死ぬ直前までにやるべきこと
昨年から、身近な人の『死』を体験してきた。
昨年の春先に1人。秋に1人。
そして、今年に入ってすぐに、もう1人。
そして、思ったことがいくつかある。
人は、永遠ではないこと。
常に身の回りを整理しておくこと。
知られたくないものは処分しておくこと。
だ。
どれもあたりまえだが、どうしてなかなか……
身近で大切な人ならば、死というものは実感がなく、どこか遠い夢の国のお話なのだ。
亡くなった3人のうち、2人は部屋を見せてもらった。
1人はわりと小綺麗になっていて、探し物もスムーズにできた。必要なものが「ある」「ない」ですぐに判断できるのだ。
次の1人は、部屋が煩雑だった。
病気であったこと、多趣味であったこともあり、荷物が沢山だった。
そして、探し物が見つからない。
いや、見つけられないのだ。
この箱に入っているのではないか?
いや、あの引き出しではないか?
はたまた、鍵がかかって開けられない金庫であろうか?
……………最終的には全部出てきたが、ほしかった書類は期限までに見つけられなかったし、開けられない金庫の鍵がでてきたのは、鍵師に開けてもらったあとだった。
どれもこれも、落胆の連続。
そして一番動揺したのは。
知られたくないことを知られたとき、だ。
探し物のため、一番最初に部屋に立ち入ったとき。
「……………なんだこれは」
本棚に、不思議なタイトルの本。
「いちゃラブ♡パパだってなんちゃら」
「オメガバース お前は俺のものもごもご」
私は一見して、それがなんであるかを理解した。なぜなら、私も同類だからだ。
そして。ある日突然廊下に山積みにされた紙袋の包みにピンときた。
「……………そんなことしなくても、
私に言ってくださればよかったのに」
この方は腐女子であったのだ。
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