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BozeではじめるVR演出

この記事はBoze Advent Calendar 2020 19日目の記事です。

この記事ではライブやワールドを演出する際のアイデアの出し方をご紹介します。ここまでの記事を経て、あなたのもとに空間、シェーダー、音楽など何らかの形でbozeが受け渡されたことでしょう。それらを踏まえたうえで、今回の記事にてVR空間を彩るきっかけをご提供できれば幸いです。

(以下、「ライブの演出」を対象に書きますが、ワールドでも基本は同じです。)

スコープ

わたしが演出を作るとき、大まかな流れとしては以下の順番で考えることが多いです。
- 1. ライブの位置づけや制約を確認する
- 2. シナリオを考える
- 3. 具体的な五感に落とし込む

このうち、今回は3で使えるテクニックを紹介します。
小さな作業から始められることと、形式によらず汎用的に使えることが理由です。まずいくつか作ってみて、何ができるかイメージできてから全体を考えると取り組みやすいと思います。

題材決め

演出は何らかの対象に付与する場合が多いと思います。今回は、ひとつの対象を題材にして連想を重ねる方法を書きます。

今回は以下のbozeを題材とします。(あくまで例のため、メッシュ、音楽、言葉など好みのbozeに読み替えてみてください)

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発想例、種の蒔き方

空間を演出するということは、空間に対して何らかの変化を与えるということです。つまり、あなたが演出するときbozeに変化が起きるはずです。

では、あなたのbozeにどんな変化が起きるのでしょうか?
まずは、あなたのbozeをよく眺めてみましょう。そのうちに自然とbozeに変化が起こるはずです。その変化は演出の種に使えます。種から連想を広げて芽を育てると演出ができます。そうして浮かんだ演出はどこかに書き留めておきましょう。

参考に、よく使う変化を大きく4つに分類してみました。

・存在の変化
bozeが存在しない、bozeが存在する、2つのbozeが存在する、多数のbozeが存在する、など

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・形状の変化
大きいboze、連結したboze、小さいboze、割れたboze

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・素材の変化
ふさふさなboze、金属boze、ワイヤーフレームboze、クリスタルboze

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・動作の変化
bozeが静止する、bozeが加減速する、bozeが回る、bozeが弾む

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他にも無数に考えられると思います。こうして種を蒔けたらあとは育てるだけです。

連想例、育て方

試しに縦長に変形してみました。

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この形状なら、縦方向に動いてくれそうです

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このbozeはなぜ動いているのでしょうか?
奥から飛んで来るのであれば、我々がboze群の中を高速移動しているのかもしれません。

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空に雲があれば雨のように見えるかもしれません。

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なにかmeshをめがけいれば、刺さっているように見えます。

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連想していくことでアイデアに意味が生まれ、バリエーションも増やせました。このうち1つをもう少し掘り下げてみましょう。

突き刺す場合、刺さった後にエフェクトを入れても良さそうです。

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飛来するbozeはなぜ出現するのでしょうか。
bozeに突き刺さっていることからも、明らかに行為を感じます。何らかの射出手段を以て見せられると良い感じに意味を持たせられそうです。

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演出を追加したことで、動作としては「魔法陣で召喚された」からbozeは出現し、意味としては「誰かがbozeを攻撃するため」「bozeが何かを吸収するため」にbozeが出現した、ように見えるのではないでしょうか。

ここまでで、1つ演出ができました。これを繰り返すと演出のストックを増やせて、かつ発想のトレーニングができると思います。

もう少し掘り下げて考える

いくつかアイデアを出せるようになってきたらもう少し掘り下げて考えてみましょう。私がよく考えることをいくつか書き出してみました。

・組んだ演出はVRで確認しましょう。ディスプレイとHMDだと印象が全然違います。意図通りになっているか必ずVRで確認しましょう。実際に見ると新しいアイデアも生まれやすいのでオススメです。

・演出はON/OFFよりも連続的な変化を基本に考えるとうまくいきやすいです。瞬時に変化が起きる場合、タイミングが非常にシビアになり少しずれただけで萎えが発生します。だんだん大きくなる、消えていく、通り過ぎる、など短い時間の動作を挟むことで、多少ずれてもあまり気にならなくなります。VR SNS上で演出する場合、同期ずれ、処理落ち、経路による遅延の違い、など多岐に渡ってずれに晒されます。そこで、連続的な変化を意識することで比較的安全に演出を組み立てられると思います。

・演出を考えるときは、その演出の理由を自覚するようにしましょう。VR空間は比較的自由に制御できますが、効果的に演出したければ、なぜその演出がそこで存在するか、それによって何を生みたいか、できるだけ確認しておきましょう。VR空間は比較的自由に制御できますが、だからといって因果に無頓着になると体験者の脳に優しくありません。

・常識的な因果が成立していなくても、文脈が存在していれば因果が成立することがあります。例えば、bozeを考えると必ず通ることになるTikTok動画があります。これはbozeファンに人気があり、視覚的にも強いです。

体験者がこの動画を見ていると仮定できる場合は、三回何かを投げた後であれば多様なbozeを出現させることができます。また、わたしが体験者の立場であれば、こうした文脈を活かした演出はテンションが上がるのでぜひ見たいです。

まとめ

今回は演出を制作する初歩として、アイデアの出し方を書きました。ぜひあなたのbozeを演出してみてください。

普段は音楽を中心に動画や空間を作ったりライブしたりで活動しています。もしご興味に合えば、ぜひチャンネル登録してみてください!


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