キミは太陽あらため名を呼ぶひと

ミュージアムジカと人生を共にしたい


これが私が出逢いたかった曲だ、漠然とそう思った。


2020年1月30日、1本の動画が公開された。
本日発売を迎えたTHE IDOLM@STER SideM 5th ANNIVERSALY DISC 03の試聴動画である。

こちらはアイドルマスターSideMというゲームの5周年を記念したCDシリーズ全6枚のうちの3枚目で、《W、Café Parade、もふもふえん》という3ユニットの新曲各1曲および3組一緒に歌う合同曲1曲の計4曲が収められている。(※1)

担当ユニットの久しぶりの新曲(※2)ということもあり、視聴動画へのリンクをクリックする際は指が震えた。
私の愛するアイドルはどんな曲を歌うのかな、どんな顔を見せてくれるのかな。たくさんのワクワクと少しの不安を抱えながら再生ボタンを押した。

担当ユニット含む各ユニットの新曲3曲は、これまでの確かな積み重ねやこれからを見据えた新しいチャレンジ、どちらの側面も感じさせ曲調も3者3様のバリエーション豊かなものであった。
しかし、その3曲以上に私の心を掴んで離さなかったのは最後に収録されている3ユニット合同曲の『ミュージアムジカ』である。


これが私が出逢いたかった曲だ、漠然とそう思った。
明るく華やかでキラキラした音、底抜けに明るいのに何故か一片の切なさを感じるメロディ。懐かしくもあり新しくもある。とにかく音楽として聴いていて心地が良い。歌詞も程よく韻を踏んでおり上手くメロディにハマって音を構成している。

私は初めて曲を聴くとき、歌詞の意味よりも音とのハマり具合というか整合性の様なものを重視して聴く性質の人間である。そのためそのハマりっぷりの虜になり、しばらく音を感じるためだけにミュージアムジカをリピートしていた。
数十回と聴いているうちようやく歌詞に意識を向ける余裕が出てきたところでふと思った。


そもそもミュージアムジカってなんだ?

ミュージアムはミュージアムだよね、博物館とか美術館とか。ムジカはラテン語で音楽だっけ?じゃぁ音楽の博物館とかそういう感じの造語かな、分からないけど。分からないけど私の頭の中ではそうなった。

音楽の博物館、キラキラした音の奔流にぴったりである。
ミュージアムジカ、語感が良い。声に出して読みたい日本語。
なんて良いタイトルなんだろう。そこからきちんと歌詞とその意味に意識を向けて聴いてみることにした。

するともう、はじめ歌詞を音としてしか捉えていなかったことに驚く程の小気味の良い日本語のオンパレードである。
視聴段階で聴くことが出来たのはワンコーラスのみであるが、その短い間に魅力的なフレーズがこれでもかと散りばめられていた。

以下好きなフレーズを抜粋する。

キミは太陽 あらため 名を呼ぶひと
 パッと晴れてくんなきゃ たまんないよ

5秒前のメソメソ さあ! もう バラ色
胸を満たすのは 大本命の気持ちだけ


サビの数フレーズを抜き出すだけでなんて幸福感と肯定感に溢れているんだろう。
サビ以外の歌詞も含めとにかくエネルギーを感じる。
何かあった自分を、全部肯定して、そのうえで丸まま投げ捨てて、次を目指して前を向く様な、そんな元気をくれる歌。

もう視聴動画だけでは耐えられない。CDの発売が待ち遠しい。フルでこの歌を聴きたい。歌詞を文字で見てじっくりと味わいたい。
そんな悶々とした気持ちを抱えながら約3週間を過ごした。

そしてようやく迎えた発売日が今日である。
スマホで各曲聴くことが出来る状態にして、真っ先にミュージアムジカを再生した。
2番の意表を突く構成や完全に初聴きとなるCメロなど音楽的にも驚きと満足感のある仕上がりに舌を巻き、文字を目で追いながら聴く歌詞に新たな驚きや深みを感じる。

フルで聴いて初めて出会う部分についても語りたいことは山程あるが、歌詞全てに自己の解釈を当てはめるのも無粋な気がするし、この記事の終わりが見えなくなるためここでは割愛させて頂く。
もしまだフルを聴いていない人が居たら、是非歌詞を見ながら改めてフルで聴いて欲しい。試聴部分とはまた違った感想を抱くことが出来るかと思う。


さて、ここまでミュージアムジカ自体についてとりとめもなく語ってきたが、ここで少し私の曲の好みについて話をさせて欲しい。

『好き』という気持ちは個人のものであって、もちろん他人の考えに口を出すのは野暮だし自分の『好き』に口出しされるのも私はあまり好きではない。

それを大前提としたうえで、私は"キャラクターソング"より"アイドルソング"が好きだ。
2次元のキャラクターが歌っているのだからその時点でキャラクターソングでは?そのキャラクターはアイドルなんだから歌う曲はアイドルソングなのでは?どちらの意見もそれ以外の考えもたくさんあると思う。

だからこれはただ「私がその曲をどう思っているか」というだけの話であるのだが、なんとなく【そのキャラクター以外が歌ったら歌詞の意味が分からない曲】をキャラクターソング、【そのキャラクターが歌うことに意味があるが他の誰かが歌っても歌詞の意味自体は通る】曲をアイドルソングだと思っている。

SideMはそれで言うとアイドルソングよりもキャラクターソングの割合が高いコンテンツであると感じている。
大切なアイドルが歌っている曲はもちろん全て大切でキャラクターソングがダメと言う話ではなく、そういった曲が多い中でアイドルソング寄りの新曲が来るとそれはそれはテンションが上がるという話である。

色々と前置きをしたが、つまりミュージアムジカは待ちに待った私にとってのアイドルソングだった。
ミュージアムジカは自分達を応援してくれているファンを、たまたま曲を聴いてくれた誰かを肯定し、包み込み、背中を押す。大きな大きな愛の歌である、と私は思う。

今まで歩んできた道と大きく離れた未来を歩もうとしているアイドル達による応援歌、年齢を問わない愛の価値観。この歌をこのメンバーで歌うことには大きな意味があると思うし、担当がこの歌を歌っていることが私は誇らしい。
その一方で、普遍的なテーマを内包しているこの歌は他の誰かが歌っても明確に意味を成すし、例えSideMというコンテンツを離れても歌の持つ意味を伝えることが出来ると思う。


ここまで長々と言葉を連ねてきたが、何が言いたかったかというと私はSideMというコンテンツでこの曲に出逢えたことがとにかく嬉しい、それに尽きる。
ただこれだけの事を伝えたいがために3000字弱の文字数を消費しなくてはいけない文才の無さには目を覆いたいくらいだが、それでも一度この溢れるミュージアムジカに対する思いを吐き出して整理したかった。


この曲に出逢えた喜びとこの歌のメッセージと共に、これからもプロデューサーとしての道を、その更に先へと続く自分の人生を歩んで行きたい。


まとまりの無い長文に最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。




(※1)SideMには46人のアイドルが居て全15ユニットに分かれて活動をしており、1枚目には46人全員で歌う全体曲、2枚目~6枚目の5枚には3ユニット毎にユニット曲と合同曲が収録されている。

(※2)何を隠そうSideM、ユニット制を取ってはいるが近年ユニットを跨いだ組合せでの新曲リリースを重ねておりユニット単位の新曲がリリースされるのはざっくり2年ぶりくらいである。

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