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大切なもの

最近、とてもとても素敵な人に出会えた



その人は
言葉が丁寧で、声がすごく優しくて、
人の多様性とか考え方を広く受け入れる人で、
一言で言えば鳥みたいな人で、

居ても居られず営業所を泣いて飛び出したあの日
同期や親、友達よりも真っ先に
私は彼に連絡をしたし
彼は私に電話をかけてくれたっけなあ


小さい頃から何かあればすぐに泣いてしまう私は
それが「武器だ」「ずるい」と言われ続けたせいか、
いつからか人に助けて欲しいとか、
今悲しい、苦しいとかの感情を表現することが苦手になっていたけれど

この人になら、私の何を見せても、
どんな言葉で気持ちを伝えても、優しく受け止めてくれる気がしたし
電話で感情のまま、溢れるままぶつけたあの瞬間、
彼は私の想像を遥かに超えるほど穏やかで、
逃げてしまった私を何一つ否定することなく頷いてくれた

アプリで誰かと会ったことは何度もあったし、
そもそも、このどうしようもない孤独感を埋めるための暇つぶし、
としか考えていなかった私にとって
はじめましての異性とご飯やホテルに行くことは
少しの緊張も抵抗もなかったし
大抵即日アポで会っていたわけなんだけれど、

その日彼が私に会いに、家の近くの湖にいることを知った瞬間
尋常じゃない胸の高鳴りと
言葉に表せないような思いが一気に押し上げてきて、

馬鹿げているかもしれないけれど
この時点で私はまだ会ってもない彼に恋をしてしまっていたから
「もっと筋トレして痩せときゃよかった」とか
「今日のためにあのリップと香水、買えばよかった」とか
そんな、いかにも恋する乙女のような感情でいっぱいいっぱいで

どうしようもない緊張と、
声の震えをなんとかしたくて電話をかけて、

ああ、どうとでもなれって

彼のもとに向かったっけ

それが彼とのはじめましてだった


お世話になっているセブンでアイスコーヒー濃いめを買って、
ひたすらなんにもない道を歩いて、
電話の延長線上のような他愛もない話をして

人は「何をするか、ではなく、誰とするか」と言うけれど
これほど身をもって体感したことはない

よく歩く道、よく飲む味、よく見る風景だったのに、
これ以上にないくらい幸せな時間で、
私には勿体無くて、
駅に向かうまでの残された10分間、
彼の煙草を吸う時の指と、目と、口を見つめることしかできなかった



彼は自分のことを保健室のようだという

心を病んだり、どこにも助けを見出せないような人が
ふらっと彼のもとに立ち寄り、心を癒し、
自分を取り戻したり、新たな目標が見つかれば、
ふらっと彼のもとを立ち去るのだと

人は誰しも、誰かに認められたいと思っているはずだ
子供のようにいい子いい子されたいのだ
でも「現状をどうにかしなきゃ、このまま安住してはいけない」と
脳が働き、人は成長するのだ、だいたいそうだと思っている
彼はまさに、そんな時にぴったりな
天敵から守ってくれる保健室のような人だ

でも、なんだろう

彼が時々見せる寂しい表情とか
忘れられない過去とか
彼のことを傷つけたものとか
そんなものから彼を全力で守りたいと思うと同時に

まだまだ彼のことは知らないことでいっぱいだけど

どんな形であれ
この先彼のそばにいたいと思った

彼が今後歩む先をついて行きたい、
側で見たいと思った

彼が私にしてくれたように
それでいいんだよって、
彼の事を守りたいと思った


そんな、ほんの少し前の出来事を振り返りながら
今日もセブンのアイスコーヒーの飲み、記録する

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