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【BORDER .15】境界線の線が或いは4kmに及ぶとして

BORDERゲスト投稿の回。ドラマーであり、食堂『BATERIA』の店主・コバヤシtheケンタロスにお願いしました。同い年ということもあり勝手に親近感が沸いていたのですが、音楽活動的にはあまり活動エリアがかぶらないこともあったのか、「ドラムカッコイイな」と思っていたものの共演などはあまり無くて。このコロナ禍で、BATERIAもテイクアウト営業をはじめて、それを買いに行って、それがめちゃくちゃ旨くて・・・で、現在に至ります。音への拘りと料理への拘りって、なんとなく似てる気がするんですよね。(KINEMAS宮下)

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ドラマーのコバヤシtheケンタロスです。

BORDER: 国境、境界線を意味する言葉ですね。あっちの国とそっちの国、あちら側とそちら側を分けている線で、跨いだらどちら側かに入ることを意味しますね。

本当は「アメリカが作ってるメキシコへの壁」の話とか、「38度線って実は4kmもあるって知ってましたー?」とか、そんな話を盛り込もうと思ってたんですが、長い文章を久しく書いていないので上手に書き上げまとめる自信が無くなったので、興味のある方は直接聞いてください。

コロナの感染が進む中、世界はコロナとは違ったことでも大変な分断を生んだようにも思えます。ですので上に書いたような内容で「BORDER」を書くのは難しいため、コロナの最中に感じた僕の雑感をつらつらと書きます。



コロナが流行りだした矢先の出来事。志村けんさんが亡くなった。志村けんさんが亡くなられたニュースを耳にした瞬間から人生何度目かの禁煙が始まった。

吸わなくなったのではなく「吸えなくなった」のである。小心者で思い込みの激しい質なので、志村けんの訃報を聞きながら胸が苦しくなってきた気がしてタバコを捨てた。

その時僕は、雨の中自転車メッセンジャーの仕事をしていた。カッパを着て雨に濡れて冷えた身体に、発熱と頭痛を感じ、仕事を切り上げ家に急いで帰り、熱いお風呂に浸かって布団に包まって震えた。

検温するも体温は36度8分。ただの気のせい、勘違い。我ながら全くもって恥ずかしい小物ぶりである。

翌朝から午前6時半に起床し「太陽礼拝」という朝一に行うヨガを始めた。
ラジオ体操も第1のみならず、第2も行った。

膝を一度壊しているためランニングは怖いので、ウォーキングを始めた。ランニングシューズも買って、今では時速8.5km程が平均になった。

食事には気をつけている方だったけれど、起床直後と就寝直前に白湯を飲むようになった。朝食に納豆とキムチと梅干しを欠かさなくなった。

健康である。
非常に健康である。
これこそがCOVID19から自分と家族を守るバリアである。

ただただ怖かった。怖くて仕方がなかった。

マスクを忘れてドラッグストアに行った帰りに頭がクラクラして甲状腺やリンパ腺がピシーーッと張った感覚に陥ったこともあった。

検温は平熱。熱い梅こんぶ茶を飲み、納豆を食べて1時間後には元気になっていた。

悪い自己暗示を良い自己暗示で潰し、自己流救急処置で乗り切った
大した思い込みの激しいネガティブ・プラセボ野郎である。


ゾンビ映画のワンシーンを思い出す。

「うっすら噛まれた気がするけれど、仲間に見捨てられるのが怖くて誰にも気づかれないように必死でごまかすヤツ。」

ああ、あの感じに似ているな。

ゾンビに噛まれた気もするけど発症しない気もするし、なんなら噛まれてない気もするからと、ただ必死に、みっともないほど愚直に生き残ろうとしていただけなんだな。


僕の花粉症は喉に出る。

そして僕の場合は禁煙し始めて2週間ほど経つと喉環境が健康健全になるのか、ひどく痰がからむ。

喋っていると痰が絡んでいるのがわかる程に声がざらつく。

お弁当テイクアウトをしにきていただいたお客さんの前で、マスクをしていることもあって声も通らず、痰が絡んで声があまりにも出なくて軽く痰を切った。

お客様の目線が瞬間こちらを向いた気がした。

すかさず「ん”ん”っ!!~と、これも入れておいてね~♪」とちゃらけた。とはいえお客様の感じにひりついた。

「違うんです!僕はコロナに感染はしていません!!」

そう伝えたら全てが終わるので「ありがとうございました!!またお願い致します!!」と、笑顔で送り出した。

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ニール・ブロムカンプ監督の「第九地区」を思い出した。

エビ化していくヴィカスを捕らえるために、でっち上げの情報をニュースで流し、彼の捕獲を一般市民たちギャング達にも「正義の行い」として広めた。


人の噂は千里を駆ける。

ネガティブな疑いは光の速さで伝播し、真相など関係なく「事実」として飛び回る。

怖かった。とにかく怖くて、必死だった。

メタボリズムを高めて、健康的な食事をして、よく眠った。

自家製の味噌と自家製の梅干しを欠かさず、健康であることを見て理解してもらうことに尽力した。


「コロナであるのか無いのか」の境界線。

ゾンビ化もエビ化も。国境とは違い、自分の決断では跨ぐことのできない境界線。あちら側に行きたく無い、あちら側とレッテルを貼られることへの恐怖はノイローゼの様でもあった。

そして、みんながその恐怖に潰されそうで互いをネガティブに監視しあった。みんなが怖かったんだ。その境界線の向こう側にカテゴライズされることを。

だからこそ忘れてはいけない。

境界線を引く「線引き」という行為はいつだって自分も誰かにされていることだということを。

その線の引き方を間違えない様に、なるべく優しい気持ちを持って、マインドフルに毎日を生きましょう。

友達と家族を思いやり、互いの健康と幸せを願うことこそが「ボーダー・フリー」に向かうことだと思っています。

コロナもまだ完全に収束したわけでは無いですが、セクシュアルバイオレットにサバイヴを続けていきましょう。


「ゾンビ」
「第九地区」


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あーあー。

僕の好きな境界線って「友達と恋人の境目は?」とか、そういう話だったのになぁ。

そんな話をしたくて過去を思い出しつつブレインストーミングしてたら


「3回目のデートでキスしてウフフってなったら恋人ですか?」
「彼女とか彼氏とかなんですか?」
「単語に縛られるのとこ嫌じゃ無いですか!」
「いやいやただのセックスフレンドですか?」

ってな内容で詰められまくって吐きそうになった10数年前を思い出して吐きそうになったので、その話はまたいずれ。

あと僕「ノー ボーダー」って言葉がとても嫌いです。

本来の意味としては国境をなくして「動物的に」生きようという考え方の言葉ですし。

音楽好きです、って人によく言われますが、音楽だってしっかりと分断と差別の歴史を持っています。

「それを飛び越えて好きだという気持ちがあればよく無いですか?」

って、そうは思わない人たちだって沢山いることから目を背けてるだけにも思えるからです。



あ。

止まらない。

これらの話は、またいつか。

或いは、新栄の僕のお店「食堂BATERIA」で話しましょう。

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