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第九章 違和感

紫式部は彰子様に自分の能力を認められてうれしい気持ちはあるものの、時々
「女房」の仕事に違和感を感じていたようです。
女房という仕事は華やかに見えるものの、実は人間関係がきつかったり、
貴族たちのイベントを抜かりなく行うために神経をとがらせたりと
大変だ・・・と紫式部はこぼしていたようです。
紫式部でも仕事の「愚痴」はこぼすのだなあ…と思いました。

専業主婦であった「里の女」のころを懐かしんだり・・・
そのころの友人たちとの語らいに戻りたいとか・・・

ここでちょっと私は紫式部に対して
「紫式部よ、女房としての覚悟をもちな・・・」
なんて思いました。

そうは言ってもさすがは
紫式部、
大晦日になんと内裏に盗賊が入った事件をきっかけに
紫式部は女房としての自覚をもつようになります。

紫式部は
「中宮様はご無事か?そのご様子を見なくては!」
ととっさに体が動いた自分にハッとします。

当時、紫式部の弟も蔵人として内裏にいたとのこと。だけど
仕事が終わるとさっさと帰ってしまっていたらしい。

紫式部は「肝心な時に頼りにならない弟・・・」
と歯噛みします。

藤原資業という藤原有国の子供が内裏に灯りをつけて
みまわっていた様子をみて、
紫式部は
「藤原有国の息子、資業は
人に仕えるということが、どういうことか知っている。そして、それを実行している。
だが、私の父と弟とは、おそらくそれを知らない人間なのだ」

「堤中納言藤原兼輔の子孫と言う血に頼り、人に頭を下げたり主のために走り回ったりすることを蔑んで、漢詩文や和歌といった自分の得意の埒内で遊ぶばかりでの気位が高くて、気まぐれな風流人なのだ」と語っています。

要はプライドばかり高くて「使えない従業員」ということか………

灯りをつけて見回った藤原資業の母親は、叩き上げの内裏女房の橘三位(きつさんみ)
女官中の女官であるとのこと。

そんな母親に育てられたのだから、彼も働く事がどういうことかよくわかっていたのでしょう。

内裏で働く人たちのほとんどが、
親戚筋の気位の高い
おぼっちゃま蔵人、
お嬢様女房が数多く存在していたのだろうと思いました。

いわば、大企業の縁故採用か?!

貴族の血筋でも家が没落して、食べていけない貴族も当時はたくさんいたのでは?
貴族だから気軽に転職するわけにもいかなかったのでしょうし………




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