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「危険なビーナス」初回感想

とってもフレッシュに観ました。
まずは登場人物を全て紹介。出てくる人全員、テロップ付きで名前と関係を示す親切設計。矢神家の家系図もきちんと見せて、ここは最低限、頭に入れといてねという演出側の意図でしょうか。
とりあえずスタート時点の位置関係は全部示しておいて、さてここからなにがどう縺れたり浮かび上がったり暴かれたりするのか。
といっても、初回にしてかなりな謎のオンパレードです。楓さんは〈謎の美女〉。その美女を置いて出てったまま帰らない明人くん、の置き手紙も謎なら、お母様の実家の写真の裏に隠された鍵も謎。お母様の死因もどうも謎。手島のお父さんが遺した“最後の絵”も行方ごと謎だし、康治氏の囁いた言葉も謎。出てくる人出てくる人みんなどっか胡散臭いし、どこがどうミスリードになるのかもわからない、この後の迷路への入り口としては充分すぎるほどの謎の数々。…30億の遺産なんて実は大した問題じゃない、んじゃないかって気がしてきてしまいます。

…そう、そこなんですよね。
その中身も謎のままの30億の遺産が欲しいから、っていうそれ以前に、みーんな怪しい。楓さんや矢神家の面々だけじゃない、蔭山さんだってなかなかどうして、な〈謎の美女〉ですし、個人的に「小日向文世さんがこの手のお芝居に“単に良い人”で出てくるはずないじゃん」てな邪推(笑)もあって、兼岩さんご夫婦だってわたしにはだいぶ怪しく見えてます。もうね、観てる側も信じていいのは伯朗さんだけですよ。おかげで見事に一緒に巻き込まれてく感覚、ああ上手いなあって思いました。妻夫木さんのお芝居も、演出サイドも。

さて、そんな中での勇磨さん。
もちろんこの人も“怪しい人”なんですけど、お話の中での立ち位置はそれにとどまらないようで。矢神家の面々の中で伯朗さんがはっきり覚えていた相手。伯朗さんを挨拶代わりに「貧乏人」呼ばわりし見下す姿勢は、子供の頃の矢神家での辛い記憶の中のまま。なるほど、ディーンさんが勇磨さんを『伯朗の前に立ちはだかる壁』と言ったのはこのことで、勇磨さんは伯朗さんのコンプレックスの“鏡”なんですね。てことは、この後、伯朗さんは勇磨さんと対峙し、乗り越え、楓さんを助けて見事遺産を…てなお話には絶対ならないよな、てか、なっちゃ面白くない。勇磨さんは勇磨さんで、何か遺産とは違う狙いがあるようにも思えるし…ふむ。
でもでも〈悪おディン様〉は想像通り、大変に魅力的でした。悪い役を成立させるために“やり過ぎない”のはひとつのお約束だと思っていますが、ディーンさんのそれはとても抑制が効いていて、ある意味〈様式美〉と呼べるようなお芝居だったと思います。…悪役が魅力的であれば、それだけ正義も際立ちます。情けない悪役に勝ったって、正義の味方はカッコ良くなれないでしょ?そのためにも、勇磨さんには出来るだけ気高く美しく、狡猾であっていただきたいと思います。

…お話は始まったばかりですしわたしは原作を知りません。この後の展開をただ楽しみにしていますが、“絵画”と“脳科学”がなにかのポイントになる、んですよねこれきっと?『危険なビーナス』ってタイトルもきっとそれに関わってくるんだよなとか勝手な想像したりしつつ、次の日曜21時を指折り数えて待っています。
次週、勇磨さんの〈仕掛け〉に幸あれ♡

#危険なビーナス #日曜劇場  
#矢神家の一族 #最後に笑うのは誰

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