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野宮有先生『マッド・バレット・アンダーグラウンド』読書感想文

まちがいさがしをしましょう。
こちらの画像には一つの間違いがあります。それを見つけて下さい。
正解はのちほど。

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「だけどたまに、恐ろしくなることがある。……俺は爆薬入りの首輪を巻かれた兵隊だ。後にも先にも、網膜に映し出される光景は死体の山だけ。自分がいつそこに加わるのかは分からない。それは明日かもしれないし、今日かもしれない。だが、戦場から逃げることだけは決して許されない」
『マッド・バレット・アンダーグラウンド』 3.Stuck in the Trafficより抜粋

お餅ってあるじゃないですか。
まず餅米を蒸して、それをサルカニ合戦のラストで、自宅に帰ってきたサルがまず囲炉裏で体をあたためようとすると、そこからアツアツの栗が飛び出してきて、バーニングマロンアタックを食らったサルは水桶で火傷を冷やそうとするけど、そこに隠れていた蜂に刺され、慌てて家から出ていくと玄関で待ち伏せていた牛のフンに滑ってころんで、そこへすかさず屋根に潜んでいた臼に押しつぶされて死んでしまいましとさ──その臼に入れて杵でペッタンペッタンして作る、みんなの好きなあれです。
そんな大人気のお餅だというのに、なぜか私は昔からお餅が苦手なんです。
別に嫌いではないですよ。食えって刃物を向けられたら普通に食べますよ。
ただ、自分から進んで食べようとは思いません。
うちの家族はみんなお餅好きなので、本当に理由がよくわからないんですよ。
自分の中で一番現実味のある原因は『モチモチの木』という絵本のせいだと思うんですよ。
幼少のころ、とにかくあの絵本に謎の恐怖を感じておりまして、もうあの作品を構成する全ての要素を怖れてたんですよ。今は克服しましたけど。
子供心に強烈なインパクトを刻んでくれたのは間違いなくタイトルの『モチモチの木』のモチモチ部分であることは明白であり、それでお餅がダメになったと思うんですね。
これ本当に言いがかりやネタでいってるのではなくですね、本当に幼いころ『モチ』っていう字面や発音自体から逃げてた時期もあったんですよ。
とはいえ、真相はどうなのか自分でもわかりません。
これを突きとめるには、タイムマシンに乗って過去の自分にモチモチの木のモチ部分をニクに変えたニクニクの木をプレゼントして、現代に戻ってきてその瞬間、私が肉を食べられなくなっていたら、間違いなくモチモチの木のせいです。

苦手な食べ物の話など誰も楽しくないでしょうから、おいしい料理の話でもしましょうか。
ちょっと前にですね、偉い人に都内某所にあるその筋では有名なシェフの経営しているという高級なレストランでごちそうになったんですよ。
どちらかといえば小さなお店だったんですけど入った瞬間、モンスターハウスかってくらい人であふれてまして、空席ないのではと思ったら、数ヶ月前から予約してくれていたらしく、その席に案内してもらえました。
笑気ガスの実験でもしているのか、ちょっと異様なくらい周りの人たちが笑顔で料理を口に運んでいたので、否応なく期待は高まります。
最初にスープ的なものと塩が登場しました。
料理のオプションに塩がついてきたときのあのプレッシャーって何なんでしょうね。
それはコンソメスープのようなものだったんですけど、一口すすった瞬間に、素材の主張がすごいんですよ。
そこに入ってるニンジンやタマネギがLv100なんですよ。
あ、これはそうとう鍛えてますねって野菜リテラシーのない自分でもわかるくらい味の密度が高いんですよ。
さぞや名のある畑からおいでになったのであろう風味と風格なんですよ。
単にレベルが高いだけでなく、装備やスキルにも妥協がない。
つまり職人さんの腕もはんぱでないのがわかる。
普段はスーパーで一袋100円のキャベツの千切りと納豆とサバ缶しか食べないので、とりあえず料理に温度があればなんでもおいしいと感じる私にはもったいないと思いつつも、次々とお皿は運ばれてくるんですよ。
焼いたお肉とか、サラダとか、よくわからない長ネギっぽいやつとか、どれもおいしかったですね。
我ながらほれぼれする表現力の高さです。
印象に残っているのは中盤に登場した肉料理なんですけど、なんともラグジュアリーな見た目をされておりまして、これは鶏肉を焼いたり蒸したりしたあと油で揚げて、それから酢と砂糖となんやかんやで味つけして最後にもう一度お酢に漬けたものですって、料理の説明がやたら長くて、それを聞きながら正直私は食べもので遊ぶなよって思ったんですけど、食べてみたらこれが歴代ベスト級においしいんですよ。
しかも確かに説明通りの味なんですよ。鶏肉を焼いたり蒸したりしたあと油で揚げて以下略な味がするんです。それが感動的に美味。
私がミシュランならこのお店に星10個くらいあげて、スタッフの車のタイヤを全て新品に交換してさしあげますよ。
なお、料理の解説については完全にうろ覚えなので全て間違っている可能性もあります。
そんな素敵なひとときもおわり、お会計の時間と相成るわけなんですけど、こういうレストランでは食後にお店の入り口にあるレジまでいったり、食券を買ったりしないんですね。
お店の人がテーブルまできて、何か手続きをして、それで終了なんですよ。
じゃあ帰ろうか、みたいなことを先方にいわれるんですけど、え? あなたお金払ってませんよね? って訊きたくなるじゃないですか。
いや、あれでもう払ったことになってるから、っていうんですよ。
先方は平然と店から出ようとするんですけど、そこそこの風来のシレンプレイヤーである私は、店から出た瞬間に警報が鳴って犬と警官が襲ってくるんじゃないかとびくびくしてたんですけど、そんなことにはならなかったですね。
私はわからないことがあればすぐググる現代っ子なので、ごちそうしていただいた料理はおいくらなんだろうと、店名を検索したら、先ほどのコース料理でアストラルチェインのコレクターズエディションとデス・ストランディングのスペシャルエディションをセットで買えるとわかり、とりあえず先方にコンビニのお茶を買ってあげました。

突然ですがここで臨時ニュースです。
このnoteの人気コンテンツ、チケットの当落結果がたった今届きました。
さあ結果を確認しましょう。

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──当たってる!
マジですか。当たってるじゃないですか。
はじめてじゃないですか、当選したのって。
いつもの流れだと、ここから落選したことへのグチを延々と並べてふて寝するまでがパターンなのに、なにがあったというんです。
どうしよう。嬉しい。
このチケット代でもアストラルチェインのコレクターズエディションとデス・ストランディングのスペシャルエディションをセットで買えますけど、やめませんかそういう、これだけあればVtuberチップスがいくつ買えるみたいな品のない算数をはじめるのは。
ちゃんと価格相応の価値があると知っているから支払うわけじゃないですか。それから全ての転売屋は滅べ。

チケット当選でテンション上がりすぎているので、ちょっと構成を変えます。
当初は料理を絡めてあれこれ書こうと思ってたのですが、今回はストレートにいきます。
題して『祝 チケット当選! そしてマッド・バレット・アンダーグラウンドが好き』です。

まずは一曲『マッド・バレット・アンダーグラウンド』Original Sound trackより聴いて下さい。


遅ればせながら第25回電撃大賞の受賞作を全て読ませていただいたのですが、圧倒的によかったのが野宮有先生の『マッド・バレット・アンダーグラウンド』ですよ。
いやあ、よかったです。面白い。
まず構成が素敵。
物語がぶつ切りにはじまってぶつ切りに終わる感じがパンチが効いててしびれます。
でも、かなり勇気が必要だったんじゃないでしょうか。
あれは新人賞に投稿した時点でああいう物語構成だったのか、出版に際して続編を想定してある程度変更したのか、妙に気になりました。どこかで投稿バージョン読めないでしょうか。
敵も味方もキャラも立ってるし、二人の掛けあいも熱いし、主人公の能力とそれを使った仕掛けと回収も、うまい! としか。
能力ものといえば同じく第25回電撃大賞でメディアワークス文庫賞を受賞された吹井賢先生の『破滅の刑死者 内閣情報調査室「特務捜査」部門CIRO-S』も能力ものでしたね。
これからは能力ものがホットなんでしょうか。
そうそう、忘れちゃいけないのが、あとがきですよ。
本作というか、野宮有先生の作家の資質って料理に例えるとスペインとかメキシコ系のスパイシーな感じだと思うんですよ。サルサ、テキーラ、トウガラシ。
それで物語そのものがかなり強烈な舌ざわりなのに、あとがきになっても口を休ませてくれないんですよ。
好きなプリキュアのことでも書けばいいのに、え? まだそんなヘビーな料理出してくるんですか?ってなるんですよ。
『マッド・バレット・アンダーグラウンド』の二巻まで読ませていただきましたけど、純粋に私は野宮有先生のファンになりましたよ。
次も新作も買います。
でも一つわからないのが、本作は選考委員奨励賞なんですよね。
『しょうれいしょう』という言葉の響きが何らかの技の名前としか思えないでお馴染みのあの奨励賞ですよ。昇麗掌!
もっと上でもいいんじゃないですか。
だって一番面白かったですよ。
しかも第25回電撃大賞って大賞作品なかったじゃないですか。
つまり──

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こうではなく──

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こうなって──

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こうなって──

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──こうですよね。
主演 福山雅治。

そして二年後にはこんなCMが流れてもおかしくないわけじゃないですか。

 アニプレックス
「ラルフ、大変よ!」
「どうしたリザ、そんなに慌てて」
「私たちの活躍を収録したBlu-ray&DVDが発売決定だって!」
「──何だと」
「初回限定特装版はマシマサキ先生デザインの特製BOXに収納。さらにここでしか読めない原作者、野宮有先生書き下ろし短編小説を封入。そして夏に豊洲PITで開催される豪華キャスト陣によるスペシャルイベント最速抽選券まで入ってるんだって!」
「また財布が軽くなるな。幸運すぎて涙が出るね」
「予約しないと、ぶっ殺す!!!」

私はアニメがはじまる二年以上前から通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? のアニメ化とエンディングテーマはパタパタママのカバーになることを予言して的中させておりますからね。
つまりこれもそうなります。
豊洲PITで福山雅治さんと握手!

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一曲聴いて下さい。
『マッド・バレット・アンダーグラウンド』Original Sound trackより
『This Will Be The Day』

というか大賞作品該当なしなら、私の作品を大賞にしてくれたっていいじゃないですか。
ちなみに第25回電撃大賞の私の結果はこのようになっています。

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これって受賞したら一次落選の部分が『選考委員奨励賞』とか『WINNER』って表示されているのでしょうか。
いいじゃないですか。該当なしにするくらいなら私にくれても。
謹んでお受けいたしますよ。

エリカ「あなたは何をいっているの?」
わたし「はい? あなたこそ誰です?」
エリカ「まだ思い出さないのね。いいわエリカが例えてあげる。『マッド・バレット・アンダーグラウンド』が夜空に輝く星々だとするなら、あなたの書いた小説は床に落ちてる煮干しよ」
わたし「は?」
エリカ「エリカ例えてあげる。『マッド・バレット・アンダーグラウンド』が美しいバラの花なら、あなたの小説は汚らしいボラの墓。
『マッド・バレット・アンダーグラウンド』が星のカービィなら、あなたの小説はただのカビ」
わたし「な、何なんですかあなたは。いきなり出てきて、失礼だろ!」
エリカ「エリカもっと例えてあげる。『マッド・バレット・アンダーグラウンド』がアイアンマンなら、あなたの小説はそのパロディーAVのアーンイヤーンマン」
わたし「くそっ、バカにしやがって! お前なんかこうしてやる!」

 ドンッ! キキー! ドガッシャーン!(トラックにひかれて異世界に飛ばされた音)

わたし「……ふう。これで平和になったぞ」
エリカ「……それはどうかしら?」
わたし「さっきの女! なぜここに?」
エリカ「異世界に転生してチートをもらって魔王をやっつけたけど、その後で向こうの勇者に真の仲間じゃないとかいわれて追放されて戻ってきたの」
わたし「ええい、お前の顔なんか見たくないんだ。悪いけど俺は帰らせてもらう」
(スタスタスタ)
エリカ「待ちなさい!」
わたし「なに? あんなに距離が離れていたのに、どうしてもう追いついてるんだ?」
エリカ「──『走った』のよ──」
わたし「はしる? なんだそれは?」
エリカ「歩くよりも素早く足を動かすことによって高速移動できる体術のこと」
わたし「お前は何をいっているんだ?」
エリカ「まあ、あなたには難しい理論かもね。所詮この世界の人間の知能指数なんて、みそ汁以下だもの。ねえ知ってる? お肉って焼いて食べたらおいしいのよ」
わたし「くそ! 離せ!」
エリカ「異世界エリカが例えてあげる。『マッド・バレット・アンダーグラウンド』が神絵師の描いた油絵なら、あなたの小説はその神絵師にクソリプ送るのが生きがいのキモオタのかいた脂汗」
わたし「ば、ばかにしやがって! お前なんてこうしてやる!」

 ──グサ!(たまたまそこにあった聖剣でエリカを刺した音)
 ──ピカ!(なぜか体全体が発光するエリカの音)

わたし「……なんだこの光は? ……き、きみは、エリカ!」
エリカ「……やっと……思い出してくれた……」
わたし「……なんで? ……どういうことなんだ?」
エリカ「魔王の呪いで、あなたは私の記憶を失った。取り戻すには……こうするしかなかった」
わたし「そんなことする必要なんてないだろ! どうして!」
エリカ「私にとって、あなたが私のことを忘れることが一番悲しい。あなたが私を覚えていてくれれば私はそこでずっと生きられる。忘れたことなんてない。ダークエルフだった私をあなたは、あなただけは……」
わたし「もういい、頼むからしゃべらないでくれ!」
エリカ「エリカが例えてあげる……『マッド・バレット・アンダーグラウンド』が最高の小説なら、あなたの小説もs……
わたし「ダメだエリカ、お願いだ、いかないでくれ、エリカ? エリカ──!」


元ネタ





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