ワンピースfilm RED



まず最初に注意しておきたいのは、あくまでこれは僕の感想です。プラスな評価やマイナスな評価がされていたりします。
当然ですが、僕とあなたでは好みが違います。
僕がマイナスな評価をしてても、あなたがそれを好きならそれでいいのです。あまり深く気にしないでね。



ではさっそくこの映画のポイントについて話すことにしよう。しかし実は2つ3つほどこのポイントが同時に進行するため説明が難しい。
なので、とりあえず1つのポイントから話していく。


この映画は世界を魅了する歌姫、ウタがライブをするところからスタートする。
実はこの歌姫、作中で重要な人物であるシャンクスの娘(血は繋がっていない)なのだ。
ワンピースのファンであれば「はっ!?」と声をあげたことだろう。
そんなシャンクスの娘こと、ウタが中心となってこの物語は二転三転していく。
ルフィが今に至る過去があるように、ウタにもこれまでの過去がある。
その昔、ウタはシャンクスに拾われ大切に育てられてきた。彼女は持ち前の歌声で赤髪海賊団の船員たちを笑顔にさせていた。
ところがウタがシャンクスとともに訪れた島(この映画の舞台)で悲劇が起きる。
それはシャンクスたち赤髪海賊団がウタを利用し、その島の住人を皆殺しにした挙句、金品を強奪せしめたのだ。
ウタは自身が利用されたことを知り、これまで大切にされていたのは全てこのためだと悟る。
家族同然に慕っていたシャンクスたちに騙され、裏切られたウタはその怒りからいつか復讐してやることを心に誓う。

と、まあ、ザックリこんな感じである。
設定最高、キャラ最高、歌最高、BGM最高、もう神作品確定である。


ウタはそのウタウタの実の能力を使い、世界中の人間を夢の世界に閉じ込め、そこで画一的な幸せを与えることで世界中を平和にしようというのだ。

超絶リベラリズムである。

ここまでウタの過去をみて、僕は「シャンクスそんな悪い奴ちゃうやろ」と感じていた。
作中でルフィも「シャンクスはそんなことせえへんが」みたいなことを言っている。
しかしウタはその身をもってシャンクスたちの裏切りを受けていたのだ。
ウタの無茶苦茶ぶっとびリベラリズムに圧倒されながらも、ウタが世界中で苦しむ人々に幸せを届けたいという心に、いつしか僕も賛同していた。
そして物語は最高潮に達する。
なんやかんやあってウタは暴走し、トットムジカが復活しかけてしまう(結果的に復活するのだが)。
ところでやはり僕だけでなくあなたもルフィと同じく「シャンクスがそんなことするはずないのでは?」という疑念を抱いていたはずだ。
その予感通り、実はシャンクスはウタの言う仕打ちなどしてなかった。
本当はウタがトットムジカに利用されるかたちで暴れてしまったのをシャンクスたちの手によって鎮められたのだ。
その暴れた際に住人を皆殺しにしてしまったのである。
そう、住人を皆殺しにしたのはシャンクスではなくウタ本人(トットムジカ)だったのだ。
シャンクスはウタがその重荷を背負うことのないよう自分たちが悪役になることでウタに幸せを与えようとしていたのである。
よくできた男である。
シャンクスに裏切られたと勘違いし、めちゃくちゃに仲の良かったルフィですら海賊とみれば殺す勢いで敵視するようになり、世界中の人々のために歌い続ける…まさに悲劇だ。
その真実を戦いの最中、ルフィ達に告げられる。
僕は「もう真実教えるくらいなら殺してやったほうがええんちゃう…?」と思ったくらいに残酷な真実がウタの耳に入る。


そこでウタはなんと言ったと思う?










「あ、それ知ってた🤪」



俺「はぁぁぁああああああああん!!?💢💢💢💢💢」


映画館で怒りの声で叫びそうになったのは人生初である。
めちゃくちゃ抑えて舌打ちが出たのはここだけの話だ。

いや、まあ、「あ、それ知ってた🤪」みたいな軽いノリではなく、実際は「本当は気づいてたんだ…😞」みたいな感じである。


後述するがウタよりも尾田栄一郎に怒りを覚えた。いや、ウタにも怒りを覚えたが。


ウタによると「何年か前には気づいていたけど、自分から言い出した手前とめられなくなった」などと供述している。

確信犯である。

僕たちは「シャンクスたちに酷い仕打ちを受け、裏切られ、海賊に憎悪を燃やす可哀想なウタ」という視点を持っていた。

であるから、ぶっ飛んだ自分よがりのリベラリズムを世界中の人々に押し付けても応援する気持ちがあったし、仲の良いルフィを殺そうとしても彼女を敵だと思えなかった。

ところがどうだろう。蓋を開けてみれば、別に酷い仕打ちを受けてるわけでもなく海賊を恨む理由もない。
というか自分がシャンクスに感謝すべき立ち位置にあると気づいたのにも関わらず態度を変えず、世界中の人々を騙し、ルフィを騙し、僕たちをも騙したのである。

ウタに裏切られた気持ちがとても強く残った。


とりあえず落ち着こう。
思い出しただけでムカつくが、大人になってあげよう。
誰しも後戻りができない状況があるはずだ。引くには引けない部分が生きていれば必ずある(まあ、あの気づいた段階では全然後戻りできるし、引くに引けるところではあったが)。
ウタもまだ精神的には子どもである。孤島での生活で多くの人と接してこられなかったのだ。仕方ない。


うん。


そうしてウタ自身にも止められないほどトットムジカが力を増し暴走していく。
そこでやっとこさ登場したのが赤髪海賊団だ。
片手に持った剣だけでトットムジカの攻撃を抑えるシャンクスを見て「やばすぎて草」と感じたのは僕だけではないはずだ。
それぞれのキャラクターの個性をしっかりと表現し、かっこよく演出がキマっていく。
蔑ろにされたキャラクターはいないといって言いほどほぼ全てのキャラクターに出番が巡る。
そうやって、全員の力を合わせてようやくトットムジカを倒すことに成功した。


さあ、この映画の最後である。


ウタは自分の能力を強化するためになんとかキノコっていうキノコを食べ続けていた(たぶんキノコだった気がする)。その弊害として彼女はやがて命を落とすことになる。そうなれば世界中の人々はウタの夢の中に永遠に閉じ込められてしまう。
それを防ぐため、シャンクスが愛しの娘にそのキノコの解毒剤を渡す。

これを飲めば死なずに済む。飲んでくれ。

懇願するシャンクス。
かっこいいよ、シャンクス。勘違いして暴走した娘のためにわざわざ遠方遥々やってきて命懸けで止めて、しかも解毒剤もってるなんて、お前やべえよ。

そうして差し出された解毒剤をウタは受け取りを拒否し、「世界中の人々を夢から醒まさないと」と自分の過ちを認め、歌によって皆を目覚めさせていく。


そのままエンドロールへ…









いや、
は???????💢💢



飲め!解毒剤飲め!液状の解毒剤やぞ!?
歌う前に水飲むみたいな感覚で飲めるやんけ!!
飲んで、歌って、人々目覚めさせて自分も生き残る!!できるやろがい!!

それからシャンクスもそれ言え!!そこまでやってきてウタの能力も把握してて何が原因でそうなってて解毒剤が何かも全て把握できるような賢さがあるなら歌う前に飲ませろ!!ムキーーッ!!!



ハァ…ハァ…


落ち着こう。


メタ的な話になるが、おそらくウタというキャラの性質上、生かすことができなかったのではないかと推測する。

シャンクスの娘として登場し、全て解決したからにはシャンクスと共に旅を進めることになるだろう。ウタの性格的にそうならない方向に持っていくのは不自然である。
しかしそうなると現状進めてる漫画にウタを登場させなければならなくなる。であれば、後付けのように出てきたこのウタというキャラを生かすよりも、理由つけて殺してしまったほうが漫画のストーリーを改変することなく映画の中だけの存在として終わらせることができるのだ。
尾田栄一郎も、まさかここまでウタが人気になるとは考えてなかっただろう。今頃彼は「こんなに人気になるなら生かしとけばよかったな。ミスったわ」くらいに後悔しているだろう。


もう一つ考えられることがある。
ウタがここまでやらかしてしまっては生き残ったときにその責任が追及されることになる。ウタは死ぬことでその償いをしようと考えたのではないか。

しかし、よく考えてくれ。ウタは赤髪海賊団の音楽家である。
つまり海賊なのだ。
海賊なんだからそれくらいのことして当たり前なのである。責任を負う必要もないし、償う必要もない。
むしろ死ぬのではなく歌を世界中に届け続けることで良い海賊も居るということも広げていくことこそが償いであろう。


ではなぜ死んだのか。さっぱりわからない。

とはいえ最後までウタの死に顔を出していない。後から実は生きてましたとかなんとでも言えるだろう。

実は生きてましたって後で出てきたなら、
尾田栄一郎が「いやぁ〜ここまで人気出るとは思わんかったわ〜」と後悔してたということで間違いない。




僕の嫌いな要素
裏切り
自殺
それを美化
三拍子揃ってしまったこの映画…

他の要素や演出、音楽など全て踏まえて結論を言うと、面白かった。
本来であればこの三拍子揃ってたらボロクソに叩いてこんなの二度と見るか胸糞悪い!と吐き捨てていたが、本映画がそれ以外のおかげでなんとか面白いと言えるものとなった。
いやまあ、それでもボロクソに言ってしまっているが…

もう一度観たい!でもウタが「気付いてた…😞」っていうシーンだけ飛ばして観たい!

そんな気持ちを抱えるきのこである。

以上。





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