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水母

女の罪があるとするなら、それは美しさの所以。

砂糖漬けの猫が目の前の皿にあったとしても、それすら女の美しさひとつになってしまうだろう。

女の目の端に映る猫の模造のように、間口に突っ立つわたしから女が目を落としたテーブルは、凡そなにがどうにも不釣り合いな部屋造りのなか、猫足の椅子とともに据え置かれている。
 
 
 
 
にゃあ、と女が鳴いた。いや、鳴いたのは、
わたしの心臓のまえに取分けられた猫の耳だった。嗚呼、わたしも皿のうえ、美しさにあったやもしれず。そのような迷妄に囚われる二律背反、鏡面の皿。

そのとき、女は猫を抱えていたんだ。つづく

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