語らない

数年前、娘が通う学校の文化祭で
原子力発電所関連の展示があった
(そんなことするのは市内唯一)

「気持ち悪い」
隣の老夫婦がそう呟いた

聞けば
孫がこの学校に進学希望とのこと
近所に住んでいるので
様子を見に来たらしかった

原子力関連は必修なのか?

希望学科は娘が学ぶところだった

確かに必修な部分もある
しかし
多くの時間をそこに費やしたくなければ回避も可能だった

我が娘は
頑なに避けて
科目選択していることを教えたら
老夫婦と男の子は
ホッとした顔をしていた

娘は
一度だけ見学した、いわき以北の地が荒れているのを
目の当たりにして
「関連の勉強に近寄りたくない」

幼い頃によく遊んだ公園
祖父母に連れられて行った桜並木

目に見えないモノで閉ざされた
それらの場所は
楽しい思い出にしておきたかった
大切な場所

もちろん
それを取り戻すために
手を挙げる人材も必要だ

でも
娘は背を向けた

他の選択肢を選べるなら
どれだけ大変でも難しくても
数少ない女子と別な研究室に
なっても避け続けた

それで良いと私も思っていたし
いまも間違ってなかったと思う


県外の大学に進学し
4年学んで戻った娘は
先日
Jヴィレッジでのサッカー
福島ダービーを見に行った

途中の車窓風景は見ていない

でも
避けられていた土地で
サッカーが出来る環境
沢山のサポーターが集うこと
イベントが開催されることに
少し気持ちも軽くなった
ことだろう

多くを語ることはない娘
でも
福島に
浜通りに戻った

ハーマー&ドリーを追いかけて
興味なかったはずの
選手個人にも目を向け始めた

いわきFCは
浜を照らす光

その光が
人の心も温かくしてくれる

語らなくてもいい
行動で切り開く未来を
私(達)は応援する


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