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その出張、絶対無理だから!

こんにちは南仙台の父です。
今回は40年近いサラリーマン生活の中で、これだけは絶対ダメだろって
いう珠玉のお話をご紹介したいと思います。
業種や職種に関わらずサラリーマンには出張が付き物ですよね?
国内・海外、社内外、様々な出張があると思います。
それでも中には、それ無理っしょ!っていう出張もあります。
今回はちょっと頭使って考えればできるわけねーだろって小学生でもわ
かるような無理強いをするアンポンタンな偉い人の話です。
(敢えて社名や人名は出しませんが、全て実話です。)

今からだいぶ前の話ですが、私の勤めていた会社が納めた商品に問題が
あり、簡単な修理とチェックが必要だということで、お客様の指定する
場所へ行って作業をするということになりました。
北海道から沖縄まで同時進行でチームを組んで行き、決められた期日ま
でに作業を終えなければいけません。
社内から人をかき集めてチームを組むことになり、私は岡山に行って作
業をすることになりました。
私を含めて3名で2日間に作業を終えなければいけません。
必要な資材や道具も持って、新幹線で東京から岡山に向かいました。
同時に出発する別チームも新幹線に乗っています。
行った先では謝罪も行った上で場所をお借りして作業しなければなりま
せん。
まあ、明るい雰囲気にはならず、それはもうどんよりとした空気が漂っ
た出張であったことは言うまでもありません。

初日に岡山駅に到着して、タクシーで指定された作業場所まで向かい、
作業をする旨の説明とこの度は大変ご迷惑をおかけしましたのお詫びも
行って作業がスタートします。
出張は夏も真っ盛りの時期、それはそれは朝から蒸し暑く、空には頼んでもいないのに太陽がギラギラと輝いて、そこらじゅうがホットプレート状態に
なっています。
そんな暑い中、お客様はA級戦犯でもある我々一行に大型扇風機を用意して
いただいただけでなく、何と休憩時間には冷たいアイスコーヒーまで出して
くださいました。
罪の意識がマシマシとなる中で、何とか予定を間に合わせるべく我々は黙々
と、つゆだく状態で作業を行っておりました。
遅々として進まぬ中で作業量を増やすために道具を増やしたりなど、根性も
入れて作業をしたことで多少量を積み上げることができました。
夕方になって作業場所を閉めなければならないため、作業を終了して宿泊先
に向かうことにしました。

私はその頃は今と違って血の気の多い人でした。(今でも多少多めです。)
一緒に作業をしてくれた人たちを労うため、作業の統括部門の課長に連絡を
入れ、「ちょっと美味いものでもたべさせたいんですけどね。」というお願
いをして、承諾をもらったのでちょっと高めの日本料理の店に行くことにし
ました。(一緒に行った若い人たちは若干テンションが上がりました。)
少し宿泊先で休んだ後、集合してお目当ての日本料理店に向かいました。
「今日はちょっと高めのもの食べても大丈夫だから、明日もあるからお酒は
控えめでね。」と伝えて、好きな料理を選んで食べてもらいました。
店に入って、美味いものを囲んで全員のテンションが爆上がりしているとこ
ろに無精にも携帯電話が鳴りました。
「ん、〇〇部長じゃん・・・。」
そう、今回の話のメインキャストとなるアンポンタンの登場です。
このアンポンタン部長から電話がかかって来たのです。
既に時計は20時になろうとしています。
このアンポンタンはたぶん、お勉強はできたみたいですが、超天然物のアン
ポンタンで、社員の中にはこのアンポンタンからの電話があった時の着信音
をダースベーダーのテーマにしている人がいる位の空気が読めない人です。
「あのさぁ、札幌の作業が進んでないみたいなんだよ・・・。 悪いけどさ
、これから札幌に応援に行ってくれないか。」
この記事にはわざわざ日本地図まで入れましたが、私は岡山にいますが札幌
ってどのあたりにありましたっけ・・・。
(地図上では切れて見えてませんけど、私の気のせいですか?)
「今何時だと思います? 20時になろうとしてますけど、どうやってこれか
ら札幌まで移動するんですか?」 ちょっと怖めの声で私が言う。
「そうだよなぁ、無理だよね。 そこを何とかできないかな・・・。」
ずっとアンポンタンだと思ってたけど、筋金入りのアンポンタンだな。
「だから、どうやって何を使って岡山から札幌に移動するんですか!」
もう少し怖めの声で私が言うと、
「そうか、無理だよな・・・。」そういって電話を切りました。
一緒に和食を貪っているメンバーは心配そうに見ています。
「大丈夫、今から札幌に行けって訳わかんないこと言ってるけど、無視して
食べよう。」 内心殺意も走っているが、ここは冷静に食事優先。
5分ほどして、再びアンポンタンから電話が来ました。
「福岡にも、大阪にも頼んだんだけど断られたんだよ。 何とかできないか
な・・・。」 自分でも何を言っているのかわかってないアンポンタン。
「この時間だったら福岡も大阪もダメなら、岡山もダメですよね!」
殺意を込めた口調でアンポンタンを諭す私。
「この時間なら東京から人を送りこむのだって無理じゃありませんか。」
「そうなんだよ、だから頼んでいるんだよ。」
えっ、岡山って東京よりも札幌に近いんでしたっけ?
どうやって海を越えるんだか教えてほしいと殺意がマシマシになる私。
「わかった、もう少し考えてみるよ・・・。」
何度考えても無理なことは無理、それよりも明日じゃダメなのか💢
そしてその5分後に再びアンポンタンから電話がかかって来ました。
「やっぱり無理だよね、岡山からだと。」
「そもそも、今日移動しなきゃいけない理由は何ですか?」
「札幌が予定の半分しか進んでいなくて、まだ作業中なんだけど・・・、これから夜中も残って作業させるから徹夜になりそうなんだよ。」
「この時間なら誰も合流できないじゃないですか。」 更に怖さが増す私。
「お客さんに謝るしかないんだよな・・・。」 沈むアンポンタン。
「申し訳ないですけど、岡山もまだ終わってないですし、福岡も大阪も予定
はこなしたけど終わってませんからね。 そっちで何とかしてください!」
言うだけ言ってとりあえず電話を切る私。
そんなことしてたら、21時近くになってしまいました。
とりあえず明日に備えようということで食事はお開きとし、コンビニで買い
物をして宿泊先に戻ることにしました。
その後、やっとアンポンタンもお客様に札幌だけ遅れていることを謝罪し、
完了を少し伸ばしていただくことにしたらしい。
私に再び電話がかかって来ました。
今度は統括部門の課長からでした。
「悪いな・・・、俺もさぁ、福岡も大阪も岡山もこの時間じゃ移動できない
し、当日予定分は完了しても明日もあるからって言ったんだよ。 でもさぁ
、何とかできないかって福岡・大阪・岡山に勝手に連絡しちゃうから困っち
ゃって・・・。 とりあえず〇〇部長も諦めたみたいだから明日も予定分の
対応を頼んだよ。」
統括部門の課長も止めたみたいでしたが、血迷ったアンポンタンは日本地図
を頭の中にイメージすることもできず、泥沼に嵌っていったのでした。
何とか翌日の作業も終わり、予定よりも早く終わることができて東京に戻る
ことにしましたが、完了報告を統括部門の課長にしたら、早朝の航空機で札幌に東京から人を送り込み、一番早く終わった大阪から道具をハンドキャリ
ーして何とか変更した予定はクリアできそうだとの話を聞きました。
「じゃ、そのまま帰っても大丈夫ですね。」
「ご苦労さん。」
こうして訳のわからないやり取りも含めて出張作業は終わりを迎えました。
後で大阪や福岡に行った人から聞けば、私と同様に執拗な電話が何度もあり
、結論は見えているのに何とかできないかの一点張りで、可能な収拾策を考
えるような状況じゃなかったらしいです。
東京から埼玉とか、大阪から和歌山とかならわかりますよ。
少なくとも陸続きなら夜行バスとかもありますけど、北海道って海渡らない
と行けませんからね。
アンポンタンはその後も私が融通が利かない奴だとか、困っているのに助け
てくれない冷たい奴とか吹聴していたらしいです。
融通が利かないのは、アンポンタン、あんたなんだよ!💢


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