『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』
このnoteは『止められるか、俺たちを』『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』のネタバレを含みますのでご注意ください。舞台挨拶で得た情報なども入ります。
今まで映画をあまり観てきていないズブの素人の勝手な個人の感想です。思ったことを書きなぐっておこうというだけの自己満足のnote。
色々なことが重なってもう生きるの頑張れないなーなんて心を病んでいた時期に某ドラマをたまたま見たら最高で、観終わるまでは頑張ろうと思っているうちにみるみる元気になり、そのまま井浦新さんにどハマりして、舞台挨拶の情報を見つけて、完全にノリで観にいったようなミーハー人間なのだ………!!生きれる理由って些細なキッカケだったりするよね。
今回のお話はシネマスコーレを創るお話と井上監督の自伝的なお話の2つが本線としてある。舞台挨拶で井上監督が「木全さんはぽわっとしていてそれだけじゃ映画として足りないから自分を出した。出たがりなわけじゃない。」というようなこと(めちゃくちゃ意訳なので間違っていたらごめんなさい)をおっしゃっていた。たしかに自分で自分を描くって勇気がいるだろうな〜〜〜と思った。
元々文芸座にいたけれど辞めて名古屋で会社勤めをしていた木全さんが若松監督にシネマスコーレの支配人を頼まれる。その後の木全さん役の東出さんと奥様役のコムアイさんの会話がと〜〜〜〜っても好き。コムアイさん可愛すぎない??????あの聞き返し方、すごい。大好きなシーン。会社を辞めて映画館の支配人になるのがこんなにスムーズにいく家庭あるんだ………。
そうしてできたシネマスコーレに集まる若者たち。河合塾で浪人生をしていた井上監督(杉田雷麟さん)と金本さん(芋生悠さん)の対比が凄く良い。唯一架空の人物である金本さん。映画に対する情熱はすごいし、殺したい奴はいっぱいいるし、でも出自や女であることが足枷となっている。
井上監督は映画への情熱がすごいところは金本さんと同じ。でも、生まれ育ちが良く、一般的に見てかなり恵まれている人だ。金本からの嫉妬心は理解できる。若松監督を追いかけて新幹線に乗っちゃう行動力があるんだから全てラッキーなわけではないんだけど、金本にはそううつっちゃうんだよね。2人の関係性がほんとうにいい。夜の屋上のシーンからのラストの屋上のシーンは本当にこみあげるものがある。(井浦さんが2人をうまくバチバチさせてひきだす手助けをしていたそう。すごい!)
河合塾のシーン。あの時代の予備校って凄かったんだな〜〜〜。ビールが積まれている牧野先生について調べてちゃうくらい気になってしまった。私も河合塾育ちなんだけど透け透けのすごい服をきていた先生に「乳首透けてます」って保護者からクレームが入ったんだっけ〜〜〜、なんて懐かしいきもちになった。でも授業は至極真っ当だったし、クラスには真面目な子しかいなかった。時代の違いを感じる。はなしがそれた。
早稲田に受かって上京して若松プロに入った井上さんは若松さんにとにかく怒られまくる。車をバックさせるシーンで車をぶつけるまで「オーライ!オーライ!」と言い続けたシーンが実話なのがすごい。そんなことある?!?!「視界に入るな!」と怒鳴られる井上さん。でも若松監督がそれをネタに話しているシーン、若松監督がちょっと嬉しそうなのがいいんだよね。愛情を感じる。なんやかんや連れ戻しにきてくれるしね。
その頃シネマスコーレは経済面のことを考えてピンク映画を流すことになる。私は映画に明るくないのでここらへんのことは正直あまりわからない。木全さんの葛藤。
金本さんは金本さんで、在日の指紋押捺制度への葛藤がある。恥ずかしながらその制度をこの映画ではじめて知った。日本で育って当たり前に生きていても君は違うんだと言われているような気持ち。
河合塾の映画を撮ることになる井上さん。初監督。めぐみさんの写真を見ながら物語が浮かんだ時の耳鳴りのような音、いい。現場に入れば、若松監督が仕切る仕切る!まわりのスタッフさんも若松さんを監督と呼ぶ。あれは見ていて心がきゅってなった。ご本人がどう思われていたかはわからないけれど、見ていて結構辛かった。こういう中で挫折、離脱していく人たちもいっぱいいたんだろうな〜〜〜。
授賞式を抜けた若松監督と木全さんのシーン。東出さんが苦労されたシーンはここだろうなってすぐにわかった。ものすごい情熱。言葉にするのは難しいので是非見てほしい。
そして屋上での井上さん金本さんのシーン。いや〜〜〜よかった。妹の件も自分の本名も、すっきりした笑顔が最高だった。Wの悲劇がわからないので元ネタを知っていたらもっと面白いんだろうな。恥ずかしくて質問もできず!調べよう!そして若松監督がフレームアウトしてタイトルバックと音楽。最高最高最高最高最高最高!
ここから賛否両論だったというシーン。若松監督が砂漠にいてめぐみが声をかける。死の表現。あんな風にみんなが迎えに来てくれていたらいいよね、っていう愛を感じて私は好き。若松監督の合図から歩いていく背中が映るシーン。そこが好き。背中だけなのに表現力がすごい。映画のことはまったくわからないけれどタイトルバックで綺麗に終わったほうがよかったって言う人がいるのもわかる。それは後の部分が蛇足っていう訳ではなくて、あまりにもタイトルバックのシーンが良すぎたからじゃないかな〜〜なんて思ったり。あのフレームアウトからのドーン!音楽!は本当にかっこいいんだもん。
今まで井浦さんはシュッした、"静"か"動"でいえば"静"の役のイメージが強かったけれど、若松監督はまさに"動"の人で、まず驚かされた。こんなに違う人になれるんだ、すごい。足立さんと電話している時、写真を眺めている時、背中で哀愁を感じる。凄い。常に井浦さんからの若松監督への愛をとっったっても感じる。
東出さんも廊下のシーン最高だったし、杉田さんの目線の動き?が好きだし、芋生さんのまっすぐで中から発光している感じがたまらない。浅い感想だけど役者さんって凄いな〜〜〜ってなる。
前作のめぐみさんの葛藤がわたしには凄く刺さっていて、女の入り込めない男の世界は存在していて、現代の私でもそうした生きづらさを抱えているからこそ昭和は想像できないくらいすごかったんだと思う。めぐみさんも金本さんも男と寝るという表現があるわけだけど、女の目からしてもあ〜〜となる。好きという感情だけじゃないからね。離れさせないためだったり寂しさをうめるためだったりむしゃくしゃしていたり怒りだったり。性別って難しい。井上監督がおっしゃっていた「めぐみさんは"死"なので、金本さんで"生"を描きたかった」というようなことをおっしゃっていた。随所に対比が散りばめられている。
上映中に若松孝二ファンや映画ファンであろう人たちが昔のネタで笑う瞬間、わたしにはその笑いの元がわからないから悔しい……。知っている人が見たらもっとも〜〜っと面白いんだろうな。知らなくてもたのしめる映画なんだけどね。
若松プロにいた人たちの当時の青春を覗き見している感覚。前作の同世代の若松プロも今作の子供と同じくらい歳の離れた世代の話も違って良い。
そんなこんなで今日は富山のほとり座さんにお邪魔します。色々なミニシアター巡り、たのしくなってきている自分がいるのだった。
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