【非公式】【未完成】2020年度期補習所考査「税務第1回」の解答例


注意事項

・税務に関する記載内容について
 本ノートはあくまで「補習所考査における試験問題としての税務」について個人的な解答を記載しているに過ぎず、実際の税務について具体的な相談に応じるものではありません。そのため、本ノートの記載内容を利用して実際の税務申告等を行うべきではありません。本ノートを利用して税務を行うことは申告誤りの原因となりうる大変危険な行為ですので、絶対に行わないでください。
 また、税理士法違反(税務相談の禁止、税務書類の調製の禁止)を避けるため、個別具体の数値については算出していないことに留意してください。
・内容の正確性について
 本ノートの内容が正確であることについて、筆者は最善の努力を尽くしますが、必ずしも正確であることを保証することはできません。
 また、本ノートの内容が不正確であったために利用者が何らかの不利益を被った場合、筆者は責任を負いかねますので、各自の責任でご利用ください。
・本ノートの著作権について
 本ノートについて著作権者の許可として私の許可が必要な利用を行う場合、以下の条件を全て満たす限り、私の許可があったものとみなします。(ここで言う利用には、編集および再頒布を含みます。なお、引用その他の著作権者の許可を必要としない利用については、以下の条件に拘らず当然に可能です。)
1. (コピーレフト)
 二次著作物について、本ノートと同等の条件を満たす利用の場合、著作権者の許可があったとみなすこと。
2. (無償提供)
 二次著作物を他者に提供する場合は、無償で行うこと。
3. (不適切な編集の禁止)
 著しく不適切な編集等を行わないこと。当該編集には、明らかに誤った内容への編集や利用者に不利益を与えることを目的とした編集を含みます。
4. (盗作の禁止)
 二次著作物の提供に際して、原著作者が自身であるかのような表現を行わないこと。
5. (法令等の順守)
 原著作物が規制の対象となる各種法令や契約等について、二次著作物の提供に際しても当該法令・規則等を順守すること。これには、原著作物中の適法な引用について、二次著作物についても同様に適法な引用を行うことを含みます。

重ねて記載しますが、本ノートの記載内容を利用して実際の税務申告等を行うべきではありませんので、くれぐれもご注意ください。

参照したリソース

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会計教育研修機構「2020 年期 実務補習所考査問題 【税に関する理論及び実務】」https://jfael.or.jp/institution/jitsumu-cms/wp-content/uploads/2022/04/2020zeimu.pdf

国税庁「税大講本(令和4年度版、所得税法・相続税法・消費税法)」
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/index.htm 

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所得税

問1

答え イ
根拠
ア:
税大講本(所得税法)p.147「我が国の国税については、納税者が自ら税額を計算し、自ら納税する申告納税方式 を基本としている。」とあるから、賦課課税方式との記載は誤り。
イ:
税大講本(所得税法)p.9「納税義務者の課税所得の範囲」の表を参照すれば、記載通りであることがわかる。
ウ:
税大講本(所得税法)p.3「ところで、所得税法では、所得の種類を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得及び雑所得の10種類に分類して規定しているが、(以下略)」とあるから、14種類としている記載は誤り。
エ:
税大講本(所得税法)p.4「所得税法は、所得を1暦年(1月1日から12月31日まで)ごとに区切って把握しているが、(以下略)」とあり、計算期間は法により定められているから、任意に定めることができるとしている記載は誤り。

問2

答え ア、ウ、エ、カ
根拠
ア:
税大講本(所得税法)p.5「非課税所得の種類と根拠」の表より、「給与所得者の通勤手当 (所法9①五、所令20の2) (注)通勤手当のうち月額150,000円(平成27年12月31日以前は100,000円) を超える金額は給与所得として課税される。」とあるから、月額15万円以下の通勤手当は非課税所得に該当する。
イ:
税大講本(所得税法)p.22「「給与」とは、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき雇用主に従属して非独立的に提供した労務の対価として雇用主から支払を受ける給付などをいう。」とあるから、雇用関係に基づき個人が受領した金品は課税所得(給与所得)に該当する。
ウ:
経済産業省「これは、税務上、益金(個人事業者の場合は、総収入金額)に算入されるものですが、(以下略)」とあるから、記載の給付金は課税所得に当たる。
エ:
税大講本(所得税法)p.179「市町村又は特別区から給付される次の給付金について、所得税を課さないこととされ た。 ⑴ 家計への支援の観点から給付される令和2年度の一般会計補正予算(第1号)にお ける特別定額給付金給付事業費補助金を財源として給付される給付金(新型コロナ税 特法4①一、新型コロナ税特規2①)(以下略)」とあるから、記載の給付金は非課税所得に当たる。
オ:
税大講本(所得税法)p.39「「雑所得の金額」は、次のイとロの合計額である(所法35②)。 イ その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した金額(以下略)」とあるから、記載の年金は課税所得(雑所得)に当たる。
カ:
税大講本(所得税法)p.5「非課税所得の種類と根拠」の表より、「雇用保険、健康保険、国民健康保険の保険給付等(雇用保険法12、健康保険法62、国民健康保険法68)」とあるから、記載の給付金は非課税所得に当たる。

問3

答え イ
根拠
ア:
税大講本(所得税法)p.17「不動産等の貸付けの規模が事業的規模としてなされている場合でも、その所得は事業所得ではなく、不動産所得となる。」とあるから、事業所得に該当するとの記載は誤り。
イ、ウ、エ:
税大講本(所得税法)p.28「不動産所得に係る必要経費の取扱い」の表を参照すれば、イは記載通りであることがわかる。また、ウ・エは、事業的規模でない場合は適用がなく、誤りであることがわかる。

問4

答え ウ
根拠
ア:
税大講本(所得税法)p.69「減価償却資産の償却方法」の表を参照すれば、届出のない場合で定率法が適用される場合はないから、誤り。
イ:
国税庁「届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。」とあるから、実際に支給したかどうかにかかわらず必要経費に算入できるとの記載は誤り。
ウ:
税大講本(所得税法)p.66「販売費、一般管理費等の必要経費」の表を参照すれば、記載通りであることがわかる。
エ:
国税庁「なお、事業主が自己を被保険者とした所得補償保険の保険料を支払ったとしても、その保険料は家事費であり「業務について生じた費用」とはいえませんので、所得の金額の計算上必要経費に算入することはできません。」とあるから、必要経費に算入することができるとの記載は誤り。

問5

答え (税理士法違反回避のため、具体的な数値は記載しない。)
計算過程
 税大講本(所得税法)p.89より、「配当所得、給与所得、一時所得、雑所得の金額の計算上生じた損失」は損益通算の対象とはならない。
 また、税大講本(所得税法)p.44「負担の公平を図る見地から、長期譲渡所得の金額及び一時所得の金額の合計 額の2分の1相当額を他の所得と総合し、課税することになっている。」
 以上2点を考慮して、税大講本(所得税法)p.44に記載の算式で総所得金額を求めることができる。

問6

答え エ
根拠
ア:
国税庁「土地の取得に係る住宅ローンに関して住宅借入金等特別控除が適用されるのは、建物を住宅ローンで取得し、建物について住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローンの年末残高がある場合に限られます。」とあるから、借入金額に含めることはできないとする記載は誤り。
イ:
税大講本(所得税法)p.127「対象となる住宅借入金等は、①次の借入金又は債務のうち、②契約における償還期間又は賦払期間が10年以上のものに限られる(措法41①、措令26⑦⑧)」とあるから、20年以上との記載は誤り。
ウ:
国税庁「給与所得者は、控除を受ける最初の年分については、上記のとおり、確定申告書を提出する必要がありますが、2年目以後の年分は、年末調整でこの特別控除の適用を受けることができます。」とあるから、初年度から年末調整ができるとする記載は誤り。
エ:
国税庁「※(特定増改築等)住宅借入金等特別控除については、入居した年、その前年または前々年に、このマイホームを売ったときの特例の適用を受けた場合には、その適用を受けることはできません。」とあるから、記載通りである。

問7

答え エ
根拠
エ:
国税庁「青色申告をしていた被相続人の業務を承継した場合は、被相続人の死亡による準確定申告書の提出期限である相続の開始を知った日の翌日から4か月以内(ただし、その期限が青色申告の承認があったとみなされる日後に到来するときは、その日)までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。」とあるから、翌年3月15日までとする記載は誤り。

問8

答え (税理士法違反回避のため、具体的な数値は記載しない。)
計算過程
 本問では医療費控除額の算式が記載されており、うち不明なものは支出医療費の額のみであるから、事実上支出医療費を計算する問題である。以下の通り、乙の長男の支払額の全額と、乙の母の支払額のうち差額ベッド代を除いた全額の合計が支出医療費になる。
 乙の長女と孫について、税大講本(所得税法)p.97より、「居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族 に係る医療費を支払った場合に控除される(所法73)」とあるから、医療費控除の対象外である。
 同p97より対象となる医療費は「医師又は歯科医師による診療又は治療」などであるが、同p.97より「(イ) 健康増進や疾病予防などのための医薬品(ビタミン剤等)の購入費は、医療費とはならない。(ロ) 治療のための整形外科手術の費用は認められるが、美容整形の費用は認められない。(ハ) 健康診断のための費用(人間ドック)は医療費とはならないが、その健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、引き続きその疾病の治療をした場合には、その健康診断の費用も医療費に該当する。」とある。
 よって、乙本人と乙の妻の支出は対象となる医療費でなく、乙の長男の支出は人間ドッグ費用も含め全額が対象となる医療費である。
 乙の母について、これに加えて以下2点を考慮すれば、差額ベッド代を除いた全額が医療費となる。
・交通費について、国税庁「医療費控除の対象となる医療費は次の通り(中略)次のような費用で、医師等による診療、治療、施術または分べんの介助を受けるために直接必要なもの(1)医師等による診療等を受けるための通院費(中略)で通常必要なもの(以下略)」とあるから、医療費と認められる。
・差額ベッド代について、国税庁「本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は、医療費控除の対象になりません。」とあるから、医療費として認められない。

問9

答え (税理士法違反回避のため、具体的な数値は記載しない。)
計算過程
 丙本人について、その合計所得金額を踏まえて税大講本(所得税法)p.111「控除額」の表に当てはめれば、基礎控除の金額が算出できる。
 丙の妻について、その合計所得金額と税大講本(所得税法)p.108「控除対象配偶者」の表を参照すれば、控除対象配偶者ではないことがわかる。そこで、税大講本(所得税法)p.108「居住者が生計を一にする配偶者((中略)合計所得金額が133 万円以下の者に限る。)で控除対象配偶者に該当しないもの(中略)を有する場合には、一定の金額を控除する(所法83の2)。」に該当するから、参考資料の表に基づいて配偶者特別控除の金額を算出できる。
 また、税大講本(所得税法)p.109によれば、「控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち年齢16歳以上の者をいう(所法2① 三十四の二)。(中略)扶養親族とは、居住者の親族(配偶者を除く。)(中略)で、その居住者と生計を一にするもの(中略)のうち、合計所得金額が48万円以下である者をいう(所法2①三十四)。」であるから、丙の控除対象扶養親族は丙の長女と父のみである。(なお、税大講本(所得税法)p.110「控除対象扶養親族、特定扶養親族、老人扶養親族であるかどうかの判定は、その年12月31日(判定に係る者が、既に死亡している場合は、その死亡の時)の現況による(所法85③)。」)
 そこで、税大講本(所得税法)p.109-110の各表を参照すると、丙の長女について特定扶養親族、丙の父について同居老親にあたるとわかり、その扶養控除の金額が算出できる。
 さらに、丙の長女の勤労学生控除について、税大講本(所得税法)p.107「勤労学生控除の対象となる勤労学生とは、次に掲げる者で、自己の勤労に基づ いて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得(以下「給与所得等」という。) を有するもののうち、合計所得金額が75万円以下であり、かつ、合計所得金額の うち給与所得等以外の所得に係る部分の金額が10万円以下であるものをいう(所 法2①三十二)。 ① 学校教育法第1条に規定する学校の学生(中略)控除額は、270,000円である(所法82①)。」とあるから、金額が算出できる。
 加えて、丙の父の障害者控除について、税大講本(所得税法)p.105の各表を参照すれば、同居特別障害者として金額を算出できる。(なお、税大講本(所得税法)p.105「障害者であるかどうかの判定は、その年12月31日(その年の中途において死亡し、又は出国する場合には、その死亡又 は出国のとき)の現況による(所法85①②)。」)

問10-1

答え ウ
根拠
ア:国税庁「法人に現物出資した場合も資産の譲渡になり、所得税の課税対象とされます。」とあるから、譲渡所得の対象である。
イ:国税庁「個人が法人に財産を寄附したときは、その財産を時価で譲渡したものとみなされて譲渡所得が課税されます。」とあるから、譲渡所得の対象である。
ウ:税大講本(所得税法)p.5「非課税所得の種類と根拠」より、「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(所法9①十七)」は非課税とされる所得となるから、譲渡所得の対象でない。
エ:国税庁「権利金などの額が相当多額であるときなどは、土地の一部分を譲渡したこととその効果が変わらない場合があります。このような場合には、資産の譲渡があったものとして、その借地権や地役権の設定の対価として受け取った権利金などは分離課税の譲渡所得となります。」とあるから、譲渡所得の対象である。

問10-2

答え エ
根拠
ア:税大講本(所得税法)p.5「非課税所得の種類と根拠」より、「家具、じゅう器、衣服等生活に通常必要な動産の譲渡による所得(所法9①)」は非課税とされる所得となるから、譲渡所得の対象でない。
イ:国税庁「物納による譲渡所得等の非課税の取扱い(租税特別措置法40条の3、租税特別措置法施行令25条の18の2) 個人がその財産を相続税法の規定により物納した場合には、(中略)物納した土地のうち物納許可限度額に相当する部分の譲渡がなかったものとみなされる」から、譲渡所得の対象でない。
ウ:国税庁「課税されない場合(1)国や地方公共団体に対して財産を寄附した場合」とあるから、譲渡所得の対象でない。
エ:国税庁「個人が法人に財産を寄附したときは、その財産を時価で譲渡したものとみなされて譲渡所得が課税されます。」とあるから、譲渡所得の対象である。

問10-3

答え イ
根拠
イ:国税庁「相続や贈与によって取得したときは、被相続人や贈与者の取得の時期がそのまま取得した相続人や受贈者に引き継がれます。」とあるから、相続の日とする記載は誤り。

問10-4

答え エ
根拠
エ:国税庁「譲渡した株式等が相続したものであるとか、購入した時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、同一銘柄の株式等ごとに、取得費の額を売却代金の5パーセント相当額とすることも認められます。」とあるから、譲渡価額の10%とする記載は誤り。

問10-5

答え ア
根拠
ア:国税庁の「マイホームを売ったときの軽減税率の表」を参照すれば、記載通りであることがわかる。
イ:税大講本(所得税法)p.48「個人が、その年の1月1日において所有期間が5年を超える土地若しくは土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)又は建物及びその附属設備若しくは構築物(以下「建物等」という。)を譲渡した場合の、その譲渡による譲渡所得については、他の所得と区分して次のロの短期譲渡所得より低い税率により課税する(措法31①②)。分離長期譲渡所得に係る所得税額の計算式 課税長期譲渡所得金額×15%」とあるから、所得税率を20%とする記載は誤り。
ウ:国土交通省「5年超(長期)の土地等の譲渡(平成20年12月31日までの譲渡)のうち、優良住宅地の造成等のための譲渡について、(中略)2,000万円以下の部分 10%(+住民税 4%)分離課税」とあるから、所得税率を5%とする記載は誤り。
エ:税大講本(所得税法)p.49-50「(前略)株式等 の譲渡をした場合には、当該株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得については、他の所得と区分し、その年中の当該株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額に対し、15%の税率により所得税(地方税については 5%)を課税する(措法37の10①②、37の11①②)。」とあるから、所得税率を10%とする記載は誤り。

問10-6

答え ア
根拠
ア:国税庁「都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を500万円以下で売った場合には、その年の低未利用土地等の譲渡に係る譲渡所得の金額から100万円を控除することができます。」とあるから、全額非課税となるとする記載は誤り。

問10-7

答え ウ
根拠
国税庁によれば、アは「株式等で金融証券取引所に上場されているもの」、イ・エは「特定公社債」に該当し、ウのみが上場株式等に該当しない。

問10-8

答え エ
ア、イ:国税庁「他の口座での譲渡損益と相殺する場合や上場株式等に係る譲渡損失を繰越控除する特例の適用を受ける場合には、確定申告をする必要があります。」とあるから、常に申告不要とする記載、および一般口座と損益通算できないとする記載は誤り。
ウ:国税庁「源泉徴収口座を開設している金融商品取引業者等の営業所を通じて上場株式等(中略)に係る利子等または配当等(中略)の支払を受ける場合は、その上場株式等に係る利子等および配当等をその金融商品取引業者等の営業所に開設している源泉徴収口座に受け入れることを選択することができます。」とあるから、必ず特定口座に受け入れなければならないとする記載は誤り。
エ:国税庁「特定口座を開設している居住者等が、特定口座内に保管等されている上場株式等の譲渡による所得等について、源泉徴収を選択する場合は、その年の最初の譲渡の時までに、金融商品取引業者等に対して、「特定口座源泉徴収選択届出書」を提出する必要があります。また、その選択は、年単位であることから、年の途中で源泉徴収を行わないように変更することはできません。」とあるから、記載通りである。

問10-9

答え 
根拠
ウ:「つみたてNISAは(中略)非課税口座で取得した一定の投資信託(投資額は年間40万円が上限)について、その収益の分配やその投資信託を売却したことにより生じた譲渡益が、累積投資勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長20年間非課税とされる制度です(年分ごとにNISAとの選択適用)。」とあるから、投資信託でない上場株式を対象とするという記載は誤り。

問10-10

答え ア
根拠
国税庁「特例の適用を受けるための要件(1)相続や遺贈により財産を取得した者であること。(2)その財産を取得した人に相続税が課税されていること。(3)その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。」とあるから、1年以内の譲渡に限るとしている記載は誤り。

相続税・贈与税

問1

答え ①直系尊属 ②配偶者 ③2分の1 ④特別養子 ⑤1 ⑥現物 ⑦換価 ⑧3か月 ⑨公正証書 ⑩法人税
根拠
 ①②について、税大講本(相続税法)p.12「民法は、相続人として、配偶者と三つの血族関係者を定めている。そして、配偶者は、常に相続人となるが、血族関係者である相続人については、一定の順位を定めている(民法887⦅子及びその代襲者等の相続権⦆、889⦅直系尊属及び兄弟姉妹 の相続権⦆、890⦅配偶者の相続権⦆)。 ① 第1順位 子(代襲相続人(孫、曾孫など)を含む。) ② 第2順位 直系尊属(父母、祖父母など) ③ 第3順位 兄弟姉妹(代襲相続人(おい、めい)を含む。)」とあるから、空欄に該当するものは上述の通りとなる。
 ③について、税大講本(相続税法)p.13の「法定相続分」の表を参照のこと。
 ④⑤について、税大講本(相続税)p.23「被相続人に養子がいる場合には、次の区分に応じて、「法定相続人の数」に算入する養子の数が次の人数に制限される。 (イ) 被相続人に実子がいる場合 1人 (ロ) 被相続人に実子がいない場合 2人 この場合、次の者は実子とみなして(イ)又は(ロ)の数を計算する(相法15③、相令3 の2)。 ① 特別養子縁組(民法817の2①)による養子となった者」とあるから、空欄に該当するものは上述の通りとなる。
 ⑥⑦について、税大講本(相続税法)p.14の「遺産分割の方法」の表を参照のこと。
 ⑧について、税大講本(相続税法)p.13「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認若しくは限 定承認又は相続の放棄をしなければならない」から、空欄に該当するものは上述の通りとなる。
 ⑨について、税大講本(相続税法)p.137の「遺言の方式とその概要」の表を参照のこと。
 ⑩について、税大講本(相続税法)p.5「一般の営利法人が、個人や法人から財産を無償で取得した場合には、法人税が課税される(法法22 ②)」とあるから、空欄に該当するものは上述の通りとなる。

問2-1

答え (税理士法違反回避のため、具体的な数値は記載しない。)計算過程
 税大講本(相続税法)p.15によれば、相続税額の算出は課税価格の計算、相続税の総額の計算、各人の算出税額の計算、各人の納付税額の計算の順で行う。本問では相続税の総額の計算まででよい。
(課税価格)
 課税価格は、以下を踏まえれば税大講本(相続税法)p.25に記載の図の算式によって計算できる。甲の財産・債務のうち、
 ・生命保険はみなし相続財産にあたり、「被相続人がその保険料の全部を負担して いた場合には、取得した保険金の全額」が課税財産となる(税大講本(相続税法)p.16-18)。ただし、税大講本(相続税法)p.22-23より、「相続人が取得した保険金については、一定の金額 が非課税とされている(相法12①五)」ため、「500万円×「法定相続人の数」=保険金の非課税限度額」は非課税となる。
 ・仏具は「② 墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの(相法12①二)」にあたるから、非課税財産として課税対象から除かれる(税大講本(相続税法)p.22)。
 ・他の財産は、税大講本(相続税法)p.16に本来の相続財産として挙げられている課税財産である。
 ・債務は、税大講本(相続税法)p.30「相続税の課税価格の計算上、相続人又は包括受遺者が負担した債務の金額は、取得 財産の価額から控除される(相法13)」ことになる。
(相続税の総額)
 相続税の総額について、税大講本(相続税法)p.35によれば、①「課税価格の合計額」から「遺産に係る基礎控除額」を控除した残額に、②「法定相続人の数」に応じた「法定相続分」で按分した各取得金額を計算し、③その各取得金額 に「相続税の超過累進税率」を乗じて計算した金額を合計して、「相続税の総額」を算定する(相法16)。
 遺産に係る基礎控除額は、同p.35の算式を、法定相続人の数および按分については税大講本(相続税法)p.13の「法定相続分」の表を、相続税の超過累進税率については問題に添付された速算表を参照すれば、相続税の総額が計算できることとなる。

問2-2,2-3,2-4

答え
問2-2(解答用紙が公開されていないため、解答不能)
問2-3,2-4(税理士法違反回避のため、具体的な数値は記載しない。)
参考および計算過程
 税大講本(相続税法)p.64によれば、各課税方法は以下のように説明できる。
 ・暦年課税とは「暦年単位による贈与税の課税方法」である。
 ・相続時精算課税とは贈与時には特別の控除(累積2,500万円)と税率(一律20%)で贈与税を納付し、相続時には本制度を利用した受贈財産を相続税の課税価額に加えて贈与税額を算定する(贈与税として納付済みの額は控除される)課税方法である。
 このとき、暦年課税は通常の贈与税の課税方法であるから、通常の贈与税同様に課税価格(受贈財産価額の合計額)から基礎控除(110万円)を差し引いて、税率は贈与税の超過累進税率(10%-55%)を乗じて算出する(税大講本(相続税法)p.52-54)。
 一方、相続時精算課税では贈与税のほかに相続税が課税されるから、前問で示したように遺産に係る基礎控除などがあり、相続税の超過累進税率での納税が求められる。
 ここで、控除額および税率の差異から、どちらの課税方法を選択するかによって税額が異なることになる。

問3-1,3-2,3-3

答え (税理士法違反回避のため、具体的な数値は記載しない。)
計算過程
 正面路線の判定について、路線価×奥行価格補正率の高いほうの路線をいう(税大講本(相続税法)p.112)から、A・B双方についてこれを計算・比較することになる。なお、正面路線の奥行価格補正率考慮後の路線価は、ここで計算した数値の正面路線と判定された方となる。
 評価額について、国税庁に記載の算式で計算できるが、留意事項が2点ある。
 第一に、国税庁には「側方路線(または裏面路線)に宅地の一部が接している場合の側方路線影響加算額(または二方路線影響加算額)は、次のように調整します。」とあるから、前段で正面路線と判定しなかった方の路線は裏面路線となり二方路線影響額の調整を要する。なお、側方路線は存在しない。
 第二に、国税庁には「地区の異なる2以上の路線に接する宅地を評価する場合には、正面路線の地区に応じた率を適用して評価します」とあるから、二方路線影響額の算定上用いる奥行補正率は前段で正面路線と判定された路線のある地区のものを用いる。

問3-1

答え (税理士法違反回避のため、具体的な数値は記載しない。)
計算根拠
 税大講本(p.118-119)によれば、「上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の 公表する次の①の価額によって評価する。ただし、①の価額が、②~④のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価する。
 ① 課税時期の最終価格
 ② 課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額
 ③ 課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
 ④ 課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額」とされるから、これをもとに許容される最も低い価額を解答とすればよい。

問3-2

答え ①同族株主 ②同族関係者 ③30 ④50 ⑤類似業種比準価額
根拠
 ①~⑤について、評価基準通達188号1項に「「同族株主」とは、課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者(中略)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては、50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう。」とある。
 ⑤について、税大講本(相続税法)p.120の「会社規模による評価方式の区分」の表を参照のこと。

消費税

答え
(解答用紙が公開されていないため、解答不能。)
(税理士法違反回避のため、具体的な数値は記載しない。)
参考
 消費税の税額は、課税標準に税率を乗じて算出される(税大講本(消費税法)p.35)が、課税仕入れに係る消費税額は仕入税額控除として控除される(税大講本(消費税法)p.44)。
 本問は税込経理方式で、売上について課税売上高の内訳が課税区分ごとに記載されている。したがって、課税標準額および課税標準に係る消費税額は税大講本(消費税法)p.39の「税込経理方式の場合」の算式で計算できる。
 仕入税額控除について、本問において、課税売上高が5億円以下であること、および課税売上高(税大講本(消費税法)p.47-48)が極めて高いことから、仕入れ控除税額は課税仕入れに係る税額の全額となる(税大講本(消費税法)p.47)。
  以上で、課税標準額に係る税額と仕入控除税額が算出できたから、消費税額が算定できる。

(以下、未完成です。)