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キネシンって何?(2022.09.24)

お久しぶりです。キネシンです。
 今回の記事では、創価学会のこととはあまり関係の無いことですが、キネシンとは何かについて、少しお話ししようと思います。

 キネシンとは、細胞の中で主に宅急便のような役割を果たしているタンパク質のことです。こんな感じで大きな荷物を背負って細胞の中を歩いています。

歩くキネシンのCG動画

 ミクロな世界で、こんな風に健気に荷物を運んでいるタンパク質が存在するなんて、とても神秘的だなと思います。このCG動画を見て、キリスト教を信仰する人は、生物は神によって作られたに違いないと考え、法華経を信仰する人は、ここに一念三千をみるのかもしれません。

 私たちの体は、約37兆個の細胞から成るといわれていて、その細胞一つ一つの中に、細胞骨格と呼ばれる繊維が張り巡らされています。この繊維は細胞の中で、道路のような役割を果たしています。キネシンは細胞骨格のうち、微小管と呼ばれる繊維の上を歩いて、必要なものを必要なところに届ける運び屋さんです。

公益財団法人テルモ生命科学振興財団(2019) https://www.terumozaidan.or.jp/labo/technology/43/index.html

 ところで皆さんは、タンパク質と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。お肉やお魚、大豆など、栄養素としてのタンパク質はよく知られています。しかし、体を構成する物質としてのタンパク質はあまり知られていないように思います。細胞の中では本当に色々な形をしたタンパク質がはたらいています。キネシンや微小管もその一部です。

 お肉やお魚を食べたとき、その中に含まれるタンパク質は消化管で消化酵素によって消化されます。タンパク質はアミノ酸が鎖のように繋がって出来ていて、消化されるとアミノ酸にまで分解されます。その後、このアミノ酸は一つ一つの細胞に取り込まれて、細胞の中で自分のもつ遺伝子の情報に合うタンパク質を新しく作る材料となります。そして、細胞の中でタンパク質を作っている工場のようなものの多くは、細胞の中心にある核の周りにあります。なぜなら、遺伝子の情報が載っているDNAは核の中にあって、その近くの方がタンパク質を作るのにあまり時間がかからないからです。核の近くで作られたタンパク質はそのあと、細胞の隅々まで運ばれます。このときにはたらくのがキネシンです。微小管という道路の上を歩いて色んなものを運びます。例えば、細胞の表面にくっついて周りと情報のやりとりをする受容体と呼ばれるタンパク質、細胞の外に放出されるホルモンや酵素などを運んでいます。

味の素(2020) 
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/recruit/fresh/amino_acid.html

 これまで、よく研究されてきたのは神経細胞の中のキネシンです。神経細胞は、下の図のように細い突起がたくさん伸びた構造をしていて、その中を張り巡らす微小管の上をキネシンが歩いて一生懸命荷物を運んでいます。何を運んでいるかというと、突起を作るための材料や、他の神経細胞とのやりとりをするのに必要な受容体、神経伝達物質などです。神経細胞の中でキネシンが上手くはたらかないと、他の神経細胞とのやりとりに異常が出て、発達障害や、精神疾患や運動障害などの原因になることが知られています。

五木田和也(2016)日経XTECH
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/032300023/00003/

 私が創価高校にいた頃、生物の授業で先生が歩くキネシンのCG動画を見せてくれました。初めてキネシンを見たとき、なんて可愛くて健気なタンパク質なんだ!と感動したことを覚えています。そして現在、大学生になってキネシンの研究をしています。

 この記事を通してキネシンって面白い!と思ってもらえたら嬉しい限りです。最後まで読んで頂きありがとうございました。

この記事はアメブロから転載しました。
https://ameblo.jp/ttherm00297200/entry-12766025279.html

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