【翻訳】Twitterファイル #10 - コロナに関する言論の不正操作

この投稿はデイビッド・ツワイク(David Zweig、@davidzweig)氏の2022年12月26日のツイート(下記のリンクを参照)の翻訳です。
誤訳や訳漏れがある可能性がありますので、記事の内容を参考にする場合は必ず下記リンクの英語原文に依拠してください。
また、できる限り原文に添付されている画像の内容を確認しなくても話の流れを理解できるように表現を変えたり、日本人に伝わりやすいように原文にはない文言や説明を追加したりしておりますので、ご承知おきください。
英語原文:


1. Twitterファイル
Twitterによるコロナに関する言論の不正操作
– 真実だが米国政府の政策に対して不利に働く情報の検閲
– 異論を唱える医師などの専門家に対する信用毀損
– CDC(米国疾病予防管理センター)の独自データを共有したユーザーを含む、一般ユーザーの弾圧
 
2. Twitterファイルではこれまで、Twitterの秘密のブラックリストの証拠、FBIの子会社のような役割を担った経緯、幹部が自身の政治的願望を叶えるためにTwitterルールを改変した経緯を取り上げてきた。
 
3. そしてまだ取り上げられていないのが、コロナだ。今回はその重要なトピックに関する記事をThe Free Press(@thefp)に寄稿する。
 
4. 米国政府はTwitterなどのSNSプラットフォームに対し、コロナに関する一部のコンテンツを持ち上げ、その他のコンテンツは抑え込むよう圧力をかけた。
 
5. The Free Pressの仕事で筆者が閲覧したTwitterの内部資料によると、トランプ政権とバイデン政権のどちらもTwitter幹部に直接圧力をかけ、政府の意向に合わせてパンデミックに関するTwitter上のコンテンツをモデレーションさせていた。
 
6. 会議の議事録によると、パンデミックが始まった頃、トランプ政権は特にパニックによる買い占めを懸念していた。そして、「食料雑貨店への駆け込み」に関する「誤情報を食い止めるためにテック企業の支援」を求めた。しかし、食料雑貨店への駆け込みは発生した。

7. トランプ政権との会議には、Twitterだけでなく、Google、Facebook、Microsoftなども参加した。

8. 交代したバイデン政権がTwitter幹部との会議で初めに要請したことの中にも、コロナ対応が含まれていた。バイデン政権が特に注視していたのは、アレックス・ベレンスン(Alex Berenson)などの「反ワクチンアカウント」だ。

9. 2021年夏、バイデン大統領は、SNS企業がワクチンに関する誤情報を放置し、「人々を殺している」と発言した。バイデンがそうコメントした数時間後にベレンスンのアカウントは停止され、翌月にはTwitterから追放された。
 
10. ベレンスンはTwitterを訴えた(その後和解した)。その訴訟手続きの中で、Twitterは社内でのやり取りを公開せざるを得なくなり、ベレンスンに対して措置を講じるよう政府から直接圧力を受けていたことが明らかになった。

11. 政府との会議の内容についてTwitterの米国パブリックポリシー担当責任者であるローレン・カルバートソン(Lauren Culbertson)がまとめた2022年12月の会議要旨も、政府の圧力があったことを示しており、政府がTwitterに何度も直接干渉しようとしていたことは確実だ。
 
12. バイデン政権はTwitterがいくつかのアカウントに対する停止措置についてあまり積極的ではなかったことに「激怒」していたと、カルバートソンは記している。政府はTwitterに対応を強化するよう求めたのだ。

13. Twitter幹部は、バイデン政権の意向に完全には従わなかった。Twitter社内のやり取りを広範囲にわたって精査したところ、社員は多くの場合、モデレーションについて極めて詳細に議論していたことが明らかになった。そしてその際、言論の自由に対して政府より慎重な姿勢を示していた。
 
14. しかしTwitterは、政府の公式見解に反する意見を弾圧した。その多くは、医師や科学専門家の見解だった。その結果、公の議論の拡大につながったであろう合理的な調査結果や疑問が表に出てこなくなった。
 
15. Twitterのプロセスには3つの重大な問題があった。
1つ目は、コンテンツモデレーションの多くを、機械学習やAIでトレーニングしたボットで行っていたことだ。見事な技術だが、そのような繊細な仕事に利用するにはまだまだ未熟だ。
 
16. 2つ目は、フィリピンなどを拠点とする請負業者にもコンテンツモデレーションを行わせていたことだ。請負業者にはその判断プロセスで使用するフローチャートが与えられていたが、心筋炎などの難しいトピックに関するツイートに対して判断を下したり有効性データを隠したりする業務を専門家ではない人に行わせれば、高確率でミスが生じるのは当然だ。

17. そして、最も重要な3つ目は、Twitterでは上級幹部がボットやフローチャートによるモデレーションを行うコンテンツを選択し、エスカレーションやアカウント停止などを主観的に決定して、責任を負っていたことだ。どんな人や組織もそうであるように、Twitterにも個人や集団のバイアスがあった。
 
18. コロナに関しては、経営陣の信条に沿って大きなバイアスがかかった。
 
19. 必然的に、異論を唱えるコンテンツは合理的であっても誤情報としてラベル付けされ、私見や明らかに正しい情報をツイートした医師などのアカウントが停止された。
 
20. その一例を紹介しよう。ハーバード大学医学部の疫学者であるマーティン・クルドーフ(Martin Kulldorff)博士は、米国の公衆衛生当局や左派とは相反する意見をツイートした。左派といえば、Twitter社員のほぼ全員が属する政治派閥だ。

21. 社内メールを見ると、モデレーション担当者は、クルドーフ博士が「COVID-19について誤解を招く情報に関するポリシー」に反するツイートによって「誤った情報」を共有したと主張し、「措置を講じる意思」を示している。

22. しかし、クルドーフ博士の発言は専門家の見解であり、他の多くの国々のワクチン政策とも合致した内容だった。しかし、Twitterのモデレーション担当者は、CDCのガイドラインと異なっているという理由で、「誤った情報」と見なした。
 
23. Twitterが措置を講じると、クルドーフ博士のツイートには「誤解を招く」というラベルが表示されるようになり、返信やいいねが一切できなくなった。ツイートを多くの人に見せて共有できることがTwitterの表向きの中核機能であるが、それが制限されてしまったのだ。

24. 筆者が内部資料を精査したところ、「誤解を招く」とラベル付けされたツイートや完全に削除されたツイートが無数にあることが分かった。中には、ツイートの内容がCDCのガイダンスから逸脱していたり、経営陣の見解と異なっていたりするだけで、アカウント停止に至っているケースもあった。
 
25. 自称公衆衛生ファクトチェッカーで18,000人のフォロワーがいる@KelleyKgaのツイートは、CDCの「独自データ」を示していたにもかかわらず、「誤解を招く」とラベル付けされ、返信やいいねができなくなった。

26. 内部の記録によると、ボットがたくさんの「告げ口」を受けて、そのツイートにフラグを付けたようだ(ユーザーからの報告のことをシステム上では面白おかしく「告げ口」と呼んでいる)。それがきっかけとなって人による手作業での審査が行われ、CDCの実際のデータを示したツイートであったにもかかわらず、「誤解を招く」とラベル付けされてしまった。
 
27. 実のところ、「誤解を招く」とラベル付けされた@KelleyKgaのツイートは、実際の誤情報を含むツイートへの返信だった。
コロナが子供の病死の主な原因になったことはないが、その事実に反する主張をしたツイートが「誤解を招く」とラベル付けされないままTwitter上に残っていたのだ。

28. それでも相変わらず、人間とアルゴリズムの両方によって、正しい異論を唱えているツイートにフラグ付けや弾圧が行われた。
医師のアカウントである@_euzebiusz_のツイートは、公表された研究結果に言及しているにもかかわらず、「誤解を招く」とラベル付けされた。

29. ロード・アイランド州の医師であるアンドリュー・ボストム(Andrew Bostom)は、誤情報を理由にストライクを複数回課された後、アカウントを無期限に停止された。そのストライクのうちの1回は、mRNAワクチンに関する査読済みの研究結果に言及したツイートが原因とされていた。
(訳者注:「ストライク」について、詳しくはこちらのTwitterポリシー(https://help.twitter.com/ja/rules-and-policies/medical-misinformation-policy)をご参照ください。)

30. しかし、Twitterの内部資料を調査したところ、ボストムの弁護士がTwitterに連絡した後に内部監査が行われ、ボストムに対する5回の違反認定のうち正当なのは1回だけであると判断されていたことが明らかになった。

31. その際にやはり違反であると判断された1件は、子供にとってインフルエンザとコロナのどちらの方が危険なのかを論じたツイートであり、合理的だが公衆衛生機関の主張に対して不利に働くデータを引用していた。

32. このツイートはボットによってフラグ付けされた上に、違反であることが担当者によって手作業で確認されていたことから、アルゴリズムと人間の両方のバイアスが働いていたことが分かる。ボストムのアカウントは数か月間停止されたが、ようやくクリスマスに復活した。
 
33. 人間のバイアスが暴走した例として、トランプのあるツイートへの対応も取り上げたい。トランプの多くのツイートは社内で大きな議論を呼んだが、そのツイートも例外ではなかった。

34. 当時Twitterの副法務顧問だったジム・ベイカー(Jim Baker)は、コロナを恐れる必要はないと世間に呼びかけたトランプのツイートが「COVID-19について誤解を招く情報に関するポリシー」への違反とされないのはなぜかと、現実離れした質問をした。

35. Twitterの前信頼・安全部門責任者であるヨエル・ロス(Yoel Roth)は、楽観的な意見は誤情報ではないという説明しかできなかった。

36. @KelleyKgaがCDCのデータをツイートした件について思い出してほしい。彼女から問い合わせを受けたTwitterは、返信で明確に次のように述べている。「弊社は、ますます閲覧または拡散される可能性のあるコンテンツを優先的に審査し、ラベルの適用を行います。」

37. 公衆衛生機関は、パンデミックを封じ込めることを他の懸念事項よりも優先した。Twitterは、上級幹部の政治的な知恵と政府からの圧力により、その対応を「科学的」であると判断した。
 
38. たとえばワクチンの有害性を示す情報や、特に子供にとってのコロナのリスクを軽視していると捉えられる情報など、Twitterの見解に反する情報は、モデレーションや弾圧の対象となった。そのような意見が正しいかどうか、広く受け入れられているかどうかは、関係なかった。
 
39. 大手メディアは言うまでもなく、TwitterなどのSNSプラットフォームにおいても、コロナの起源、ロックダウン、子供にとっての本当のリスクなどについてもっと開かれた議論が行われていたら、果たしてこのパンデミックとその結末はどのようなものになっていただろうか。
 
40. この記事の執筆を支援してくれたマイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger、@ShellenbergerMD)、レイトン・ウッドハウス(Leighton Woodhouse、@lwoodhouse)、リー・ファン(Lee Fang、@lhfang)、The Free Press(@thefp)チームに感謝したい。
 
41. 下記のThe Free Pressのページで、このスレッドの詳細版を公開している。
(詳細版:https://t.co/3QnsdJk40j


訳者注記:
誤訳や訳漏れがある可能性がありますので、記事の内容を参考にする場合は必ず上記リンクの英語原文に依拠してください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?