物だから子ども達はつまらんのではないかと危惧していたら、杞憂でした。子どもは大人が思う以上に【地面と仲良し】なのかもしれぬ。

チビ達が苔展に夢中になったのは展示にヒントが隠されているクイズの存在もかなりあったのだけど、なんか苔そのものが意外と嫌いじゃないんだろうな、という感じを受けた。

苔展の後で歩道に生えてる苔を見て「おお!苔だ!」と喜んで地面にへたり込んでいたし。そうか、キミたち好きなんやな苔。

興味のないものへの愛想のなさがハンパない男児からの「飽きたーはよ出よ」の大合唱を心配していたら、意外や意外、男児の方がなんだかんだと楽しげでした。

いかにもマッチョな感じのいかついパパさんがただただ苔が植わってる展示ブースの苔の写真をめちゃくちゃ連写していたのを見ても、苔にはオトコゴコロをくすぐるなにかがあるのかもしれません。まさに男の気を引くというコケティッシュの真髄が!(単に元々苔好きのパパさんなのかもしれません)

なまめかしい…のか?たしかに好湿系苔類の展示ブースでは超音波系加湿器から霧が吹き出して常に湿っていましたが。(そういうことじゃないだろう)

いやー私は好きです苔。なんかフサフサしい元気な苔たちと湿った空気に心が潤った。あと苔と共生関係にあるというクマムシかわいい✨(クマムシぬいぐるみはシンプルな外観のわりに案外高価なので購入を断念)

博物館の常で、小中高生無料デーだったので貰った招待券も余ってしまったし、なんとか時間を工面して、旦那も誘ってもう一回行きたいと思う程には面白かったです、苔展。

常設展示も前来たときよりいくつか展示物が増えていて楽しかった。(以前三男が恐竜にハマっていた頃、年パスを持っていたことがあるので常設展示はかなり見慣れている。)

なんかティラノサウルスの骨格標本と、デイノニクスの復元模型(めちゃくちゃ鳥っぽいやつ)が増えてた。他にもダイオウイカの天井展示は前はなかった気がする。ともあれ楽しかった。また行こう。

博物館はいいぞ!!

#写真は苔展からいくつか

#今日のお歌 …【Close to you 日本語替え歌】どうして空の青さに涙が出るの…?それはあなたといるから…なにを見るのかより誰と見るのかの方が大事なことって時にあるよね。https://youtu.be/5QSh_ZegQI0

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