タダシによる稽古場日誌(11)

※ネタバレを防ぐためコントタイトルは「紅白歌合戦2018出場歌手と出場回数」で表記。

12月某日 雨

稽古最終日。最後か、と感慨にふけつつ電車を降りると、この日も数歩先にハシケンがいた。声をかけてみようと思ったが、相変わらずの韋駄天っぷりで、すぐさま視界から消えた。雨天だというのに、だ。もはや生きる時間軸すら違う気がする。

通しを前に、「純烈(1)」にアイデアをちょい足ししてみる。脚本の何稿か前の下りをこの期に及んで試してみたくなった。作劇的におかしくはないし、とりあえず流れでやってもらったのだが、やはりここまで固まった地にはなじまなかった。危うく土砂崩れを起こすところだった。

通し直前に、洋希くんが「本番がはじまっちまうぜ~!」と謎のテンション。そう、これは最後の稽古、最後の通しである。今回作ったネタをやるのも最後。人生の中でも最後かも知れない。しみじみと噛締めながら、演出の立場としても見ながら、時間が過ぎていく。過ぎていく中で、「欅坂46(3)」前の転換中、ケータリングのエリーゼを食べたら台詞が飛んだ。
それにしてもここまで来て、聞いたこともないボケ、知らない表情などがあった。芝居のリズムが乱れるし、全員わりとゲラである。楽しいけど、困る。困るけど、楽しい。本番どうなることやら。

通しのあと、「丘みどり(2)」の修正。どのネタもそうだけど、この子はひときわ手がかかったように感じる。最後の最後に、もうひとつ何かを掴んで、終了。

時間に余裕があったので、何かやっておきたいネタがあったら、とみんなに振ったが特になし。洋希くんが「本番の実感がない。このまま永遠に稽古をしているような感覚」と言ったのだけど、本当にそんな感じで、数日後に客前でネタをやっている実感がわかない。でも、楽しいことは必ず終わりますね。真理だね。

「椎名林檎と宮本浩次」をねえやんと共有できていなかったのでちょっとだけ打ち合わせ。しかし、本番も、本番以外も、様々なことへの力の入れ様にはなかなか見所のある劇団であった。あと数日で解散するけど。

三ヶ月、やらなきゃいけないことをやった。週末は真冬の寒さになると言う。それなら、ホットな舞台に。

「よってたかって気後れ3」詳細・予約
https://note.mu/kiokure/n/n2db71ad10882

「ホットホット! 客席も、もっとホット!」と制作さんが韻を踏みながら熱い神頼みをしている。