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爆弾はご乗車できません。他、よくある話?

第一章
電車通勤。日本人にとって、それはある意味つらい時間でもある。満員電車に揺られ、会社に向かう月曜日。憂鬱という塊を抱えた、沢山の人が電車に詰め込まれ、今日も揺られていく。朝だけならまだしも、こんな時間に?という、夜の時間にも不思議と満員で、座れなかった。
ある朝、変わらず電車を乗り換えて、立ったままつり革に掴まって揺られていると、突如として、ブレーキがかかった。朝の時間の、電車ハプニングは、もはやつきものではあったのだが、この日は違った。
じっと、止まった電車の中で、時計とにらめっこする。余裕を持って出勤しているとはいえ、電車の遅延は、はらはらするのである。自分ではどうにもできないこの無力を感じる時間。
やっと、社内放送が入った。
「お客様に、ご案内いたします。先方を走る列車に、爆弾を仕掛けたという話があり、現在確認中であります。そのため、この電車は、この駅止まりとなります」
えっ?朝から、何が起きているのか。まったく飲み込めない。うーむ。このまま、乗り換えて、遅刻せずに果たしてつけるるのか?
またも、時計とにらめっこ。ぎりぎりまで、粘るか。スマホで乗り換えを検索する。幸い地下鉄を使えばなんとかいけるな。だが、電車が止まった以上は、乗ってる人が降りて、大混雑。入場制限や、構内も人だらけで、降りても前には進まない。まったく、朝から爆弾って。同じ車両じゃなくってよかったけれど。地下鉄も、何本も見送り、ギューギュー詰めでなんとか最寄り駅へ。会社へは遅れる旨連絡した。後から爆弾騒動は、爆弾は見つからなかったということであったが、ほんと、やめてほしいわと、思ったのだった。
第二章
通勤。それは、電車か、車か、人によっては、様々な方法がある。
だが、必然的に、電車になることは、都会では多いものだろう。
乗る回数が多い分だけ、いろんなことに出会う。
いつものように、電車に乗っていると、急ブレーキが。
車内アナウンスが入る。
「ただいま、踏切内で、車と接触しました。しばらく停止します。」
無音の時間が流れていく。しばらくして、アナウンス。
「この電車は、次の駅で回送となります。お手数ですが、後続の電車をご利用ください」
ゆっくりと、乗っている電車が走り出した。先頭から数両後にのったため、特別の違和感を感じなかったが、線路内を車が塞ぐことはなかったようで、
低速で次の駅で止まった。降りて電車の先頭を見ると、あきらかに衝突したあとがあった。降りたあと、電車はギリギリ、キイィーと音を立てながら、ゆっくりとホームを離れていった。
第三章
通勤。それは、痛勤ともいう。果たして、これはよくあることなのか?
いつものように、電車に乗って家への帰り道。今日は、スムーズに帰られるのかと思っていると、またもや、事件と遭遇したのである。
電車は、急ブレーキをかけると、ピタリと止まった。
今回は、すばやく、車内放送が入る。
「ただいま、たぬきと衝突いたました」
た、たぬき?
車内も、ちょっと、ざわついた。たぬきも、とんだ災難だろうに。
たぬきは、どうなったのかと、心配してみた。
ふたたび、車内放送が入る。
「小動物と接触いたしました。現状確認しております。」
こんどは、なぜか、たぬきとは、いわなかった。
たぬきではなかったのか?それとも、固有名詞を出すのは、問題があったのか、などいろいろと、想像してみたが、結局わからなかった。
「まもなく、発車します」

アナウンスが流れると、やがて、何事もなかったかのように、電車は滑りだした。たぬきの冥福を祈った。

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