【翻訳】Twitterファイル #2 - 秘密のブラックリスト

この投稿はバリ・ワイス(Bari Weiss、@bariweiss)氏の2022年12月9日のツイート(下記のリンクを参照)の翻訳です。
誤訳や訳漏れがある可能性がありますので、記事の内容を参考にする場合は必ず下記リンクの英語原文に依拠してください。
また、できる限り原文に添付されている画像の内容を確認しなくても話の流れを理解できるように表現を変えたり、日本人に伝わりやすいように原文にはない文言や説明を追加したりしておりますので、ご承知おきください。
英語原文:


Twitterファイル #2
秘密のブラックリスト

1. Twitter内部資料の新たな調査により、Twitter社員がブラックリストを作成して、好ましくないツイートのトレンド入りを阻み、アカウント全体の露出やトピックのトレンド入りを積極的に制限していたことが分かった。これらはすべて、ユーザーに知らせることなく秘密裏に行われていた。
 
2. Twitterはかつて、「何の妨げもなく瞬時に考えや情報を生み出して共有する力をすべての人にもたらす」という目的を掲げていた。しかし、やがて妨げが設けられてしまった。
 
3. たとえば、スタンフォード大学のジェイ・バッタチャリア博士(Jay Bhattacharya、@DrJBhattacharya)は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴うロックダウンは子どもに悪影響を及ぼすと主張した。Twitterは密かに博士を「トレンドブラックリスト」に入れて、博士のツイートがトレンド入りしないようにした。

4. また、人気の右派トーク番組司会者であるダン・ボンジーノ(Dan Bongino、@dbongino)は一時、「検索ブラックリスト」に入れられていた。

5. 保守活動家であるチャーリー・カーク(Charlie Kirk、@charliekirk11)のアカウントは、「拡散防止」に指定されていた。

6. Twitterは、そのようなことは行っていないとしていた。Twitterの前法務・ポリシー・信頼部門責任者であるビジャヤ・ガッデ(Vijaya Gadde)と製品部門責任者のケイボン・ベイクポア(Kayvon Beykpour)は2018年に、「シャドウバンは行っていません」と述べ、さらに「政治的な立場やイデオロギーに基づいてシャドウバンをすることは絶対にありません」と断言した。
 
7. 一般的に「シャドウバン」と呼ばれているものを、Twitterの幹部と社員は「ビジビリティフィルタリング」(露出制限)あるいは「VF」と呼んでいた。上層の複数の関係者がその意味を認めている。
 
8. 「ビジビリティフィルタリングは、ユーザーの目にとまるものを制限するためのとても強力な手段です」とTwitterの上級社員は語った。
 
9. つまり「VF」とは、Twitterがユーザーの露出をコントロールすることを意味する。TwitterはVFを駆使して、個々のユーザーが検索に引っかからないようにしたり、特定のツイートの見つけやすさを制限したり、特定のユーザーの投稿が「トレンド」ページやハッシュタグ検索で表示されないようにしたりしていた。
 
10. そのようなことを、ユーザーに秘密で行っていたのだ。
 
11. 「Twitterはコンテンツの露出を多少コントロールしています。拡散も多少コントロールしています。そして、一般の人にはそれがどれくらい行われているのか分からないようになっています」とTwitterのエンジニアは述べており、他のTwitter社員2名も認めている。
 
12. 特定のユーザーの閲覧者数を制限するかどうかを判断していたのは、「ストラテジック・レスポンス・チーム - グローバル・エスカレーション・チーム(SRT-GET)」だ。多くの場合、1日に200件以上処理していた。
 
13. しかし、正式なチケットシステムや書面上のTwitterポリシーに則ってモデレーションを行う一般社員より上位の組織があった。それが、「サイト・インテグリティ・ポリシー - ポリシー・エスカレーション・サポート(SIP-PES)」である。
 
14. この秘密の組織には、法務・ポリシー・信頼部門責任者のビジャヤ・ガッデ、信頼・安全部門責任者のヨエル・ロス(Yoel Roth)に加え、のちのCEOであるジャック・ドーシー(Jack Dorsey)やパラグ・アグラワル(Parag Agrawal)らが含まれていた。
 
15. 政治的に慎重な対応が求められる極めて重大な判断は、そこで行われていた。「フォロワー数が多く、よく物議をかもすアカウントを思い浮かべてみてください。(そのアカウントには)おそらくチケット対応も何も行われていません」と別のTwitter社員は語った。
 
16. そのレベルの審査の対象となったアカウントの一つが、@libsoftiktokだ。このアカウントは、「トレンドブラックリスト」に入れられ、「SIP-PESと協議せずに対処してはならないユーザー」に指定されていた。

17. このアカウントは2020年11月にチャヤ・ライチック(Chaya Raichik)が作成したもので、現在では140万人以上のフォロワーがいるが、ライチックによると2020年だけで6回も停止されている。そのたびに、ライチックは1週間ほど投稿できなくなった。
 
18. Twitterは、「ヘイト行為」に関するTwitterポリシーへの違反でアカウントが停止されていると、ライチックに繰り返し説明した。
 
19. しかし、2022年10月のSIP-PESの内部メモには、7度目のアカウント停止のあと、同委員会が「LTT(@libsoftiktok)はヘイト行為に関するポリシーへの違反行為に直接関与していない」と認めたことが記されている。

20. 同委員会は、ライチックの投稿が「ジェンダー・アファーミング・ケア(性自認を尊重する医療)は児童虐待やチャイルドグルーミング(児童に対する性的誘引)と同じである」とほのめかすことによって「病院や医療提供者」へのオンラインハラスメントを扇動したとして、ライチックのアカウント停止を社内的に正当化した。
 
21. これに対し、2022年11月21日にライチックの個人情報が投稿されたことによって何が起こったかを見てほしい。ライチックの家の写真と住所がTwitterに投稿され、いいね数が1万以上にのぼった。
 
22. 住所が拡散されたことをライチックがTwitterに報告すると、Twitterサポートからはこのようなメッセージが返ってきた。「報告されたコンテンツを確認しましたが、Twitterルールへの違反は見受けられませんでした。」対応は一切行われなかったのだ。個人情報が記載されたツイートは、まだ残っている。

23. Slackでの社内メッセージで、Twitter社員はポリシーの解釈の仕方によってツイートや話題の露出を制限することについて話し合っていた。2021年の初めには、前信頼・安全部門グローバル責任者のヨエル・ロスが、これについて同僚にダイレクトメッセージを送っている。

24. ロスはその6日後、健康・誤情報・プライバシー・アイデンティティ調査チームの社員にダイレクトメッセージを送り、「エンゲージメントの無効化、拡散防止、ビジビリティフィルタリングなど、ユーザーを完全には排除しない形でポリシーに基づいて行う介入」を強化するための調査を進めるよう要請している。

25. ロスのメッセージには、このように書かれている。「たとえば誤情報にさらされたユーザーに直接的に害が及ぶとすれば、Twitterは誤情報の露出を減らすための改善を行う必要があり、私たちのこれまでの取り組みの多くはそのような前提に基づいて行われています。そして、そのための手っ取り早い方法は、コンテンツの拡散やバイラリティを制限することです。」
 
26. ロスはさらに、このように続けた。「ジャック(・ドーシー)が委員会に加わり、近いうちに市民活動の阻害への対策としてこれを行うことになっていますが、より幅広いポリシーの改善にこれを取り入れるためには、より確かな論拠が必要になります。」
 
27. @shellenbergermd、@nelliebowles、@isaacgrafstein、そしてThe Free Press(@thefp)チームからの報告によると、この話にはまだまだ続きがある。
Twitterと我々の新しいウェブサイト(http://thefp.com)でこの話の真相を究明していくので、お見逃しなく。

28. 「Twitterファイル」の筆者には、幅広い内部資料が次々と提供されている。合意している条件はただ一つ、最初にTwitterで記事を公開することだけだ。
 
29. リポートは始まったばかりだ。文書だけですべての真相を把握することはできない。これまで取材に応じてくださったすべての方々に感謝したい。Twitterの現社員や元社員からの連絡もお待ちしている。ぜひ、tips@thefp.comへご連絡いただきたい。
 
30. 次回は@mtaibbiが公開予定だ。


訳者注記:
誤訳や訳漏れがある可能性がありますので、記事の内容を参考にする場合は必ず上記リンクの英語原文に依拠してください。

いいなと思ったら応援しよう!