【非公式】2020年期補習所考査「財務諸表監査における不正」解答例
注意事項
・内容の正確性について
本ノートの内容が正確であることについて、筆者は最善の努力を尽くしますが、必ずしも正確であることを保証することはできません。
また、本ノートの内容が不正確であったために利用者が何らかの不利益を被った場合、筆者は責任を負いかねますので、各自の責任でご利用ください。
・本ノートの著作権について
本ノートについて著作権者の許可として私の許可が必要な利用を行う場合、以下の条件を全て満たす限り、私の許可があったものとみなします。(ここで言う利用には、編集および再頒布を含みます。なお、引用その他の著作権者の許可を必要としない利用については、以下の条件に拘らず当然に可能です。)
1. (コピーレフト)
二次著作物について、本ノートと同等の条件を満たす利用の場合、著作権者の許可があったとみなすこと。
2. (無償提供)
二次著作物を他者に提供する場合は、無償で行うこと。
3. (不適切な編集の禁止)
著しく不適切な編集等を行わないこと。当該編集には、明らかに誤った内容への編集や利用者に不利益を与えることを目的とした編集を含みます。
4. (盗作の禁止)
二次著作物の提供に際して、原著作者が自身であるかのような表現を行わないこと。
5. (法令等の順守)
原著作物が規制の対象となる各種法令や契約等について、二次著作物の提供に際しても当該法令・規則等を順守すること。これには、原著作物中の適法な引用について、二次著作物についても同様に適法な引用を行うことを含みます。
参照したリソース
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金融庁「監査における不正リスク対応基準」
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/kijun/20130326_fusei_risk.pdf
監査基準委員会報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20220622fdd.html
監査基準委員会報告書240「財務諸表監査における不正」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20210826faa.html
問1
答え
②と④
根拠
不正リスク対応基準付録2の例示と比較する。一応、本基準の記載内容を暗記していなくとも、「会計上の不適切な調整」という観点から会計用語を含むものを選択すれば正解できる。
問2
解答例
①:〇
②:〇
③:× 公認会計士の監査対象は財務諸表である一方、監査役等は財務諸表を作成する責任を有さないから、公認会計士には監査役等の不正を発見・防止することまでは期待されない。
根拠
①②監基報240の4項の文脈より、どちらも〇と判断できる。
③
監基報200の4項5項より、監査人による財務諸表監査の対象は財務諸表であり、財務諸表の作成責任は経営者が有するのであって、監査役等はそれを監査する立場にあることがわかる。その意味で、監査役等の不正を発見・防止することは期待されていないと判断できる。
なお、本基準を知らない場合、良識に照らして①②が〇であると判断した上で、消去法により③が×であると判断し、その理由として財務諸表作成責任を挙げることになると考えられる。
問3
解答例
同じ点:
不正も誤謬も、財務諸表の虚偽表示を生じさせる。
違う点:
1. 不正と誤謬は、財務諸表の虚偽表示の原因となる行為が、意図的であるか否かにより区別する。
2. 監査人にとって不正による重要な虚偽表示を発見できないリスクは、誤謬による重要な虚偽表示を発見できないリスクよりも高くなる。
根拠
監基報240の2項6項参照。
問4
(本問は基準等によらずに自らの考えを述べる必要があるため、相応に多様な解答が認められうると考えます。)
解答例
利点
1. 被監査企業とのコミュニケーションをより適時かつ容易に行うことができる。
2. 被監査企業の日常的な業務を間近に観察することができ、統制環境等への理解が深まる。
問題点
1. 被監査企業との関係性がより密に見えることから、外観的独立性に問題が生じる。
2. 常駐する会計士の稼働率は、常駐せずに複数社を監査する会計士よりも下がると考えられるから、監査の効率性の観点から問題がある。
根拠
被監査企業の社内にオフィスを置き常駐することについて、(必要な場合に限って被監査企業を訪ねることと比較して)利点と問題点を挙げる。
なお、エンロン事件を契機として監査人の独立性規制が強化されたことから、特に問題点については独立性を意識した解答が求められると考えられる。