サイコロ転がし

 平屋の家に一人でその日暮しをする。いっそ末法の世になり、明日から食うことだけを考える方がまだマシだなと空想する。

身体を動かすのも年齢的に限界がやってくる。新たな事をするにも時間が経ちすぎたと思う。

暇を潰すのにも金は掛かる。過ぎたことに後悔するような時間はとうの昔に過ぎ去り、痛みに鈍感になった。

親しい友は居たが連絡を断ち、連絡がくるのは営業程度のものであり、親族とも疎遠になった。

思想も信仰も持ち合わせはなく、自身でさえ呆れるほどの日和見思考である。

身なりも無頓着で年中同じような皺だらけの服を着ている。 

何も間違えてはいないが何も成していない。

 若さを妬み、年寄の安泰も自身に無いことに絶望する。

 四六時中 金についての心配をし、ストレスを消すために情報を貪るが行動はしない。

 他人の粗を探して紛糾し、人の不幸を嘲笑う。

そのくせ見栄とプライドは高く、心は弱い。

 時折 頭に羞恥の記憶が蘇れば心は乱れ、寝不足になる。

 この世の春をすべて撒き散らし、呪詛で埋め尽くしたい。ありとあらゆる希望を摘んで、絶望で覆い尽くしたい。


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