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キリンに尋ねるがいい。

月がやってくる。
今年も月はやってくる。知ってたあの日を忘れたふりして永遠のリバイバルに、わたしは深くキネマシートに埋もれる。スクリーンよこんにちわ。昨日までを映してください。明日がはじまるサイレント。

蝶よ、花よと流る映写光の屈折はよく知る窓の向こう側へとゆく。なるべく温めで頼むよ。いきなり四苦八苦から始まるダイハードじゃラストまで生きていられる気がしない。そう最初は、
 
 
 
キリンでいい。
アカシアを喰うキリンがいい。ライオンくらい蹴散らすくらいの穏やかでいい。そうだな。

御徒町駅をのぼった一角の回転寿司屋が潰れて出来た一寸の隙間にキリンが居座る。それは湾岸をひた走りたどり着いたんだ。そうしてわたしに問うんだよ。

君は月にいくのかい。
 
 
 
 
キリンから貰ったアカシア馨る月行きのチケットと、あとは海馬だけだ。君、物書きはペンと紙がなけりゃ駄目だとでも思ったのかい。嗚呼、

キリンの背に描けばいい。彼らの模様は擬態じゃない遺伝子だ。
 
 
 
わたしは生物は苦手だ。計り知れないからね。せめて非線形くらいであってほしい。いまどきは、こゝろすら医者任せじゃないか。

月は今年もやってくる。
月が生きてるって知る人間はどれくらいか、キリンが知ることを知らないなんてせせら笑うね。(金魚の恥時代はじまり)

 
 
 

…………10代も終わるころ。単位を落としまくった生物の時間にわたしは、こうして生物を考えていた。嫌いだった。

担当の先生が禿げだったんだ。偏見というなかれ、彼はわたしの禿げ嫌悪に大きく貢献した。彼は身をもって教えた、禿げは悪。あと生物はいらんこと。案ずるな、試験は満点だった。

試験の是非を問うところでもある。
 
 

薬のせいか、夢見が悪い。  

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