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『危険なビーナス』第2話感想

コンゲーム。化かしあい誑かしあいは、傍から見てる分にはこんな面白いモノはないです。その妙味をたっぷり味あわせて頂いたのが第2話、だったかと。

元を辿れば、確かに仕掛けたのは勇磨さんです。楓さんを信じきれない伯朗さんを煽って、一緒に楓さんの正体を暴こうと持ちかける。
それをきっぱり断らない、断りきれない伯朗さんの迷いも知らずに、楓さんは自ら勇磨さんに会いに行こうとし、狙われたスマホは意外に簡単に勇磨さんの手に…てなわけはなく、一幕目は終了。
そこで仕掛け返したのが楓さん。GPSを勇磨さんの車に貼り付ける実際の作業を伯朗さんにしれっとやらせて、素直にやっちゃう伯朗さんも伯朗さんで、ちょっと大丈夫かこの2人。でも勇磨さんが相手だと思えばそのくらいは許容範囲なのかもしれませんね。

団地のお部屋のシーンは観応えありました。
伯朗さんの胸ぐら掴んだ勇磨さんが躊躇いなく喉元に突きつけたジャックナイフ。この人、こんなもん持って歩いてるのか。後の事を思えばそれも仕掛けだったのかもしれないけど、でもあのスムーズな動きは「あーゆーことに慣れている」人のものです。まして相手が伯朗さんだとわかってなお、のあの脅しよう。…どうしてどうして、かなりロクでもないな、この人。
そして語られる身の上話。説得力ありましたよ。伯朗さんを見下していたのは隠されたコンプレックスの裏返し。足掻いて足掻いてやっと抜け出したはずの情けない自分が別の姿で目の前にいるようで、そりゃ苛ついた、んでしょうね…言ってることがホントなら。その話に絆されたのかなんなのか、伯朗さんはまだ楓さんを信じきれずに迷うことになります、が。

正直は最大の戦略。
結局、伯朗さんは自分の“美徳”を最大限生かす道を選び、見事に勇磨さんの奸計から楓さんを救います。楓さんを信じ、一緒に勇磨さんを騙す作戦はいかにも真っ直ぐな伯朗さんで、勇磨さんにすれば「こんなヤツらに試されたのか」と自らの読み違いに歯噛みする思いだったでしょうね、と思いきや。

『あの汚い団地、どうやって見つけたの?』
佐代さんの登場で、筋書きにまた別の方向からの光が。全く「が。」とか「思いきや。」とか、一体どこまで続くのか。勇磨さんの身の上話はほとんど作り話(康之介さんの実の子だってのは本当みたいだけど)。しかも佐代さんと組んで伯朗さんを騙す手立てを考えてた。『次の段階に行きましょ』つまりこれは「遺産を独り占めするのに一番カンタンな、最初の作戦」に失敗しただけで、次の手も多分その次も、ちゃんと考えてあるんですね。まして『伯朗と楓さんは探しているんだよ、明人を』。確信も手に入れた。だからここは騙されたフリ続行。コンゲームはまだきっと序盤、です。

…勇磨さんは本当に伯朗さんに対比する役、なんですね。ザ・正直者で嘘がつけない伯朗さん、〈息するように嘘をつく〉勇磨さん。『協力してくれたお前を売るような真似はしないと約束する』と言ったそばから、『伯朗に指示して盗み取らせました…あなたは裏切られたってことです』。必殺高速掌返し。顔色ひとつ変えないその物言いにごめんなさい爆笑しました。衣装の色目のトーンも濃淡つけて、正反対の2人を印象づけています。
そんな勇磨さんでも、楓さんに語った「矢神の家への復讐」だけは本当の気持ちのように思えました。『あの負け犬と一緒にされちゃ困る』。
甘やかされて贅沢三昧に育っても、妾腹と扱われ認知もされなかった事はやっぱり屈辱なんです。“亜流”の自分が本流を飲み込むために、勇磨さんにとっても、今はその絶好の機会なんですね。…闘ってるんだわ、この人も。あんまり真っ当な手段は取ってないけども。最後にほんのちょっとだけ口角上げてみせた勇磨さん…こういうお芝居がディーンさんは本当に上手。ゾクゾクしました。

次回は楓さん自身の身に危険が迫って、さて謎はどんなふうに転がるのか。30億の金銭的価値が「ゴミみたい」に思える「もっと価値のあるもの」ってなんなのか。明人くんはどこで何してるのか。“リーマン予想”はどのあたりに絡んでくるのか。
期待ばかりが膨らんでますが大丈夫。第3話はもう今夜、です!

#危険なビーナス #日曜劇場  
#矢神家の一族 #ある人って誰

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