2023-06-23 22:40

白く狭い部屋の一面を、大きな窓が上から下まで覆っている。1Kの部屋中に外を走る車の鈍い雑音が反射しているが、私の耳に届くまでの何処かで鋭く冷たい音へと豹変する。鬱陶しさでも無く、苛立ちでもない、どこか中立的な心情が私に動けと命令し始める。足を伸ばして半開きだった窓を締める。自分の脚越しに6月の夜空が嫌に明るく差し込んできていた。窓特有のまとまりの無い音と共に部屋は静まり返ったが、なんだか不快だ。次は自分の過去の音がする。立ち上がる事さえ億劫だ。歩き出すなんてできっこないはずだ。自分の怠惰に目を瞑る様に、気持ちばかりの寝返りを打って新しい自分を演じ始めた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?