新型コロナワクチン

SRRS-CoV2による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生して、もう2年以上がたとうとしています。この間このウイルスはあっという間に世界中に広がり、2009年のインフルエンザに続くパンデミックになってしまいました。このパンデミックに対応するために、ワクチンが迅速に開発され使用されていることはご存知のとおりです。ワクチンには不活化ワクチンと弱毒生ワクチンがあるとお話しましたが、今回開発されたワクチンは、ウイルスベクターワクチン、mRNAワクチン、不活化全粒子ワクチンの3つで、その他多くののワクチンが開発中です。これまでに一番多く使用されたのは、アストラゼネカ製のベクターワクチンで次がシノバックの不活化ワクチン、それに続いてファイザーのmRNAワクチンだそうです。

ウイルスベクターワクチンもmRNAワクチンもどちらかといえば生ワクチンに近いワクチンです。ウイルス粒子の表面にあるスパイク蛋白質(S蛋白質)という棘を利用したワクチンです。ウイルスベクターワクチンはS蛋白質の遺伝子(DNA)をその運び屋である風邪ウイルス(アデノウイルス)挿入してものです。mRNAワクチンは遺伝子(DNA)の転写産物であるmRNAを脂肪の粒子で包んだものです。これらのワクチンが生体に投与されると、それぞれの遺伝子が働きウイルスの棘の部分だけが体の中で作られます。ウイルスベクターの場合DNAからmRNAを経て二段階のステップになりますが、mRANの場合は直接蛋白質に翻訳されます。こうしてできたウイルスの棘は体にとっては異物ですので、抗体産生やキラーT細胞といった免疫応答が起きます。

中国製の不活化ワクチンもいろいろな国で承認されているようです。mRNAワクチンに比べて誘導される抗体の値はそれほど高くなく、防御効果も劣るようです。しかし、副反応は少ないようです。ワクチンの評価は有効性と安全性の両方で行われますが、リスクとベネフィットの兼ね合いで判断をせざるを得ません。投与される対象によってもその考え方は変わって来るかもしれません。例えば小児には、どのようなワクチンが望ましいのか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?