田坂広志「運気を磨く」読書メモ③

ここまでで心の5つの世界を説明してきた。
その中で大事なのは「個人の無意識の世界をポジティブな想念で満たすこと」である。
だが、無意識の世界を変えるのは非常に難しい、それはなぜか?

多くの書籍では、「無意識の世界をポジティブな想念で満たす」方法として、「ポジティブな想念を強く抱く」「ポジティブな言葉を何度も語る」「ポジティブな言葉を書いて繰り返し見る」などを伝えている。

ただ、この方法だとなかなかうまくいかない、それはなぜか?

①我々の無意識の世界には、日々多くのネガティブな想念が刷り込まれ続けているから。
②我々の無意識の世界には、すでにかなりのネガティブな想念が染み込んでしまっているから。
③我々の無意識の世界は、表面意識の世界と反対の想念が生まれる「双極的な性質」を持っているため、ポジティブな想念を抱こうとすると、逆に、心の奥深くにネガティブな想念が生まれてしまうから。

①日々多くのネガティブな情報の洪水によって、意識化(サブリミナル)に刷り込まれていき、我々の行動を無意識に支配してしまう可能性がある。
テレビやラジオ、新聞、雑誌、SNSなどのメディアからサブリミナル効果でネガティブな想念が染み込まれてしまっている。

②過去の人生の「ネガティブな体験」は誰にでもあり、それが心のネガティブな想念を固着させてしまっている。子供の頃、親に「お前はダメな子だね」などと言われる、容姿コンプレックスで自己否定のネガティブ想念を抱える、など。他にも、貧しい家庭環境、家庭内暴力、勉強の劣等感、進学就職での挫折感など。

そして何より怖いことは、こういった極端なネガティブ体験がなくても、我々は多かれ少なかれ、過去に味わったネガティブな体験に起因する不安や恐怖、不満や怒り、嫌悪や憎悪、そして自己限定や自己否定といったネガティブな想念を、心の奥深くに抱いている。

ネガティブな想念は本来の力を萎縮させ、十分に発揮させない。

例として、30cmの幅を普通に歩くのはできるが、高い場所だとできない。
これは、心の中に不安感や恐怖心、自己限定や自己否定の意識を抱いた瞬間に、我々の能力はみじめなほど萎縮し、持てる能力を発揮できなくなる。

③心の世界は、電気の世界と同様にプラスとマイナスが同時に発生する。「双極的な性質」を持っている。つまり、表面意識の世界でどれほど強く「ポジティブな想念」を持っても、無意識の世界は、逆に「ネガティブな想念」を持ってしまう。

例えば、仕事でも試合でも試験でも、「必ず合格できる!勝てる!」などと宣言すればするほど、心の深い部分に「果たしてできるのか、、、」「できないのではないか、、、」などのネガティブな想念は生まれてしまう。

そのため、表面意識で強くポジティブな想念を抱いても、うまくいかない。

ただ、人間の中には表面意識にポジティブな想念を引き出しても、無意識の世界にネガティブな想念が生まれない人がいる。

それは、無邪気な子供である。

大人は無邪気な子供時代を卒業し、分別を身につけているため、心の中にネガティブな想念が生まれてしまう。
また、分別とは分けることであり、「善と悪」「真と偽」「成功と失敗」「勝利と敗北」といったように物事を2つに分けてしまう。

そのため、「分別のある大人」は何かのポジティブな想念(善、真、成功、勝利)を抱いた瞬間に、心の一方に対極にあるネガティブな想念(悪、偽、失敗、敗北)を抱いてしまう。

ただ、大人は誰でも無邪気さを持てないわけではない。成功する起業家などは無邪気に夢を語り、失敗など考えもしないような楽天家が多い。

ここまでを整理すると、

第一 表面意識の世界と無意識の世界をポジティブな想念で満たせば「ポジティブな出来事や出会い」を引き寄せ、それが「良い運気」を引き寄せる。

第二 しかし、表面意識でいくらポジティブな想念を持っても、メディア情報や過去の体験から無意識世界には多くのネガティブ想念がある。

第三 また、表面意識の世界でどれほどポジティブな想念を抱こうとしても、必ず無意識の世界にはその逆のネガティブな想念が生まれてしまう。

ではこの悩ましい問題に解決法はあるのか?  ある。

「無意識を変える方法」として最も大切なのは、
「ポジティブな想念」を抱く方法ではなく、
「ネガティブな想念」を消す方法なのである。

では、そのネガティブな想念を消す方法とは、、、

「人生の習慣を改める」「人生の解釈を変える」「人生の覚悟を定める」という3つの技法であり、具体的には次の3つである。

①「無意識のネガティブな想念」を浄化していく技法
②「人生のネガティブな体験」を陽転していく技法
③「究極のポジティブな人生観」を体得していく技法

である。
これを筆者は36年前の生死をさまよう大病や、禅師との出会い、などを通じて「病気の克服」「才能の開花」「運気の向上」の3つを同時に実現してきた。

では、具体的にそれぞれの技法を確認していく。



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