院内技工室にようこそ。

院内技工室へようこそ。

歯科技工士の兼務形態は2つあります。一つは技工所という歯科技工専門の製作所で働く事、もう一つは歯科医院内の技工室で働く事です。

患者さんの口の中に入るモノを作る点では同じですが、進め方や環境には違いがあります。

技工所だと、どんな取引先、つまり、歯科医の先生でも良いような標準的な技工物を作るのが基本になりますが、院内は当然、院長や、そこで勤務されている特定の先生に向けたとモノを作る事になります。勿論、技工所でも取引先の先生の個別の指示に合わせる事はありますし、院内で先生に合わせると言っても、技工の基本を大きく逸れる事はありませんが、誤解を恐れず言うなら、先生が技工をしてもらう所を選択するのに、数ある技工所の中から選ぶか、あるいは技工士を雇って、技工士に合わせてもらうかという違いになるかと思います。

メリットの違いですが、まず、仕事について、院内の方は、ほぼ毎日顔を合わせている分、意思疎通は良く図ることができます。反面、重視しないポイントについては、技工士が自身を律する必要があります。

細かい指示が先生側から柔軟に出されるので、意思疎通が図られる反面、時間も取られる事にはなります。入れ歯の修理や、詰め物や被せ物の微調整、研磨、歯の型に石膏を注ぐ作業(助手の方がやってくれる場合もあり)患者さんを待たせての作業もあるので、これらは技工所には無い作業で、技工物を作る作業の時間がどんどん削られていく場合が多くあります。

就業時間は、技工所でも院内でもいろいろですが、概ね、院内の方が短めです。ビルの中にある歯科医院など、ビル全体として退出時間が決められているので、何があっても出なくてはいけない場合もあります。長時間労働を強いれれる技工所みたいな事は無いわけです。

報酬は、医院なので、内部規約、社則を決めているところが多分ほとんどで、昇給、ボーナス、健康保険、年金など完備しています。今時、技工所でもきちんとしていないと、働き手が出てこないので、昔とはまったく違うかもしれませんが、私が長く院内で働いていたのはそういう点が大きかったと思います。

人間関係。技工所より、先生方、衛生士、助手、時には患者さんと接しているので、機会は多いですが、コツコツと仕事をしたい技工士は、わずらわしいと感じるかもしれません。私など、先生が手隙の時の話し相手になっている時が多かったです。

今の院内技工室。苦しい経営の中、技工士を雇うのは、設備費材料費を含め、大変にコストのかかる事で、院内に技工室を持つところが、皆無になってきています。雇ったとしても、本格的な技工をしてもらうのでなく、入れ歯の修理等調整のためや助手として、働くスタイルになってきていると認知しています。

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