彼との行く末

彼に連絡を取ったら、意外にもすぐ返事が返ってきた。
まるでいつも連絡を取り合っているかのように。

「久しぶり。突然連絡して驚かせたらごめんね」
「久しぶり!全然いいよ!」

彼はなんだか明るい様子だ。
何かいいことでもあったのかと思うくらいに。

「元気?」
「元気だよ!連絡来てよかった。俺も元気にしてるか気になってたんだ」
「本当に?私も元気だよ」

細かいことはいいのだ。
入院したばかりで本当は心身共にやられているけど、何か凄く困っているわけでもない。
ただの挨拶だ。

彼は変わらなかった。
住んでいるところも前と一緒。
やってる仕事も前と一緒。
高校生の頃に私を担当していたスクールカウンセラーの元で彼は働いており、同時に福祉的な支援も受けて生活している。

一方、私は市内での引越し作業を行っており、自分の心身を安全なところへやれるようにと動いている。
彼と付き合っていた当時と違い、無理に働くことはやめ、まずは自分の病気と向き合えるようにと環境を固めているところだ。

私はもうそろそろ30歳になる。
ただ好きだからとお付き合いをする時期は過ぎ、何らかの目的を持って、できればお互いがお互いに責任を持って守りあえるような関係になれる人を求めている。

私は今いる街が住み慣れているし好きだけど、ここにこだわる必要もない。
引越しが終わり、生活環境を整えることができ、助けを借りながらも1人で生活していけるのならば、彼の元へ行ってもいいのだ。

幸いなことに今までも1人で生活することはできており、余裕があればバイトでもしようと考えているところだ。

彼の元へ引越しても、変わらず助けは必要だろう。
しかし、そこには高校生の頃に私を担当したスクールカウンセラーがいる。
その人に頼ることもひとつではあるし、実際にその人は今も困っている若者を支援することはやっている。

しかも、持病である解離性同一性障害を診ることのできるこの土地唯一の医師が近場にはおり、治療環境だって完璧だ。

福祉的な支援、医療的な支援の整う彼の住んでいる土地へ引っ越すことはわりと私にとってもメリットが大きい。

今すぐの話ではない。
来月、彼とご飯に行く約束をしており、彼が私の住んでいる街へと来てくれる。
そこで、ほんの少しこんな話を彼にできたらと思うのだ。

私自身、できることはやっている。
仮に結婚することだって、相手にお金の余裕さえあればできるような状態へと自分を持っていってる。

凄くちょうどいい話だと思うんだけど、君はどう?
いずれ君の住んでる街に私が引っ越して、私もバイトを探したりしてお互い仕事を頑張る。
そのうち2人で居られるようになったら、その時そうすればいい。
そんな風にゆっくりと私たちが2人で居られるようになればいいんじゃないかと私は思うんだ。

ねえ、君はどう思ってくれるかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?