歯科技工士不要論


技工士の収入ってどんな感じ?

一般の人には、歯科が高いというイメージからすると。技工士の商売って儲かっているのかと考える反面、調べるとジリ貧で、ブラックで、なり手が減っているとか言われてて、いったいどっちが正しいのか、どうなんだよという感じになると思うですが、その辺りを記してみたいと思います。

簡単に言うと、保険の仕事だけだと、家族を養い、家を建て子供たちを進学させてというのは厳しいと思います。夫婦共働きで、やっと、まぁやってはいけるかなという感じ、そこで、自費の保険が利かないセトモノの白い歯などを月にいくつか作って、余裕が出来る生活にレベルを持っていくわけです。

保険の仕事は、単価が安いので、数をやらないと利益が出難いです。結局それで、就業時間が長くなって、ブラックと呼ばれてしまう訳です。独身ならば、遅くまで頑張って、そこそこの遊興ライフをすごす余裕も出るでしょうが、独身だからこそで、将来を展望できる様な将来感はありません。

保険の仕事はそこそこに、自費の仕事がもらえる様になって、それが中心になれば、優雅に暮らせる事も夢ではなくなります。イメージ的にいえば、保険の仕事は、ナン百円という単価の積み重ねですが、自費の仕事は、何万円というレベルになります。(あくまでイメージで、保険の仕事でも何千円になるものもあります)日に何本も例えばセトモノの歯を作るのは、結構大変ですが、日に1本でも月に25本、1本1万円で25万円、それが保険の仕事にプラスされます。日に何本もこなしたり、設備投資をしてもっと複雑な自費の仕事とか技能的にも出来る様になれば40万~50万以上も可能でしょう、さらに人を使って、活かせる事が出来れば、もっと収入は上がると思います。

歯科技工もITや自動切削機器で機械化が進んできましたが、保険適応になったのはその技術のほんの僅かな部分という気がします。保険は低価格な部分なので、材料的にも設備投資的にも見合わないからです。機械化すると採算が合わないって、どれだけ今まで安い人件費でやってきたかを物語っています。

けれど、勿論その方向に向かっているのは確かだと思います。基本的に機械化するのは、省力化が目的ですから、ゆくゆくは技工士に依頼しなくても、歯科医師が指示を打ち込めば、技工物が出来てくるそんな未来があり得ると個人的には思っています。

就学のステータスが低い

これぐらいの勤労状況は、最良とはいえないけれど、最底辺でもない、保険が効かない自費の技工をやって、成功する道もあるのだから、という評価もあるとは思いますが、日本は、国民皆保険制度なので、保険だけの仕事でも贅沢は出来なくても家族が普通にやっていける収入はあってもいいと思います。そうなってこそ「なり手」が増える状況になるのだと。

歯科医師が、国に報酬を請求します。(余談ですが、請求してから入金されるのは2ヶ月先です、諸経費は1ヶ月毎なのでやりくりは楽ではない様です)歯牙を補綴する技工物に対しても報酬がある訳ですが、そのうちの7割が技工士のおおむねの取り分とするよう厚生省の告示があります。技工士が国に請求するものでは無く、固定はされていません、そこは自由経済の原則で歯科医院と技工士間のやりとりに任されています。

B to Bの取引なので、(まぁ、そうでなくても)安いところへ仕事は流れます。私は歯科医師が越後屋だとは思ってはいません、歯科医院も一般に思われているほど経営が楽ではないからです。根本的に保険点数が低すぎるのが原因だと思います。イメージ的には補綴に関わる人員が2人いるのに1.5人分の食いぶちしかもらえない感じです。

そうなっている原因を思うに、歯科技工士は、国家資格ですが、就学期間が2年と他の医療系専門学校機関と比べて短い。なんだかんだ言ってこれが皺寄せを技工士に持ってく状況を作っている元凶では無いかと思います。出来合いの歯科材料を口に合うように調整するだけのサービス業なので、報酬もそれなりでいいという。逆にそういう職種なので、学校も2年でいいという。義肢装具士でも3年以上。歯科衛生士でも3年。カリキュラムも生体について、深く学びます。

だから、歯科技工士不要論

技工士の現状を変えようと努力されている方もおられます。頭の下がる思いですが、固着してしまった定位置を引き剥がして、どうにかしようというのは無理がある気がしています。大きく変えるには今の制度をやめるしか無いと考えています。
でも、技工は必要です。どうするかですが、歯科医師の専門科として移行する事です。基礎的なカリキュラムは同じ、同じ国家試験を受けます。ただし、技工専門科なので、診療はしません。保険の報酬も別途受ける事になります。いかがでしょぅ?


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