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『MOTHER2』といっしょだったころ。

もうすぐ47歳になります。
つまり来年は48歳でその次の年は49歳になるということです。
47歳にもなって7歳でもできる計算に自信がないのか、と思われているのかもしれませんね。
だけど問題はもっと深刻で、実は僕、自分が47歳ではなく、まだ17歳なのでは、という気がしてならないのです。
47歳とはいえボケるには早すぎるだろう、と思われているのかもしれませんね。
僕だってこんな気持ちに気づきたくはなかったです。

きっかけは今から五分前。
引っ越しのため大掃除をはじめていたのですが、開始早々、押し入れに押し込まれていたダンボールを見つけ、フタを開けて中を確認すると、そこには高校時代の保健体育の教科書と一冊のノートが入っていました。
普段なら脅されても見ないものでも掃除中なら見てしまう。掃除とはそういうものです。
教科書をぱらぱらめくっていると、こんな項目が目に飛び込んできました。

【人の一生】

人間としてこの世に生を受けたものがどのような道筋を歩んでいくのかという一般的な過程がイラストつきで描かれていました。
まず誕生。幼少期を経て小学校、中学校へ通い、高校にもいきます。多くの人はここで恋を経験するといいます。その恋を実らせ大学に進学し、卒業と同時に社会人へとクラスチェンジします。役者や作家などアーティストを目指していた人は新人としてデビューするそうです。
二十代中盤から後半で結婚。家庭を持ちます。子供も生まれ親となります。
三十代になれば仕事で責任ある立場になり、やりがいと昇給を獲得します。
四十代を迎えたころには、重役に抜擢され、その分野の有名人となります。
五十代では後継者の育成を任されるようになり、尊敬を集めるといいます。
六十代。円満な退職。十分な資産と体力で第二の青春が幕を開けるのです。

いま読んでいるのはアマチュアの小説投稿サイトにアップされている作品の中でもとびっきりひどいやつのあらすじではなく、文部科学省に認定された教科書の一部です。

ああ、勘違いしないでください。
別に僕は現実を憂いたり政治的な主張をしたいわけではないんです。
むしろ逆で、この教科書に載っているようなありふれたごく普通の人生をおくれていない自分に腹が立っているところなんです。

なぜか最近、動画サイトのおすすめコーナーに、偉人や有名人のスピーチがよく表示されるようになりました。
いつもVTuberのゲーム配信しか見ていないのに、どうしてそんなのをすすめてくるのかわからなかったのですけれど、箸休めにいいだろうと思い、ためしにクリックしてみたんですよ。
これが意外に面白くてハマってしまい、さらにそこで気づきもあったんです。
数多の成功者たち。多少の差はあれ、彼らは実にありふれた人生を歩んでいたのだということに。
早くから夢を見つけ、二十代でデビュー、三十代で成功して、四十代で業界の中心的存在となり、五十代ではその偉業を伝えるため世界中を飛び回る。
なんとも教科書通りの人生です。

僕だってちゃんと義務教育を受けて特に問題を起こすこともなく卒業したのに、どうしてこんな人生になってしまっているのでしょう。
例えば普通ならスムーズに進学できるはずの大学受験に僕は失敗しました。
それから間もなく、妹が人を刺しました。
おかしいですよね。
妹というものは可愛いものであって、人様を刃物で刺して刑務所に入るものではないと認識していたのですが。
被害者の家族も被害者と同等に扱われるのと同じで、加害者の家族も加害者のような扱いを受けるのが世の常というものです。
ラクガキと書くと言葉は軽いですけれど、あれは器物損壊罪や建造物損壊罪に問われる実はかなりの重罪なので当然やるべきではないのですが、ウチの家だけは法の適用外になったのか、毎日ジェットセットラジオのようなグラフィティであふれかえっていました。
それからどうやら名誉毀損罪も適用外になっていたようです。
さらに父の経営していたナタデココのデザートを振る舞う店が全く振るわなくなり、口にすればジョークだと思われるような額の借金を背負うハメになりました。無謀な事業拡大が招いた結果です。
それらの問題を解決するのにほぼ20年かかりました。
20年です。
人が生まれて大人になるまでの時間です。
十代後半の人間が四十歳になるまでの、教科書に書いてある一般的で普通の人生なら、最もエネルギーにあふれ、自由な時間であるその20年を僕は家族に奪われたのです。
だからといって父と妹を憎んではいません。
憎むべきは一人のみ。それは僕自身です。
教科書通りではないこの間違いだらけの人生。その最初の間違いは僕の弱さからはじまったのです。

保健体育の教科書と一緒に出てきた一冊のノート。
このノートは一ページしか使われていません。
そこには一人の少女が描かれています。
描いたのは僕。
へたくそな絵ですが、モデルとなった少女はとても可憐で美しい人です。
その絵を見た瞬間、僕の心は30年前のあの日に戻されるのです。
まだ17歳だった1994年の9月に。


「ねえ、これって、もしかして──私?」

9月とはいえまだ暑い放課後の教室。
誰もいないと思っていたのに、思ってもみなかった少女の姿がそこにあったのです。
僕はつい、彼女の名前を口にしてしまいました。
「……MOTHER2さん」
クラスの、いえ、あのときすでに世界的な有名人となっていたクラスメイトのMOTHER2さんがそこにいたのです。
僕の机のそばで、僕のノートを開いてじっと見ていたのです。
そしてそこには確かに、僕の描いたMOTHER2さんの絵がありました。
「ごめんなさい。下手ですよね、嫌ですよね。消します」
ノートを奪おうとする僕の手をMOTHER2さんは、闘牛士のようにかわします。
「全然下手じゃないし、いやじゃないよ? それに消すくらいなら、これちょうだい」
「……え? どうして?」
「どうしてって、嬉しいから」
「……は?」
嬉しい、という言葉に何かマイナスの意味があっただろうかと必死に頭を働かせたのですが、特に見あたりません。
「というか、勝手にノート見てごめんなさい。床に落ちてたから拾ったとき、ちらっと見えちゃって」
MOTHER2さんは、僕なんかに頭を下げてきます。
「いえいえ、あやまるのは僕のほうですよ。勝手に描いてごめんなさい」
とりあえず全力で頭を下げます。
「別に著作権は主張しないよ?」
そういってMOTHER2さんはいたずらっぽく笑いました。可愛かったです。
それからMOTHER2さんは両手を使って丁寧に、まるでモーゼが海を割るように美しく僕のノートから自分の描かれたページをきり開いたのでした。
「ところで、どうして私を描いてくれてたの?」
「それは……」
いえません。このところ父の経営しているナタデココの店が上手くいってなくて、もうずいぶんおこづかいをもらえていなくて、クラスメイト全員が持ってるMOTHER2を僕だけ持ってなくて、それがつらくてくやしくて、ノートに描いて気をまぎらわしてたなんて。
「ねえ」おもむろにMOTHER2さんはいいます。「プレイさせてあげよっか?」
「はい?」僕は首をかしげます。「何をですか?」
MOTHER2さんはいいました。
「私を」
僕はわけがわからなくて混乱しました。
「いやいやいや、そんなとんでもないですよMOTHER2さんからMOTHER2をさせてもらうなんて!」
「気にしなくていいよ。いまここに誰もいないし、絵ももらっちゃったし、それに私、けいご君のこと気に入っちゃった」
「誰ですか、その、けいご君って」
「きみのことだよ。クラスメイトなのに、どうして敬語なの?」
「……それは」
僕は敬語が標準語だからです。
困惑がとまらないまま、僕はMOTHER2さんにエスコートされながら、念願のMOTHER2と対面を果たしたのです。
「間違ってたり、変なとこさわってたりしたら、すぐにいってくださいね」
「大丈夫、大丈夫。リラックスして」
そして僕のMOTHER2がスタートしたのです。

「えっと、何か速度を選べって出てきたんですけど、これはどうすれば?」
「好きなのを選べばいいんだよ」
「……そうですか、では」
僕はなんとなく『はやい』を選択します。
「うんうん、けいご君は速いと思ってたよ」
「……どういう意味ですか?」
MOTHER2さんはくすくす楽しそうにするだけで答えてくれません。
しかたなく僕は選択を進めていきます。
サウンドはステレオ、ウィンドウタイプはプレーンで。
すると今度はキャラクターに名前をつけろと表示されました。
「どんな名前をつければいいんですかね?」
「自分の名前は?」
「僕、こういうのに自分の名前つけるの苦手で」
「だったら私のおまかせでいい?」
「お願いします」
MOTHER2さんはカーソルを動かして主人公とおぼしき少年に『ケイゴ』と名づけました。
「結局、僕のことじゃないですか」
とはいえ頼んだのは僕なので文句はいえません。それに実は悪い気もしませんでした。
MOTHER2さんは次々と他のキャラクターの名前もつけてくれました。
ペットの名前や、好きな献立も。
そして最後に『カッコイイと おもうものは?』と訊かれました。
「あ、これは僕が入力してもいいですか?」
「もちろん」
僕には当時、最高にカッコイイと思うものがありました。
アバンストラッシュ。
それを入れずにはいられません。
ところが入力文字数に制限があるのか、どれだけねばっても『アバンストラ』までしか入力することができません。中途半端です。
どうにかして全て入力しようと、ついつい力任せになりました。
「こら、けいご君、ダメだよ。いたいって」
「あっ! ごめんなさい、ごめんなさい!」
気をつけていたはずなのに、いつの間にか夢中になって、僕はMOTHER2さんに乱暴なことをしてしまっていたのです。
「もう。次またやったら、おこるからね?」
夕陽のせいでそう見えただけなのか、どこかMOTHER2さんの顔は紅かったのです。
そのとき、人の声が近づいてくるのがわかりました。
あわてて僕たちは距離をとります。
二人組の女子が教室に入ってきて、彼女たちはMOTHER2さんの存在を確認するなり、歓喜の声を上げて急接近していきます。
忘れたわけではありませんが、彼女は──MOTHER2さんは世界的な人気者なのです。
MOTHER2さんとは対照的に存在を感知すらされていない僕は虫みたいに教室から出ていきます。いつもの癖でズボンのポケットに手を入れます。紙の感触がありました。
ゴミでも入れていたのかと思い、指でつまんで出してみると、それはメッセージの書かれたメモでした。そこにはこうあります。
また明日ね。

何かのジョークかただのあいさつだったのか、とにかく結論として、翌日の放課後、教室にMOTHER2さんはいました。
「じゃあ昨日のつづきをしようか、けいご君」
「どうしてですか?」
「だってまだ名前入力しただけじゃん」
「そうではなくてですねMOTHER2さん、お仕事いそがしいのでは?」
「けいご君が気にすることじゃないよね」
「気にしますよ。どうして僕なんかのために時間を?」
「そんなに気にするなら、けいご君も私のために時間を使ってよ」
「……何をすれば?」
とんでもないことを要求される予感がしました。
「また私の絵を描いてよ」
生後三ヶ月の赤ちゃんより欲のない要求でした。

それからときどき。
MOTHER2さんが日本に帰って学校にくるときの放課後。
僕はMOTHER2さんにMOTHER2をさせてもらいました。
「けいご君は、もっと自信を持つべきだよ」
どういうわけかMOTHER2さんは僕に親身に話をしてくれます。
自信とやらの重さが30グラムくらいだったとしても、僕には持てる自信がありません。
どうしてこんなに後ろ向きで悲観的なのか。
思い出せないだけで理由があったのか、それとも生まれつきなのか。
僕が黙っていると、ささやくようにMOTHER2さんはいいました。
「ねえ、けいご君ってさ……運命って、信じる?」
「運命……ですか? それはどういう?」
「なんていえばいいのかな。たぶん人によって違うんだろうけど、場所だったり仕事だったり人だったり。それに出会った瞬間、あっ私ってここにくるために生まれてきたんだって確信できる、ゆるぎない直感みたいなもの?」
「そうですね……そういうのは、ちょっとないですね」
少し嘘をつきました。ちょっとどころか全然ないのだから。
「そっか。ねえ、けいご君──」
ただでさえ距離が近いのにMOTHER2さんはさらに顔を近づけてきます。
「──私ね、明後日から海外の仕事でもう学校にはこれなくなると思うの。だけど明日はまだここにいるし、学校にはこれないかもしれないけど、伝えたいことあるから二丁目の噴水のある公園にきてくれないかな、じゃあねばいばい」
普段は普通にしゃべるMOTHER2さんなのに、このときだけはメッセージの速度が『はやい』になっていたのか、それだけまくしたてると教室から出て行きました。
僕はバカではありません。
アニメの鈍感な主人公とは違います。
MOTHER2さんが僕に好意を持ってくれていることに気づいてはいました。理由はわからないけど。
そして僕はバカです。
翌日、約束の時間になっても公園ではなく教室にいるのだから。
これでいいのです。
こうやって台無しにしてしまうのが最善なんです。
僕は何も書かれていない黒板をじっと見つめていました。

そのときです。
歌が、聞こえてきました。

トゥトゥルットゥ トゥトゥルットゥ トゥールー

独創的なはなうたを響かせながら金髪の美少女が入ってきました。
金髪なので当然、不良です。
僕は彼女の名を呼びます。
「……デイトナUSAさん、どうしたの?」
「おい、けいご。お前はクソだな」
デイトナUSAさんと会話をかわしたのは今この瞬間がはじめてなのに、彼女はMOTHER2さんしか使わない僕のあだ名を呼び、軽く罵声も浴びせてきました。
「MOTHER2の気持ちを知りながら、どうして応えてやらない?」
「だって、不釣り合いでしょ。僕とMOTHER2さんは」
「てめえのことなんて知るかよ!」
みなさん、これが不良です。話が通じないんです。
「キャラクター的に釣り合ってないカップルなんて海外じゃ当たり前なんだよ」
口を開けば海外では海外ではと、人格を与えられた地球儀のようなデイトナUSAさん。
これは後でわかったことなのですが、彼女は日本はもちろん県外にすら出たことのない生粋の地元民でした。
「とにかくアタシがMOTHER2のところまで連れていってやる。約束の場所を教えな」
「どうしてデイトナUSAさんが? 関係ないじゃないですか」
「どうしようもないやつらを見つけるとよ、どうにかしたくなっちまうんだよ。海外では」
迷惑だな、海外。
とはいえ、自発的に口を割らなければ物理的に口を割られそうな勢いなので、しかたなく僕は口を開きます。
「……三丁目の公園です」
「よし! 任せろ!」
僕を乗せたデイトナUSAさんは、法律が許すぎりぎりの速度で三丁目の公園に向かいました。
到着しました。
そこにMOTHER2さんの姿はありません。
「クソ、どうしていないんだよMOTHER2は。何があっても待ってるもんだろ。海外だったら待ってるぞ」
デイトナUSAさんは吠えます。
おそらくですがMOTHER2さんは僕をまだ待ってくれているはずです。
二丁目の公園で。
ここは三丁目の公園です。
時間はやぶってもどうにかなるときはあるでしょう。
だけど、場所をやぶってはどうしようもありません。
デイトナUSAさんは間違いなく不良だけど、いい人なんだと思います。
僕は不良ではありませんが、間違いなくクズです。
MOTHER2さんとは、それ以来、会っていません。


みなさんの思っていることを代弁します。
お前、さっきからずっと何いってるんだ?
MOTHER2と知り合い? クラスメイト? それどころか好意を寄せられていた?
調べようがないからって適当なことばかりいうなよ。
そう思っていらっしゃることでしょう。
ええ、そうですよ。
全部、僕の妄想です。
さっきWikipediaを見たらMOTHER2さんと同い年で実家が近所だとわかったので、思いついたんです。
彼女はまさに、正しい人生の体現者といえるでしょう。
十代で夢を見つけ、それを叶え、二十代三十代で着々と成功を重ね、四十代となった今は世界的な評価を得ている。間違いなく五十代ではそのジャンルの代表的な成功者として世界中でスピーチを求められていることでしょう。

仮に。仮にですよ。仮に例えば学生時代の僕が彼女に公園で呼ばれてノコノコといってみたら、きっとそこには親衛隊的な人たちがゾロゾロいて、僕はソニックブラストマンごっこでもされていたことでしょう。
いやあ、本当にいかなくてよかったですよ。

ところであなたは夢について、どう思われますか?
夢には常に二つの恐怖が付随しているといいます。
叶わないのではという恐怖と、叶ってしまうのではという恐怖。
ありえない成功を想像したことは? ないとはいわせませんよ。
きっとそれを叶えた自分、手にした自分を呼吸みたいに繰り返していた時期があったはずです。今まさにそれをしているのかもしれませんね。

可能性というやつはひどくきまぐれで、何の準備もできていないのに、唐突に自分のドアをノックしてきたりするんです。
そのノックに『YES』と応えられれば夢は叶うとわかってる。だけど準備ができていないと縫いつけられてるみたいに口は開かない。
あるところに夢のような恋を夢見る男がいた。
ありえないことにその夢は叶えられそうになった。
だけど男は自分に自信が持てず『YES』といえなかった。
彼女は男の描いた絵が好きだといってくれた。
だから男は最高の絵を描き上げることができれば、口は開くはずと信じた。
だけど、どれだけ描いても納得のできるものを仕上げることはできなかた。
だからいえなかった。公園にもいけなかった。
どうしようもない、いくじなし。まるでタコ。
最近、ネット小説にハマってまして、投稿しようと考えてるプロットです。どうです?


いやはや、いけませんね。
掃除をはじめようとして開始五分で古い教科書とノートを見つけて、それのおもいで話にもう二時間ですよ。
近藤麻理恵さんが知ったら発狂するでしょうね。

これ、何だかわかります?
むかしはこの平べったいティッシュの箱みたいなやつにゲームが入ってたんですよ。
今はほとんどクラウドですからね。
僕ね、いまどきのゲームって苦手なんですよ。
どれもこれも自由度が高くて、なにをやっても許されるじゃないですか。
ゲームの一番いいところって、正しいことをしないと先に進めないことだと思うんですよね。
ここでこのアイテムを使わなきゃいけないとか、あの鍵がないとこの扉は開かないとか。
そうやって正しい行動をとることでのみ先に進めて、誰もが同じハッピーエンドを迎える。最高じゃないですか。
どうして人生は、正しいことをしなくても勝手に先に進んでしまうんでしょうね。
僕が過ちをおかした17歳のとき、あそこで時間がとまって、いかにもゲーム的な解決策があらわれて、そうして正しく楽しい人生が再開するべきじゃないですか。
だからきっと僕はまだ17歳なんです。
きっとまだ学校イベントの途中で、このあとカミナリにでもうたれて目を覚ますとそこにMOTHER2さんがいて、僕はまだ学生で、ああ変な夢を見たなって笑うんですよ。きっとそうなんですよ。
そうとでも思わないと、あまりにも惨めで救いがないじゃないですか、僕のこの世界は!

とり乱してすみません。
話は変わるんですけど、クラウドといえば少し前に大手のゲーム配信サービスが唐突に終了して、お金は返ってきたけどゲームのセーブデーターは抹消されちゃったじゃないですか。
かなり問題視されたし僕もあれはどうかと思ってたんですけど、さっぱり消えてくれるのはクラウドサービスのむしろ利点なのかもしれませんね。
危険ですよ紙は。こうしていつまでも残って、ホコリを払えば一瞬であの時代へ戻されてしまうんですから。
あのとき正しく行動していれば、もしかしたら今ごろは教科書通りの正しい人生を歩めていたかもなんて、まだ思ってしまうんですから。
まったく、思い出は重いで……。
47歳なんですよ。これくらいは許してくださいよ。

おしまい






「ねえ、これって、もしかして──私?」


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