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ストレージがいっぱいです


その立場になっていないからわからないこと
なんて、きっと、殆どだ。


例えば、保健所にいる、とある犬。


与えられたスペースの隅っこで

不安に染まった眼で

飼い主候補者を見上げる


伸ばされた手の奥にある人物を

避ける

唸る

噛みつこうとする


それでも選ばれて


今はその人物の家にいる、らしい。

どうやらぼくの新しい家、らしい。


何度顔を逸らしても

何度睨んでも

何度唸っても

何度吠えても

何度も何度も差し出される手


あんなに欲しかった筈のものが


こんなにこわい


なぜこわい?


こんなに欲しい


届かない


わからない


わかってる


わかってる

けれど


多分もう少し

ぼくには
時間という名の覚悟が必要なんだ


その手はぼくを突き飛ばすのではなく

ぼくに添えてくれる手だと

身体が

脳が

認識するように

またの名を、心を決める、ように


遠くから

みつめている


これが

ぼくの

いまの

精一杯

なのは

甘えかな


そういえば


ぼくのなまえ


どこいっちゃったんだろう


すきだったのにな



そうか


さよならか


さよならなんだね



じゃあ


こんにちはから


はじめてもいいですか?



みたいな具合と想像しよう


でも僕は


保健所にいる犬ではないから


真実はわからない


個体差だってある



きっと


こんな人生もあるんだろうなって


記憶を振り返るように


言い聞かせるしかないのだ



こんにちは


ぼくは


ぼくは、


ぼくは…


隅っこから

今日もにんげんを

みています

このサポートは、基本的に、僕の、お勉強や、成長の為に、使わせていただきます。 キモチと、キモチが、交われたら、、よしなに。