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一期一会

先日、わたしの元に一通の手紙が届いた。
差出人の名前はジェフリー・ハント。私が3週間オーストラリアでお世話になったホームステイ先のホストファザーからであった。

私はその手紙を読んだ瞬間、いろいろな感情が溢れてきた。涙が止まらなかった。この気分を忘れてしまわないように、言葉にして、文章にして、記事にして伝えたかった。

私がお世話になった家庭はシドニーのノースウェルズ州にある一軒家だった。家族構成としては夫、妻、そして私の他にもう1人中国人留学生がいた。ジェフリーと彼の妻は年はもう70を超えていて、子どもたちもすでに自立し、家庭があった。

ジェフリーはいつも妻の言いなりだった。そして、いつも口喧嘩が絶えなかった。わたしはなんだか可哀想だと思い、夕飯後のジェフリーの仕事である皿洗いを毎晩手伝った。そして、毎晩彼と話すことで信頼関係を築いていった。

恥ずかしながら、今回が私にとって初の海外であり、滅多にない英語を使えるチャンスであったので積極的に話しかけた。そして、毎晩夕飯後に彼と観る映画が楽しみになっていった。

金曜日はパブへ行きバーボンinコークを頼んだ。あっコークハイのことね。彼との会話は毎日勉強になった。Aussieの英語はたまに省略したり、スラングが多いので伝わらない事もよくあったが、わたしはそれを笑って流した。そしたら彼は君の笑顔が好きだ、と言ってくれた。

彼は毎朝私が家に出る時間に合わせ起床し、最寄りのバス停まで車で送ってくれた。そして、大学から家に帰ると今日は何をする?と聞き近くのビーチへ連れて行ってくれたり、ボトルショップへ行ってお酒を買ったり、映画を見たりした。日本の私の住む実家でも中々ないことだった。

彼はまるで本当に10年前に亡くなった私のおじいちゃんのようだった。全て私のしたいようにさせてくれた。また、彼との時間は昔の幼少期の私を思い出させてくれた。わたしの日本での家庭と違って、彼らには暖かさを感じた。団欒とでもいえばいいのか。

《名・ス自》集まってなごやかに楽しむこと。親しみある楽しい集まり。
 「一家―」

なるほど。彼らは団欒をするのが好きだった。週末は娘夫婦たちと集まりBBQをしていた。また、Aussieはとてもフレンドリーで、初対面の人でもバス停で、道端で、話している光景をよくみた。

この文章を書いている間にも涙が溢れてきそうなのだが、わたしは今回の滞在で人との繋がりがいかに自分の人生を豊かにするか改めて感じることができた。全く知らない土地で、全く知らなかった人と過ごした3週間であったが、そこで築き上げた関係や思い出は一生忘れられない大切なものである。だからこそ、これからも人との繋がりをもっと大切にしていきたいと思う。

私はこの手紙を受け取ってから改めて大学卒業までにオーストラリアへまた行く決心がついた。彼にもう一度会いたい。そのためにも勉学に励み、もっと成長した姿を見せたいと思う。

ありがとう、ジェフリー。

愛を込めて。



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