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マル秘展、オープンします!

1年以上の準備期間を経て、2019年11月22日から「㊙展」がオープンします。日本デザインコミッティーという有志の集まりで展覧会をやることになったのが2018年。このメンバーで展覧会をやるとしたら、何ができるか。

↓の文章はそんなことを考えていたときに書いたものです。

「私は二十代のとき、とても幸運でした。たまたまの出会いから、山中俊治さんのアシスタントになり、そこでの仕事を通して、山中さん、佐藤卓さん、原研哉さんらコミッティーメンバーと、二十代の頃に接点を持つことができました。

今でも、はっきりと覚えているのですが、山中さん、佐藤さん、原さんがミーティング中に何気なく描くスケッチや、プロジェクトの中で絶え間なく生み出し続ける資料の中には、最終品には現れない思考プロセスやデザインのクオリティが詰まっていました。

このようなプロセスを垣間見ることは「作る人」を目指す当時の二十代の私には宝物のような体験、つまり、インスピレーションにあふれる体験でした。このような良質なインスピレーションを絶えず浴びたことで、今の自分が成立していると思います。

デザインコミッティーのメンバーは日本を代表するクリエイターの集まりです。このメンバーができることは、次の世代の「作る人たち」にインスピレーションの種をまくことなのではないか。これが今回の展覧会の構想の出発点です。具体的には、コミッティーメンバーが日々の仕事で生み出しているスケッチや図面、制作途中の資料、モックアップなどを、この展覧会を機会にできるだけたくさん公開することができないかと考えています。普段は表に出てこない「作る人」の作る過程を多く公開することで、次世代の心に興奮やインスピレーションを呼び起こすことができるのではないか、そして、それが結果として次世代のデザイナーにとっての良質の栄養剤になるのではないかと考えています。」

スケッチやモックアップなどは、あくまで仕事の過程で作るもので、人前に出すために作っているものではありませんし、クライアント企業との秘密保持の関係から、通常は一般に公開されることはない情報です。上の考え方を参加メンバーの皆さんとシェアしたとき「面白いね」とおっしゃって頂ける方もいましたが「そんなものが面白いとは思えない」「資料は整理してない」というコメントもあり、思い返すと前向き・後ろ向き、半々くらいの感じだったと思います。

ここから助走期間がスタートしましたが、準備する中で一番やって良かったのは、各メンバーの仕事場に鈴木康広君と一緒に伺って、ポッドキャストの収録をしたこと。収録する際にスケッチやモックアップなどを見せて頂きながらの会話ができたことで、表面的な表現やツールの話だけではなく、その背景の思考や哲学について議論することができました。メンバーの方々も、このポッドキャストの収録を通じて「何を展示すればよいのか」の手がかりを掴んだ方が多かったように思います。合計20名以上の仕事場に伺うのには多くの時間を使い、それはもはや「旅」に近い感覚で、最後の収録を終えたときには感慨深いものがありました。このポッドキャストのシリーズは無料で↓のサイトで公開されています。日本のデザイン史を考える上でも貴重な録音になっているのではと思います。

世界を見渡せば、産業のデジタルシフトによって、デザイナーの定義自体も急速に変容をしています。デジタルとアナログ、熟練者と若手のように、放っておいては普段混じり合うことがない人々の、出会い、議論、接点、関係を生み出す必要性を常に感じています。この視点も展覧会のひとつの切り口になっています。

準備をようやく終えた今、最初に考えていたようなことが会場内で実際に起こるかどうか。最終的には26名から2800点ほどの展示物が集まりました。そのひとひとつに、クリエイターがある意味、人生をかけて取り組んできたものの痕跡が残っています。そこには、デジタル・アナログ/新しい・古い、といった分かりやすい二分法があまり意味をなさない、もっと根源的な何かが立ち上がっているように思います。

展覧会場は、六本木のミッドタウンに併設されている21_21 DESIGN SIGHTです。最寄り駅は↓のとおり。点数が多いので、しっかり見ると1日では足りないかもしれません。21_21には何回も入館できるメンバーシップもあるので、そちらもご検討ください。

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会期:2019年11月22日(金)- 2020年3月8日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
休館日:火曜日(12月24日、2月11日は開館)、年末年始(12月26日 - 1月3日)
開館時間:10:00 - 19:00(入場は18:30まで)
入館料:一般1,200 円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料

以下、今回、展覧会に関わった人たちのクレジットです。この展覧会の実現をサポート頂いたすべての方々にこの場を借りて感謝申し上げます。

日本デザインコミッティー メンバー
深澤直人(プロダクトデザイナー)
原 研哉(グラフィックデザイナー)
平野敬子(デザイナー)
伊藤隆道(造形家)
柏木 博(デザイン評論家)
川上元美(デザイナー)
喜多俊之(プロダクトデザイナー)
北川原 温(建築家)
小泉 誠(家具デザイナー)
隈 研吾(建築家)
黒川雅之(建築家/プロダクトデザイナー)
松本哲夫(建築家/インテリアデザイナー)
松永 真(グラフィックデザイナー)
面出 薫(照明デザイナー)
三谷龍二(木工作家)
永井一史(アートディレクター)
永井一正(グラフィックデザイナー)
内藤 廣(建築家)
新見 隆(キュレーター)
佐藤 卓(グラフィックデザイナー)
柴田文江(プロダクトデザイナー)
須藤玲子(テキスタイルデザイナー)
鈴木康広(アーティスト)
田川欣哉(デザインエンジニア)
田中俊行(空間デザイナー)
山中俊治(デザイナー)

主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
特別協賛:三井不動産株式会社
特別協力:株式会社松屋

展覧会ディレクター:田川欣哉
企画協力:日本デザインコミッティー
グラフィックデザイン:佐藤 卓
会場グラフィック:藤巻洋紀(TSDO)
会場構成:中原崇志
テキスト:土田貴宏
映像:ドローイングアンドマニュアル

21_21 DESIGN SIGHTディレクター:三宅一生、佐藤 卓、深澤直人
アソシエイトディレクター:川上典李子
デベロップメント&プログラム・マネージャー:中洞貴子
プログラム・オフィサー:石井潤美

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Takram代表 | デザインエンジニア | Twitter: @_tagawa | デザイン・テクノロジー・ビジネスを駆使するデザインイノベーションの仕事をしています。UI・UX・プロダクト・ブランディングなどなど。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート名誉フェロー。
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