【非公式】2020年期補習所考査「購買・棚卸資産・原価計算」解答例
注意事項
・内容の正確性について
本ノートの内容が正確であることについて、筆者は最善の努力を尽くしますが、必ずしも正確であることを保証することはできません。
また、本ノートの内容が不正確であったために利用者が何らかの不利益を被った場合、筆者は責任を負いかねますので、各自の責任でご利用ください。
・本ノートの著作権について
本ノートについて著作権者の許可として私の許可が必要な利用を行う場合、以下の条件を全て満たす限り、私の許可があったものとみなします。(ここで言う利用には、編集および再頒布を含みます。なお、引用その他の著作権者の許可を必要としない利用については、以下の条件に拘らず当然に可能です。)
1. (コピーレフト)
二次著作物について、本ノートと同等の条件を満たす利用の場合、著作権者の許可があったとみなすこと。
2. (無償提供)
二次著作物を他者に提供する場合は、無償で行うこと。
3. (不適切な編集の禁止)
著しく不適切な編集等を行わないこと。当該編集には、明らかに誤った内容への編集や利用者に不利益を与えることを目的とした編集を含みます。
4. (盗作の禁止)
二次著作物の提供に際して、原著作者が自身であるかのような表現を行わないこと。
5. (法令等の順守)
原著作物が規制の対象となる各種法令や契約等について、二次著作物の提供に際しても当該法令・規則等を順守すること。これには、原著作物中の適法な引用について、二次著作物についても同様に適法な引用を行うことを含みます。
参照したリソース
特段の記述がなければ、最終アクセスは最初の投稿日(編集によって追加された項目は、追加された日)です。
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/shueki20200331_02_20220701.pdf
企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/shueki20210326_02.pdf
企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20200331_03.pdf
企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/shueki20200331_08.pdf
監査基準委員会報告書315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20210826faa.html
監査基準委員会報告書500「監査証拠」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20220622fdd.html
問1
解答例
1. 有償支給取引における会計処理の留意点
・収益認識の観点
収益の認識(売上の計上)はできない。
・買取義務と支給品の資産計上の関連性
買取義務が有る場合には支給品の消滅を認識する一方、買取義務がない場合には支給品の消滅を認識しない。
2. 有償支給取引の会計処理について
・買取義務なし
借方:未収入金1,000
貸方:棚卸資産800・有償支給に係る負債200
・買取義務あり
借方:未収入金1,000
貸方:有償支給に係る負債1,000
根拠
収益認識基準適用指針104項参照のこと。
また、収益認識基準70項より、一方が履行義務を果たしている場合には契約負債を適当な名称で計上する。
問2-1
解答例
リスク移転の時点:買い手(輸入者)の指定する船舶に貨物を積み込んだ時点
〇|貨物を積み地の港で本船に積み込むまでの費用
×|荷揚げ地までの運賃
×|海上保険料
×|輸入関税・通関手数料
根拠
日本通運「FOB|ロジスティック用語集」
https://www.nittsu.co.jp/support/words/def/free-on-board.html
問2-2
解答例
リスク移転の時点:買い手(輸入者)の指定する船舶に貨物を積み込んだ時点
〇|貨物を積み地の港で本船に積み込むまでの費用
〇|荷揚げ地までの運賃
〇|海上保険料
×|輸入関税・通関手数料
根拠
日本通運「CIF|ロジスティック用語集」https://www.nittsu.co.jp/support/words/abc/cost-insurance-and-freight.html
問3-1
答え
ア|個別平均法
イ|先入先出法
エ|総平均法
オ|移動平均法
カ|売価還元法
根拠
棚卸資産基準6-2項参照のこと。
問3-2
解答例
・説明
最終仕入原価によって期末棚卸 資産の価額を算定する方法
・容認される場合
①期末棚卸資産の大部分が最終の仕入価格で取得されているときのように期間損益の計算上弊害がないと考えられる場合
②期末棚卸資産に重要性が乏しい場合
根拠
棚卸資産基準34-4項参照のこと。
問3-3
解答例
①期末前後での販売実績に基づく価額
②契約により取り決められた一定の売価を用いる場合
根拠
棚卸資産基準8項参照のこと。
問3-4
解答例
①再調達原価の方が把握しやすく、正味売却価額が当該再調達原価に歩調を合わせて動くと想定される場合に該当すること
②継続して適用すること
根拠
棚卸資産基準10項参照のこと。
問4
答え
(1)棚卸資産の実地棚卸の省略
イ:四半期財務諸表作成のための簡便的な会計処理
(2)原価差異の配賦方法
イ:四半期財務諸表作成のための簡便的な会計処理
(3)原価差異の繰延処理
ア:四半期財務諸表作成のための特有の会計処理
(4)収益性の低下による簿価の切下げ
イ:四半期財務諸表作成のための簡便的な会計処理
根拠
四半期財務諸表基準45,47項参照のこと。
監査問1-1
解答例
①費用(仕入)の過小計上、資産(棚卸資産)の過大計上、債務(買掛債務)の過小計上
②網羅性
③期間帰属の適切性
根拠
①
購買プロセスの主な仕訳は三分法を想定すると、仕入/買掛債務および繰越商品/仕入である。
一方で、利益の過大計上を前提とすると、費用の過小計上が想定される。したがって、購買プロセスでは費用(仕入)の過小計上を想定するべきである。
また、仕入の過小計上を前提とすると、相手勘定である債務(買掛債務)の過小計上、および資産(棚卸資産)の過大計上も想定されうる。
②
費用の過小計上を念頭に置くと、監基報315A178項に記載されたアサーションのうち、網羅性と期間帰属が特に関連が強い。
網羅性は「記録すべき取引や会計事象が全て記録されていること、及び財務諸表に含まれるべき注記事項が全て含まれていること」(監基報315A178項)を指す。よって、これを満たさない場合には存在する仕入を財務諸表上に計上しない可能性があり、費用の過小計上につながる。
期間帰属は「取引や会計事象が正しい会計期間に記録されていること。」(監基報315A178項)を指す。よって、これを満たさない場合には当期に帰属するべき仕入を来期に計上する可能性があり、費用の過小計上につながる。
監査問1-2
答え
カットオフテスト
根拠
監基報500A27項参照のこと。「期末日後の支払、未払の請求書、仕入先の支払通知書、不一致がある検収報告書などの情報の検討」とは、すなわちカットオフテストのことである。