【為替介入が成功しない理由】

前回、為替介入についてと為替介入の結果を左右するアメリカの現状について説明しました。今回は日本の為替介入がなぜアメリカの影響を受けるのかについて共有します。

 結論、今回の日本政府による為替介入が失敗することで得をするのはアメリカだということです。

たかや:なんで?日本の為替が安定したからってアメリカに攻撃するわけでもないのに。

 前回、アメリカは今急激な物価上昇に襲われているという話をしましたが、それが大きなヒントです。政府は物価上昇を抑えるために、ドル高、つまりドルを買いたい人が多く、ドルの価値が高い状態を維持したいと考えています。ドルの価値が高ければ、他の国からすればドルを買うときに払わなければいけない代金も高くなり、輸入がしづらくなり、アメリカの輸出量が減少します。そうすれば国内で流通するドルの量を制限することができます。(よくわからなければ前回の「パン」の例を見てみてください!)

 ここに問題があります。ドル高を維持するためには他の国通貨には通貨安のままであってもらう必要があります。例えば、日本の円が1ドル=130円に戻ったとすると、円を持っている日本企業からすればドルは買いやすくなり、アメリカからの輸入もしやすくなります。つまりアメリカの輸出量が増える。だからアメリカは日本の為替介入には失敗してほしいのです。

たかや:アメリカがどう思っていようが関係ない!日本が勝手に為替介入をしちゃえばいいだけの話じゃん。

 それがそうもいかないんです。ここで今まで日本で行われてきた為替介入について調べてみると単独介入か強調介入かによって結果は大きく異なることがわかった。成功例としては1995年、仁保年が急激な円高を記録したときに日本は今回同様為替介入を行った。そのとき、アメリカは当時世界2位の経済大国であった日本の経済失速はアメリカにとっても、世界経済にとっても不利益だと言う目線で、側面支援を行い、円高に歯止めをかけることができました。

 一方で、1991年以降、政府がアメリカの賛同なく行った為替介入は全部で65ヶ月ありますが、その中で狙い通りに為替相場が変動したのはそのうちのわずか18ヶ月だけにとどまっています。つまり、アメリカの賛同なく行った単独介入では十分な効果を発揮することができません。

 そもそもなぜアメリカの賛同がそんなに大きな影響力をもっているのかというと、アメリカが実質的に国際経済上有利になるような仕組みになっているからです。これは今までに共有した「基軸通貨国」というのが関係しています。基軸通貨国の特権は2つある。1つ目はほとんどの貿易が自国通貨で行われれること。貿易において通貨を交換する必要がないため、基本的に他国の事情から起こる為替相場の変動には大きな影響を受けづらくなっています。2つ目は世界の通貨ドルを自由に発行する権限がること。ほとんどの貿易がドルで行われ、どのドルの発行権限はアメリカの中央銀行が持っているため、輸入のために必要なドルを好きなだけ発行することができるのです。

たかや:無限にお金生み出せればどれだけいいだろうって小さい頃に思ってたけど、、アメリカはその権限を持っているってことか!すご!!

 他人事じゃないですよ。アメリカが好き勝手にドルを発行し続ければ、ドルの流通量が増えますね。そうするとどうなるでしょうか。

たかや:世界中の紙がなくなる

 ここぞとばかりに微妙なボケを入れてこないでください。龍棟梁が増えればドルの価値が下がり、為替相場の変動が起こります。ドル安になれば基本的に他の国は通貨高になるため今度は輸出がしづらくなります。そうすれば国単位で輸入額が輸出額を上回る貿易赤字になって、、

たかや:もういいもういい!つまり他の国が不利益を被るってことね。

 そういうことです。つまり話を戻すと、今回の為替介入は今のアメリカにとっては不利益になってしまうため、賛同はもらいづらい。そしてそれは為替介入が効果を出しづらいことを意味しています。
 経済レクチャーの1回目にあったように、世界のトップに立っているのは金融界で、金融面のトップに立つ企業はモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなどアメリカ企業。やはりアメリカが世界のトップに立っているという構造を、為替・基軸通貨という面からみて改めて確認することができました。

今回の為替介入に関してのニュース共有は以上です!ご意見くれた方、コメントくれた方、いいねくれた方ありがとうございました!
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