賞賛に値する茅原悠紀の走り

オーシャンカップ優勝戦
茅原の走りは個人的に絶賛してるんです。馬場からすれば、あるいは①馬場から買ってたファンからすればリスク覚悟の迷惑なツケマイなのかもしれない。それでも、Fすれば2年SG出場停止という緊迫の中でコンマ04のスタートは賞賛でしかない。
さらにコンマ08とインから踏み込んだ馬場に対して強気なツケマイ攻勢に出た気迫は勝利への執念を感じた。結果は実らなかったが、その選択は間違っていなかったはずだ。仮に差していても、機力抜群の馬場に届くことはなかっただろう。おそらくあっさりと逃げ切られて予測可能の未来が現実になっただけだ。
結局、優勝するためにはツケマイ一択だった。正直、惜しかったと思う。馬場が抵抗できたのは、意地と機力があったから。それでも、誰もが逃げ切り濃厚だと思われたレースで馬場を6着に沈めたのは紛れもなく茅原である。

差しに構えて、馬場のミス待ちという選択もなくはない。それでも優勝の可能性は残される。しっかりとターンマークさえ回っていれば、受け身ではあるがチャンスはあった。それで逃げられたら仕方ないという考えは間違っているとは思わない。しかし、茅原は自ら勝ちにいった。それは単純にかっこいいと言える。もう一つ証明された事実は、鉄板と思われるイン戦であっても選手の気持ちひとつで覆るということ。誰もが予想できる未来、そんなものに心は動かさされないだろう。だからこそ負けてしまったが、茅原があの優勝戦で一番印象に残っている。

正直に言えば、実はレース前に茅原の攻めはないと思ってしまった。その理由のひとつがチルトだ。優勝戦はマイナスにしてきた。伸び寄りのエンジンだったので、ツケマイに行くなら0度にすると思っていた。というよりも0度で臨んでほしいと思った。もし、0度だったらツケマイに行くと予想しただろう。しかし、マイナスだったので差し選択かと決めつけてしまった。
要するに私の予想を遙かに上回る戦法を茅原は取ったのだ。スタートさえ決めれば上を行ける。ギリギリのターンになるだろうから、マイナスにしてターン回りをしっかりさせたかったのだろう。正直、茅原本人もその設定は迷ったのではないだろうか。

正解は分からない。しかし、いずれにしてもあのツケマイは究極の一手だ。まっすぐに勝ちに行き、そのために出来得る最高形の戦術と集中力。脱帽するしかない。それでも優勝には届かないのだから、ボートレースは難しい。
ただ、あんなレースを見せてくれる選手がいる限り飽きることもない。


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