【翻訳】Twitterファイル #7 - FBIとハンター・バイデンのラップトップ

この投稿はマイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger、@ShellenbergerMD)氏の2022年12月20日のツイート(下記のリンクを参照)の翻訳です。
誤訳や訳漏れがある可能性がありますので、記事の内容を参考にする場合は必ず下記リンクの英語原文に依拠してください。
また、できる限り原文に添付されている画像の内容を確認しなくても話の流れを理解できるように表現を変えたり、日本人に伝わりやすいように原文にはない文言や説明を追加したりしておりますので、ご承知おきください。
英語原文:


1. Twitterファイル #7
FBIとハンター・バイデンのラップトップ
FBIとインテリジェンス・コミュニティは、ニューヨーク・ポストが2020年10月14日にハンター・バイデン(Hunter Biden)のラップトップの中身を暴露した後だけでなく、その「前」から、ハンター・バイデンの海外での商取引に関する事実情報の信憑性を失わせるための活動をしていた。
 
2. Twitterファイル#6では、FBIが絶えずTwitterのコンテンツ、ユーザー、データなどに影響力を行使しようとしていることが明らかになった。
 
3. Twitterファイル#7では、インテリジェンス・コミュニティ(IC)の担当者が報道機関やSNS企業の上級幹部をターゲットとした組織的な取り組みによって、ハンター・バイデンに関するリーク情報が公開される前と後にその信憑性を失わせようとしていたことを示す証拠を提示する。
 
4. 話は2019年12月まで遡る。デラウェア州のコンピューターストアの店長であるジョン・ポール・マック・アイザック(John Paul Mac Isaac)が、ハンター・バイデンが置いて行ったラップトップについてFBIに通報した。2019年12月9日、FBIはハンター・バイデンのラップトップの提出命令状を発し、これを押収した。

5. マック・アイザックは犯罪活動の証拠を発見していたが、2020年8月になってもFBIからは全く音沙汰がなかった。そこで、当時FBIの監視下にあった元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)にメールを送った。そして、8月初旬、ジュリアーニはその情報をニューヨーク・ポスト(@nypost)に渡した。
(ニューヨーク・ポストの記事:https://t.co/TdaYhHMVRH
 
6. 10月13日午後7時(東部時間)の少し前に、ハンター・バイデンの弁護士であるジョージ・メシアス(George Mesires)はマック・アイザックにメールを送った。ハンター・バイデンとメシアスは、ラップトップに関する記事が翌日に公開されることをニューヨーク・ポストから聞いたばかりだった。

7. 午後9時22分(東部時間)、FBI特別捜査官のエルビス・チャン(Elvis Chan)は、FBIからTwitterへの一方向の連絡手段であるTeleporterを通じて、Twitterの前サイトインテグリティ部門責任者であるヨエル・ロス(Yoel Roth)に10件の文書を送った。

8. 翌2020年10月14日、ニューヨーク・ポストは衝撃的な記事を公開し、ジョー・バイデン大統領の息子であるハンター・バイデンの商取引について暴露した。そこに記載されていたすべての情報に誤りはなかった。

9. しかし、数時間後、TwitterなどのSNS企業はニューヨーク・ポストの記事を検閲し、拡散を妨げた上に、多くの米国人の心にその記事の信憑性に対する疑念を植え付けた。なぜそのようなことが行われたのだろうか。いったい何が起こったのだろうか。
 
10. 12月2日(米国現地時間)に公開されたTwitterファイル#1では、完全に正確な記事を検閲するという判断についてTwitter内部でどのような議論が行われたのかを、マット・タイービ(Matt Taibbi、@mtaibbi)が明らかにした。その後、Twitterファイルの記者たちは、インテリジェント・コミュニティが組織的な取り組みによってTwitterなどのプラットフォームに干渉していることを示す新たな情報を発見した。
 
11. まず理解しておかなければならないのは、ハンター・バイデンが、実質的な仕事は行っていないにもかかわらず、中国政府とつながりのある企業などの海外企業との契約で「何千万」ドルも稼いでいたということだ。こちらの動画で調査ジャーナリストのピーター・シュバイツァー(Peter Schweizer、@peterschweizer)が概要を説明しているので、参考にしてほしい。
(動画:https://twitter.com/i/status/1604878404486017026
 
12. しかし、2020年の一年中、FBIなどの法執行機関はハンター・バイデンのラップトップに関する報道をロシアによる「ハック・アンド・リーク」(ハッキングした情報を報道機関にリークすること)作戦であるとして退けさせるために、ヨエル・ロスに何度も入れ知恵していた。この画像は、2020年12月にロスが提出した宣誓宣言書の一部だ。
(画像リンク:https://pbs.twimg.com/media/FkWs5ECUcAYy0BE?format=png&name=medium

13. FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)によると、FBIは同社にも同じことを行っていた。ザッカーバーグは次のように語っている。「要するにFBIは私たちに連絡してきて、このようなことを言いました。『厳戒態勢を敷く必要があります。2016年の大統領選挙ではロシアによる大規模なプロパガンダが行われたと思われ、それと同じようなことが起ころうとしています。』」
(動画:https://twitter.com/i/status/1604880181906116608

14. FBIはハンター・バイデンに関連したロシアによるハック・アンド・リーク作戦についての警告を行ったが、これは情報機関からの「何らかの」新たな情報に基づいていたのだろうか。そうではない。2022年11月にFBIのエルビス・チャン捜査官は次のように認めている。「我々の捜査では、2016年の事件と同様の敵対的な侵入行為は発見されませんでした。」

15. 確かに、Twitter幹部はロシアによる極めて小規模な活動について「何度も」報告していた。たとえば、2020年9月24日、Twitterは「ロシアによる過去の組織的なハッキング攻撃に関係している」345件の「ほぼ使用されていない」アカウントを削除したとFBIに報告している。それらは、「ほとんど閲覧されていない、フォロワー数の少ないアカウント」だった。

16. 実際に、Twitter上で外国勢力による工作活動が行われているとジャーナリストが主張した際、Twitterはその虚偽を暴き、FBIに次のように報告している。外国勢力によってコントロールされているボットに関する@oneunderscore__と@NBCの「主張を裏付ける証拠は一切見られませんでした。これまでのレビュー結果によると、国内での小規模なトロール行為(インターネット上での嫌がらせや荒らし)であると見られます。」

17. トランプ支持者のツイートに外国勢力による工作の疑いがあると報じたワシントン・ポストの記事についてFBIが問い合わせると、Twitterのヨエル・ロスはこのように答えた。「この記事は当てつけが多く...それが真実であるという証拠は見られません(実際のところ、それが誤りであることを示す強力な証拠はたくさんあります)。」

18. ロスがFBIに反論したのは、これが初めてではない。2020年1月、FBIは通常の捜査令状プロセス外でTwitterにデータ共有を要請したが、ロスはこれに抵抗した。

19. あるTwitter幹部はロスに次のようなメッセージを送っており、圧力が高まり続けていることが分かる。「(組織的な取り組みではないとしても、)ICはより多くの情報の共有とAPIポリシーの変更をTwitterに迫り続けてきました。彼らはあらゆるところで強引に捜査しています(議員に耳打ちで情報を伝えることもあります)。」

20. 再三再四、FBIは外国勢力による工作活動の証拠を提供するようTwitterに要請したが、Twitterは報告に値するものは見当たらないとして、次のように回答している。「FBIに報告する(または外国勢力による工作という観点で興味深いものとしてピックアップする)のが一般的であると思われる活動は、まだ特定されていません。」

21. Twitterが抵抗しているにもかかわらず、FBIは、Twitterが通常の法的プロセス以外では共有しないとすでに明確に伝えている情報を何度も要求している。

22. その後、2020年7月には、FBIのエルビス・チャン捜査官がTwitter幹部に対する一時的な最高機密のセキュリティクリアランスを手配し、FBIが来る大統領選挙に関わる脅威についての情報を共有できるようにしている。

23. 2020年8月11日、チャン捜査官は、FBIの安全な一方向の連絡手段であるTeleporterを使用し、ロシアのハッカー集団APT28に関する情報をヨエル・ロスと共有した。

24. ヨエル・ロスは先日、ハンバー・バイデンのラップトップに関するニュースが出る前からロシアのハッカー集団APT28について入れ知恵されていたと、テクノロジージャーナリストのカラ・スウィッシャー(Kara Swisher、@karaswisher)に語っている。その際、ロスは次のように述べている。「それによって、APT28のハック・アンド・リーク活動に対する警戒心が高まりました。」
(動画:https://twitter.com/i/status/1604892289800605697

25. 2020年8月、チャン捜査官はTwitterに、最高機密のセキュリティクリアランスを取得している人はいるか尋ねた。Twitterの副法務顧問であるジム・ベイカー(Jim Baker)の名前が出ると、チャンは「彼のことをすっかり忘れていました」と答えた。チャンとベイカーはFBIで共に働いていた上に、チャンの仕事はTwitterの監視であることを考えれば、これはおかしな話だ。

26. ジム・ベイカーは、元FBI法務顧問(2014-2018年)であり、米国のインテリジェンス・コミュニティにおいて最も影響力のある男の一人だ。CNN、Bridgewater(運用資産残高1,400億ドルの資産管理会社)、ブルッキングス研究所に勤め、30年間も政府に出入りしていた。

27. ベイカーは、FBI法務顧問として、FBI内部においてドナルド・トランプの捜査(下記のリンクを参照)を開始する上で中心的な役割を担った。
(記事:https://t.co/TMIMTpUjDw

28. トランプの捜査に関わった後にTwitterの一員になったFBI上級幹部は、ベイカーだけではない。FBI長官ジェームズ・コミー(James Comey)の元首席補佐官代理であるドーン・バートン(Dawn Burton)は、トランプの捜査を開始した人物であり、2019年に戦略担当取締役としてTwitterに加わった。
 
29. 2020年時点で、Twitterではたくさんの元FBI職員が働いていて、独自のプライベートSlackチャンネルや、元FBI職員の新人が会社に慣れるために役立つ資料を作成していた。

30. ヨエル・ロスを感化する取り組みは続いていた。2020年9月、ロスはアスペン研究所において、ハンター・バイデンに関連する「ハック・アンド・ダンプ」(ハッキングしてデータを書き出すこと)作戦が実行された場合を想定した「机上演習」に参加した。目的は、メディアによる取り上げ方とSNSによる伝え方を具体化することだった。

31. 進行役のヴィヴィアン・シラー(Vivian Schiller)は、NPRの元CEO、Twitterの元ニュース責任者、ニューヨーク・タイムズの元ゼネラルマネージャー、NBCニュースの元最高デジタル責任者という数々の経歴を持つ人物だ。参加者には、Meta/Facebookのセキュリティポリシー責任者、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの国家安全保障関連主席記者がいた。

32. 2020年9月中旬、エルビス・チャン捜査官とヨエル・ロスは、メッセージ交換用の暗号化されたネットワークを構築し、FBI職員とTwitter社員が連絡を取れるようにした。また、二人は「(インターネット)業界全体、FBI、ODNI(国家情報長官室)」用の「バーチャル作戦指令室」を作ることに合意している。

33. 続いて、2020年9月15日、FBIの外国干渉捜査本部(Foreign Influence Task Force、FITF)を率いるローラ・デームロウ(Laura Dehmlow)とエルビス・チャンがジム・ベイカーに対して、ヨエル・ロスなどの他のTwitter社員を含めずに極秘ブリーフィングを行うことを要請した。

34. 10月14日、ニューヨーク・ポストがハンター・バイデンのラップトップに関する記事を公開した直後に、ロスは「これがハッキングされた素材の配布に関するポリシーに違反しているかも、他のポリシーに違反しているかも、明らかではありません」としながらも、「いささか狡猾な情報リーク作戦であるように感じます」とメッセージを送っている。

35. ベイカーはロスに返信し、ハンター・バイデンの資料は偽造、ハッキング、またはその両方が行われたものであり、Twitterポリシーに反していると繰り返し主張している。ベイカーは10月14日と15日に、メールだけでなくGoogleドキュメントでもこれを主張した。

36. しかし、ベイカーがハンター・バイデンのメールは偽造またはハッキングされたものだと考えていたとは、とても思えない。ニューヨーク・ポストはハンター・バイデンが署名した領収書の画像を掲載しており、FBIが2019年12月にラップトップを押収したことを示す提出命令状もある。

37. FBIはどうかというと、ラップトップがハンター・バイデンのものであると「数時間」で確認できた可能性が高い。実際に、ジャーナリストのピーター・シュバイツァーがそれを証明するのに数日しかかからなかった(下記の動画リンクを参照)。
(動画:https://twitter.com/i/status/1604903049339604994

38. 午前10時には、Twitter幹部は突飛なハック・アンド・ダンプ説を受け入れており、ヨエル・ロスは次のように述べている。「専門家は、この事件には別々に行われた複数のハッキングが関わっていて、ハッキングされた資料がラップトップに書き込まれ、不思議なことにそのラップトップがデラウェア州の修理店に持ち込まれたと提唱しており、真実味があります。」

39. 同10月14日午後3時38分、ベイカーはFBI法務顧問室の一員であるマシュー・J・ペリー(Matthew J. Perry)と電話で話し合う準備をしていた。

40. FBIに感化されていたTwitter幹部は、ハンター・バイデンのラップトップに関する情報は内部告発者からのものでは「ない」と納得してしまった。ある幹部は、ワシントン・ポストの記事に基づいた米国の政治専門誌The Hillの10月15日の記事へのリンクをメールで送信している。その記事では事実に反して、ルディ・ジュリアーニによるラップトップに関する情報のリークとロシアに何らかのつながりがあると示唆されている。

41. 報道機関への情報のリークを主な目的とした外国勢力による工作活動について、FBI捜査官が選挙で選ばれた議員に警告を行ってきたという証拠がある。これは、不適切な認知を生み出すために使われる政治的な汚い手口だ。
 
42. 2020年、ハンター・バイデンについての調査を行っていた上院議員のチャック・グラスリー(Chuck Grassley)とロン・ジョンソン(Ron Johnson)は、FBIによるブリーフィングを受けた際に、その調査に「ロシアが介入」していることを示す証拠を要求した。両議員は、このブリーフィングはその調査の信頼性を失墜させるために行われたものであるとして、激怒した。
 
43. 両議員は次のように訴えている。「FBIによる不要なブリーフィングがきっかけとなり、我々の調査活動がロシアの偽情報作戦を助長しているという誤った情報を民主党員とリベラルメディアが広めるようになった。」

44. 特に、元FBI法務顧問のジム・ベイカーは「2度」、2017年と2019年に、報道機関への情報漏えいの疑いで捜査を受けている。記事(下記のリンクを参照)によると、2019年の捜査の際、弁護士がベイカーの供述を遮り、まだ司法省で捜査中であるため今は質問に答えさせることができないと述べた。これを受けて、保守的な下院議員連盟であるフリーダム・コーカス(Freedom Caucus)の会長マーク・メドーズ(Mark Meadows)が、「ベイカーが犯罪容疑で捜査を受けている最中だから、何も答えさせることはできないと仰るのですか」と質問すると、弁護士は「はい」と答えた。
(記事:https://t.co/bnZCcZoprc

45. 最終的に、報道機関、Twitter、その他のSNS企業の幹部をターゲットとしたFBIの干渉活動は成功し、感化された幹部たちはハンター・バイデンのラップトップに関する記事を検閲して、信憑性を失わせた。2020年12月、ベイカーと彼の同僚はFBIの活動について感謝を伝えている。

46. FBIの干渉活動は、Twitterに数百万ドルの人件費を支払うことで成り立っていたと言えるかもしれない。2021年の初めに、ジム・ベイカーの仲間はこのように報告している。「嬉しい知らせです。2019年12月以降に受け取った金額は3,415,323ドルでした!」

47. そして、FBIはSNSプラットフォーム企業に圧力をかけ続ける。2022年8月、Twitter幹部はFBIとの会議の準備をしていた。FBIの目的は、「FBIからのより多くのEDRに対して情報を提示するようTwitterを説得すること」だ。EDRとは、「緊急情報開示要請」、つまり無令状捜索を指す。

48. ニューヨーク・ポストの記事(下記のリンクを参照)によると、TwitterファイルによってFBI上級捜査官がTwitterに関与していたことが暴露されていることを受け、下院議員のジム・ジョーダン(Jim Jordan、@Jim_Jordan)は「We the People(米国政府に対する請願を行うためのウェブサイト)で政府が偽情報活動を行っているのではないかと懸念しています」と述べている。
(記事:https://t.co/nlbBPTeDg8
 
49. 政治指向を問わず、Twitterファイルを読んでいるすべての人がこのような懸念を抱かなければならない。
<了>


訳者注記:
誤訳や訳漏れがある可能性がありますので、記事の内容を参考にする場合は必ず上記リンクの英語原文に依拠してください。

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