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祈りの雨┃青ブラ文学部


山根あきら。さんの企画
「祈りの雨」に゙
参加させていただきます。



その年の歯下駄村は、未曾有の飢饉に襲われそうになった。

何しろ、梅雨になっても、雨の一滴も降りはしない。

米作にとって、梅雨時の雨は不可欠である。

歯下駄村の村長は、この状況を憂慮して、雨乞いの儀式を
歯下駄神社の神主に依頼した。

しかし、雨は一滴も降らない。

村長は、村民を集め、なんでも鑑定団に出せるほどの金銀財宝を拠出させ、絶対に雨を降らすことで有名な、祈祷師雨降命を呼ぶことにした。

遠くの国からやってきた雨降命の祈祷が始まると、晴天はにわかにかき曇り、やがてそれは豪雨と変わった。

豪雨は三日三晩続き、
祈りの雨とともに、歯下駄村は水没した。

河川敷にあったいかだに、可愛い女の子を12人のせて、緊急避難させた。

下流に流れ着いた12人の可愛い子ちゃんは、やがて村民に引き取られ、娘に成長すると、子を成し、歯下駄村の血筋は守られた。


そして、12人の少女は、歯下駄村の二十四の瞳と呼ばれるようになった。




        おしまい



山根あきら。さん
宜しくお願い致します。🙏



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