理科系の作文技術メモ

「他人に読んでもらうことを前提として書くもの」を理科系の仕事の文書として定義。また、読者に伝えるべき内容が事実(状況を含む)と意見(判断や予測を含む)に限られていて、心情的要素を含まないもの。

CHAPTER1 仕事の文書の心得

心得として、
①主題について述べるべき事実と意見を十分に精選。
②それらを、事実と意見とを峻別しながら、順序よく明快・簡潔に記述すること
※原則として、必要なことはもれなく記述して、必要でないことは1つもかかないこと。

・1つの文書には1つの主題に集中する。
・本文を書き始める前に自分が主張するつもりのことを目標規定文としてまとめる。

CHAPTER 2 文章の組み立て

・読まれるためには「内容の重心」を前にする。(重点先行主義)
・情報の伝達順序は「概観から細部へ」

CHAPTER 3 文章の構成

・結論から振り返り、最短経路を見つける。
・説得目的の説明は順序を選ぶ

①従来の説、あるいは自分と反対の立場の説の欠点を指摘してから自説を主張する。もしくは、自説を述べた後、それに基づいて他の説を論理的に打ち破る。
②いくつかの事例を挙げて、それによって自分の主張したい結論を導くか、逆にまず自分の主張を述べてからその例証を挙げる。
③あまり重要でない、そのかわり誰にでも受け入れられる論点から始めてだんだんに議論を盛り上げ、クライマックスで自分の最も言いたいこと、-多少とも読者の抵抗が予期されること-を主張するか、逆に最初の自分の主張を強く打ち出して読者に衝撃を与える。

・最も筋の通ったかたちに配列・構成する。
①目標規定文をにらみながら
②集めた材料とそれについての考察を
③記述の順序・文章の組み立ての原則論を念頭に置いた上で、最もすっきりと筋の通ったかたちに配列・構成する必要がある。

CHAPTER 4 脱・日本語の文章

修飾句・修飾節・前置型の日本語の構造のためわかりにくくなる。
英語では、長い修飾句・修飾節は、修飾すべき語の後にくるのに対して、日本語では必ず前置される。注意するのは下記の点。

①1つの文のなかには、2つ以上の長い前置修飾節は書き込まない。
②修飾節のなかの言葉には、修飾節をつけない。
③文または節は、なるべく前とのつながりが理解できるような言葉で書き始める。

文章を書くたびに「この文は正確に言うと何を意味するか」を自問する、もしこの問いに答えられないければ、その文は省いてしまう方が良い。
理科系の文章では、「であろう」「と言ってよいのではないかと思われる」「と見てもよい」「と考えられる」といった緩衝性のある表現は使わない。

ぼかし言葉も削る。それが本当に必要なのかを吟味する習慣を確立する。
「ほぼ」「たぶん」「約」「ぐらい」「ような」「らしい」「ほど」

CHAPTER 5 「事実」と「意見」

仕事の文章では、「事実」と「意見(判断)」の区別を明確にするのが重要。
【事実を記述するときの原則】
①その事実に関して、書く必要があることは何かを十分に吟味する(書く必要がないことは一言も書くべきではない)
②ぼかした表現に逃げずに、できるだけ明確に書く
③できるだけ名詞と動詞で書き、主語に依存する修飾語を使わない。
※③の補足で、その文が事実の記述になっていても、文中に「便利な」「優れた」などの修飾語が入っていると、事実の客観性が損なわれてしまう。

【事実と意見を書き分ける】
①事実を書いているのか、意見を書いているのかをいつも意識して、両者を明らかに区別して書く。書いた後で、逆にとられる心配はないかと入念に読み返す。
②事実の記述には、意見を混入させないようにする。
事実の記述は、一般的ではなく特定的であるほど、また抽象的でなく具体的であるほど情報としての価値が高く、読者に訴える力が強くなる。

「意見」は幅の広い言葉で、大きくは6つに分けられる
①推論:ある前提に基づく推理の結論、または中間的な結論。
②判断:ものごとのあり方、内容、価値などを見極めてまとめた考え。
③意見:上記の意味での推論や判断、あるいは一般に自分なりに考えたり、感じたりした結果、到達した結論の総称。
④確信:自分では疑問の余地がないと思っている意見。
⑤仮説:審議のほどはわからないが、結果を見て判断するとして、仮に打ち出した考え。
⑥理論:証明になりそうな事実が相当にあるが、まだ万人にそれを容認させる域には達していない仮説。

【文は短く、格は正しく書く】
①まず、書きたいことを1つひとつ短い文にまとめる。
②それらを論理的にきちっと繋いでいく。(つなぎの言葉に注意!)
③いつでも「その文の中では何が主語か」をはっきり意識して書く

格の正しい文とは、言葉動詞の関係がきちんと保たれている文のこと。

CHAPTER 6 講演の要領
【読むのではなく話す】
10分間の講演でだいたい400字詰めの原稿用紙6枚が目安。
上手に読むよりも「話しかける」
読む時にはいつでも読み返しができるが、講演では、一度聞き逃したら聞き手の側ではどうしようもできない。人に聞いてもらう話しには適度の繰り返しが必要。

スライド原稿は、10分間講演であれば、7-8枚が限度。
横型のスライドなら、8行以内を目安にする。

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