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「金継ぎ」を依頼した話

愛用していた急須の注ぎ口を、不注意で欠けさせてしまいました。

修理してもらおうと思いつつ、どこに依頼したらいいんだろう、費用もかかるしな、と逡巡しているうちに2年近く経ってしまいました。

ようやく重い腰を上げてお店に金継ぎを依頼し、手元に急須が戻ってきました。
今回は金継ぎについて、ご紹介したいと思います。

金継ぎって何?
金継ぎの依頼ってどうやってするの?

という方に見ていただければと思います。

金継ぎとは

陶磁器等の欠けや割れ、ひびを修復する伝統的な技法です。

欠けや割れの部分は、漆を使ってくっつけます。漆はウルシの木から採取した樹液で、天然の接着剤と言えます。

修理した箇所に漆を塗り、乾かないうちに金粉を蒔いて乾かすことで、定着します。

金粉以外にも銀を使った銀継ぎ、色漆を使った色漆継ぎなどがあります。

どうやってお店を探したか

私はインスタで探しました。
いくつか候補はあったのですが、有名な工房や一人で請け負っている所は受付休止中になっていました。

幸い、家の近くで良い工房が見つかったので、インスタのDMで依頼しました。

費用はどのくらいかかるか

これはお店によって差があると思います。
私が依頼した急須は、欠けと割れがあったので、7,150円でした。

金継ぎと銀継ぎを選べましたが、金継ぎでお願いしました。

漆と金粉はどんどん値上がりしていると聞きます。
費用は高いと感じますが、漆は乾燥するのに時間がかかるりますし、作業工程も考慮すると妥当ではないかと思います。

修理にかかった期間

ちょうど3カ月でした。
依頼した時に、3〜4カ月程かかると伺っていたので、早く感じました。
修理期間はお店によって異なると思います。

割れた部分をくっつける為には、漆を1カ月程乾燥させる必要があります。
大きさにもよりますが、欠けた部分を埋めるのにも5日程時間がかかります。
また、金を蒔いてからも5日程乾燥が必要です。

そう考えると、2〜3カ月は期間がかかるものだと思います。
お客さんからの依頼が多いお店ですと、さらに期間がかかりそうです。

割れ、欠けが綺麗に修復された!
備前焼の渋い色に、金が映える

お店の方に教えてもらった情報

漆は時間が経てば経つほど、強固になっていくそうです。
通常の接着剤は、接着した瞬間が一番強固で徐々に弱まっていきます。

漆は逆に時間が経つ程強固になっていき、一番強固になるのは修復から50年後と言われているそうです。
自然由来の漆ですが、その効果に驚きました。

50年後は、私は生きていない可能性が高いですが、修復箇所は最強になっていると思うと面白いです。

金継ぎ部分の取り扱い

金継ぎ部分は、中性洗剤で洗っても問題ないそうです。
固いスポンジだと表面の金粉が剥げる可能性があるので、避けてくださいとのことでした。

使い始めは、いきなり熱いお茶を注ぐのではなく、まずぬるま湯を2回程注ぐことをお勧めされました。
最初から高温の物を注ぐと、漆が膨張することがあるそうです。

最後に

接着したばかりなので、念の為1カ月は使用せずに保管してくださいと言われました。
1カ月後には修復部分が強固になっているとのことです。

年明けから使い始めようと思っています。
久しぶりにお気に入りの急須が使えると思うと嬉しいです。


愛用している食器等は、大事に使っていても割れたり欠けたりすることがあると思います。
万一のことがあっても、金継ぎで修復してもらえると思うと心強いです。

また、侘び寂びの世界といいますか、金で継いだことで、食器の新たな景色が見えるのも一つの楽しみだと思います。

今回は、金継ぎの文化と技術のありがたみを感じました。

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