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「本当においしい桃を一年中食べてもらいたい!」 夢を叶える新店舗

4月1日を、ウソをつくエイプリルフールから、夢を語るApril Dreamにしませんか。そういう呼びかけがあるのをご存じでしょうか?

今日は4月1日。
April Dreamの日に、私が尊敬し応援する紀の川市の籔本畑下農園さんが運営するジェラート店、藤桃庵(とうとうあん)さんの夢を、店主の籔本周也さんにお話しいただきました。

夏にしか食べられない桃

桃農家として桃を作って夏に出荷していると、桃を食べられる時期はとても短いなと寂しい気持ちを感じていたんです。心を込めて汗をたくさんかきながら一年かけて作っても実を食べてもらえるのはほんの2か月ほど。
「この美味しい桃を一年中食べてもらいたい!」という想いで生の桃を加工してジェラートを作り始めました。

行列が絶えない人気店

自分たちでジェラートを作る

藤桃庵のイタリアンジェラート「桃みるく」

最初は、家族経営で小さな工場を持つところでジェラート「桃みるく」を作ってもらい、少しずつ販売を始めました。最初はポツポツとしか売れませんでしたが、あるときテレビで取り上げられ、注文が殺到し発送まで2か月お待たせしてしまった方もいました。そして、ジェラートを製造していただいていた、おじさんが高齢になり「自分達でジェラートの工房をしてみたら」と言ってくれ、それがきっかけで、ジェラート店、『藤桃庵』(とうとうあん)を家の敷地内につくりました。それが8年前になります。

大盛況!でも、このままではいつか…

開店前から大行列の藤桃庵

桃農家が作る桃のジェラートはお陰様でここ数年はものすごい人気があり、夏には一日に500~600人の方が来店されることもあります。

でもお店があるのは畑と住宅街の中にある、一軒家の庭です。開店前から店の敷地からはみ出して行列ができてしまうので、行列を減らすために開店時間前に店を開けるのが夏は恒例になってしまいました。

駐車スペースも全く足りず、車を停めさせてもらえる土地を探して第5駐車場まで確保しました。それでも、道路にも車の列ができてしまうため、トランシーバー片手に家族総出で車の誘導をする必要がありました。高齢の両親も善意で手伝ってくれていますが、熱中症で倒れたこともあり、このやり方ではいつか立ち行かなくなる。そう不安を抱えながらも、来てくれる方に喜んでもらいたい一心で毎日営業していました。

五感全てで桃を楽しめる新店舗

新店舗は桃畑が見渡せる場所だそうです!

「もっと広くてお店の前に車を停められる駐車場」「たくさんのパフェやジェラートを作れるキッチン」そしてなによりも「たくさんの人にゆっくりくつろいでもらえる店内」が必要だと、お店を出せる土地を2年前から探し続け、その希望にあった場所が見つかりました!

オープンは来年の3月を予定しており、今は日々の仕事に加え開店準備に追われています。

そのお店では、2階からお店の隣の桃畑が見渡せるように考えています。また、畑の中にもベンチを置いて、桃畑の中でゆったり過ごしていただきたいと考えているんです。桃の花の香りに包まれてジェラートを食べてもらいたいですし、桃の実と一緒に桃のパフェの写真を撮ってもらったり、鳥や虫の声を聞きながら楽しんでいただけるお店にしたいと思っているんです。

今はジェラートと、フルーツを使ったパフェが主力商品ですが、新しいお店では寒い時期でも桃を楽しんでいただけるスイーツを開発したいと思っています。というのも、お客様に喜んでもらいたいのはもちろんですが、地元の桃山町に、夏以外の季節でも常に人が来てくれるようにしたいからです。

地域へ恩返しをしたい

夏以外にも桃山町に来て一年中桃を楽しんでもらいたい。一年中観光客があふれる町にしたい。そう思うようになったのは、町に恩返しをしたいと今強く感じているからなんです。

藤桃庵がこれだけたくさんの人に知ってもらえて喜んでいただけるようになったのは、先人たちがここを桃の産地として育ててくれた歴史があるからです。

私の原点は、農家として桃作りをしていたことです。桃の作り方を祖父から教わり、美味しい桃を作りたい、そして、この美味しさをどうにかして一年中届けたい!と、ずっとがむしゃらにやってきました。でも最近は、ふと立ち止まって自分にはどんな恩返しができるんだろうと考えることが増えてきました。

藤桃庵のスタッフ達にも本当に頭が下がります。夏は休みもなく毎日忙しく、皆朝から晩まで働きづくめなんですが、誰も文句も言わずついてきてくれているんです。

いろんな人の協力のおかげでここまでやってこれたので、今は新しいお店で一年中喜んでもらえる人をもっと増やし、町もお客様も笑顔をいっぱいにしていきたいと思っています。


それから、いつも何か新しいことを始めたいと言ったときに誰も反対しない家族は、もう本当にいい家族だなって思うんです。反対意見が全く出ないことを、ちょっと危なっかしいとも思うんですが(笑)でも、一番近くで自分のことを見てくれている人たちに信じてもらえることほど嬉しいことってないと思うんです。その家族の存在もあって新しいことに挑戦でき、ほんと感謝しています。

あとがき

新しいお店を通して町に恩返しをしたい!と話してくれた籔本さんですが、最初はただ目の前のことに必死でそんな考えは全くなかったと仰っていました。がむしゃらにやってきたけど、気づけば全て周りの人達のお陰だったと感じたそうです。

私自身は、甘い香りのする桃畑の中でゆっくりとスイーツを食べられるのが待ちきれないです!


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