あたいの名前は、柚子野亜里沙。
散歩の妾なの。
散歩は年収1億のリッチな年金生活者だけど、とてもケチなの。
妾の手当は、200坪の家庭菜園。
そこで野菜を育てて自活しろ
なんて、ケチもいいところよ。
それだけだったらまだ許せるけど、あたいの畑に、貧乏草を植えちゃうのよ。
まったくトサカに血がのぼっちゃうわ。
何でも散歩は、ハルジオンだかヒメジョオンだかしらないけど、大好きなので、家庭菜園まで植えちゃうのよ。
なによこれ、貧乏草じゃない。
あたいのカカ様が言ってたわよ。
貧乏草を植えると貧乏になるって。
散歩は能書きタレるのよ。
ハルジオンとヒメジョオンの違いは、花の周りに垂れ下がった蕾があるのが、ヒメジョオンだって。
二人で散歩すると、ヒメジョオンの写真ばかり、撮ってるの。
蝶々がとまっていると、もう
子どもみたいに大喜びよ。
バッカみたい。
それでね、家庭菜園にも蝶々が来ないかと、ヒメジョオンを連れ帰って来るのよ。
なによ、貧乏草。
だから、あたいは、ますます貧乏になるの。
散歩のバッカ。
貧乏草 おしまい