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18万円のエピフォン

以前、投稿した記事が予想外に閲覧された。

この文章を書いている時点での閲覧数は360回。
普段の10倍以上という恐るべき勢いだ。

「たったの360回かよ」と思う方も居るかもしれない。

「再生数1億回突破」
「100万個出荷」
「4630万円横領」
「美川憲一の全盛期のギャラは1000万円」
といったデカい数字を頻繁に目にする現代社会において、360という数字はあまりにも少なく見えることもあるだろう。

しかし考えてみてほしい。
この数字を自分に当てはめてみると、それは途方もなく大きな数であることに気付くはずだ。

例えば自分が出催するライブに客が360人も来たら、歓喜の涙を流すのが普通ではないだろうか。
それと同じことである。
腑に落ちない方も居られるかと存じますが、世の中そういうふうにできているのだ。

360という数の大きさを実感したところで、次はこれを179,300という数字に置き換えてみてほしい。

あまりにもデカすぎる。

それがエピフォンの新作
Inspired By Gibson Custom
に付けられた金額である。

エピフォンとギブソン・カスタムショップ(以下CS)のコラボレーションによる製品群で
・1959レスポール・スタンダード
・レスポール・カスタム
・1959 ES-335
・1963 SGカスタム
以前の記事に書いたファイヤーバード二種
・アコギ数種類

がラインナップされている。

これまでもエピフォンとCSのコラボモデルは何度か発売されていたが、今回のモデルの特徴はヘッド形状がギブソン同様のオープンブックスタイルになったことだ。
ギブソンとのヘッド形状の違いはエピフォンの個性でありながら欠点として扱われきたところであり、それが変更されたのは見逃せない点である。

ロゴ以外ギブソンとほぼ同じ見た目になり、さらにピックアップもカスタムバッカーや490R/498Tといったギブソンの人気モデルを搭載したエピフォンの最上位機種。
それなら179,300円という価格設定にも納得...

たけーよwwwww

ヘッド形状が変更され、ぱっと見ギブソン同様になったとしても実態はエピフォン。
もみあげを剃って完全に美川憲一と同じ髪型にしたコロッケのようなものだ。

遠目には美川憲一のように見えても、近づいてみたらコロッケだった。
もはや詐欺ではないだろうか。
しかも179,300円という価格は、ギブソンのレスポール・トリビュートやSGトリビュートを買ってもお釣りの出る額である。
これらはギブソンの中では安価なモデルで、塗装や装飾において簡略化がなされているが、間違いなくギブソンのギターだ。
いわば私服の美川憲一のようなものである。
百瀬由一として過ごすオフの日であろうと、それが美川憲一であるという事実が揺るぐことはない。

さらに今回のモデルの気になる点として、指板材がローレルであることが挙げられる。
ここまでギブソンに近づくようにこだわっておいて、ローレル指板というのは、どうしても中途半端な印象がある。
機能面では問題がないとしても、59年製レスポールと謳うなら名前だけでも同じ木材を使ってほしいと思うのが正直なところだ。
モノマネ芸人だとしても、舞台上では美川憲一として振る舞ってほしいのと思うのが、人の性というものだろう。

179,300円という金額を支払い、手に入るのは中途半端なビンテージリイシュー。

あなたはどう思うだろうか。

私は百瀬由一を選ぶ。

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