見出し画像

雲の上で、換気扇を消し忘れたことを思い出した。

担任の先生に、今日は授業を受けられそうにないので早退します。
を言いに行こうとしてた。多分また言えなくて、別部屋に。
帰る。って母に電話した。母は戸惑っていた。
約半年前に、私の父方の曾祖母が亡くなった。その時の記憶も朧気だけど
実家から離れて暮らすことは、親の死に目に会えないかもしれないことなのだと実感したことは覚えている。
これから生きていく中でこういった突然の出来事はたくさんあると思う。
当然その人との関係にかかわらず、取捨選択をしなければいけない。
その練習と言ってしまったら違うことだけど、ここで帰らない選択をした場合、遺体を目にすることもなく、祖母の死を受け入れない自分が想像できた。親族には申し訳ないけれど、私自身人の悲しみをとことん受け入れて一緒に落ちるタイプだから、正直に言ってしまえば「会いたくない」が一番だったかもしれない。
担任の先生は、「帰れるなら帰るべき。咲来があるのは、そのおばあちゃんのおかげだよ」と言ってくれた。私は、私が恥ずかしかった。

そこで帰る決意を決め荷造りをした。作ったお弁当は食べられなかった。
先生と、帰るまでは泣くのを我慢する約束をした。
電車の中で、我慢できずに声を出さないで泣いてしまった。先生ごめんなさい。

空港では、不思議と泣かなかった。冷静な頭で、お風呂の換気扇を消し忘れたことを思い出した。

鹿児島空港に到着して、ロビーに立つ父の姿を見たとき、
やっぱり本当のことなんだ。今から私は父と一緒に母のところへ行くんだと
泣いてしまいそうだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?