第3話 ヒロイン?登場!

 三人がそれぞれの目的を話している頃、強大王は真伝式もう一つの目的を始めようと会場に向かっていた。

(さぁ今回は誰の一言から始まるかな?例年通りなら…)

「強王よ!いやー危なかったなぁ。今年は例年とは違って楽しいゲームになったのではないか?」

「やっぱり…あなたが最初に声をかけてきましたか。機械王 カケル殿!」

「なんだ?不満か?」

「いえいえ、不満なんて朝から今まで一度もありませんよ。
いやー本当に今年は危なかったですよ。危うく今日で王最後の仕事になるところでした~。…なんて。おや?獣王は獅子谷さんから代わったのですか?」

「いや、代わってない。獣王様はある件で忙しいので、今回はこの毒破のマングスが王の代わりを務めることになったのだ。」

「そうですか。マングスさん。今回はよろしくお願いします。」

「うむ。しっかり獣王の代わりをしよう。」

「それじゃあ、皆さん…と言っても三人ほどいませんが…真伝式、もう一つの目的、先導会議を始めましょうか。」

先導会議…それは、真伝式で、全世界の16歳が集まるなら、ついでに各国の代表者も集まって会議をしようということで出来た。真伝式もう一つのプログラムである。人、獣、機械それぞれで一番でかい国の王、鉄の国などの三国、そして、先導三暇人と呼ばれる参加、不参加が自由な三人。この六国三人で開催される会議が今始まろうとしていた。

「今回もあの三人は不参加のようですね。まぁ参加する方が珍しいか...。
さあ気を取り直して始めましょうか。」

「少~し待て。強王。なんじゃここの匂いは?オイルと獣の匂いで臭くてかなわん。」

「おやおや、そのオイル臭いって俺のことかい?」

「まぁ獣臭いは俺のことだろう。そんなに臭いか?」

「なんだ自分達の匂いもわからぬか...。これだから、おんぼろブリキと無知の獣の王達は…野蛮で困る。」

「そのへんでやめときましょう?ね?重儀国の層王殿。」

「おんぼろブリキの王って俺のことか。こりゃあ上手いや!帰って、みんなに教えちゃ王!な~んて。」

「無知の獣…。層王殿…それは意味を知ったうえで言ったんだろうな?」

「もちろんじゃ。私はおぬしらのような人間以外の野蛮な種族は認めていなし、このような場にいることすら虫唾が走る。あぁかゆい、かゆい。」

「そりゃ困ったねぇ。機械でどうもすいませーん。」

「層王殿…お忘れじゃないでしょうね…今この星で人類が一番最弱の種族のレッテルを貼られているという事を...。」

「なんじゃ?まだそんな過去のことを掘り出すほど獣の国は落ちぶれたのか?あぁ情けない…情けない。マングスとやら、獣王の顔に泥を塗るつもりか?まぁそれはそれで無知の獣らしくて面白いのう。ホッホッホッ!」

「確かに…さっきから私は獣の国に泥を塗ってばかりです...。情けなくてしかたがないです。なので…今ここであなたを殺す!!!私の命一つで差別の種が無くなるのなら喜んで捨てよう!!」

「ひえええええ。無知の獣が…無知の獣が我を殺そうとしておる!ほれ!皆の者これが獣の本性じゃ~。さっさと殺さんか!ほれ!さっさと!」

「そこまで!!マングス…お前がそんな畜生のために命かけることはない。」

「おっ珍しい参加者だ。」

機械王カケルの言葉を皮切りにこの場にいる王すべてが声のする方を向き驚いた。そこにいたのは一人のババアだった。

「わぁ~ソテツ婆ちゃ~ん。久しぶり~。」

「おっその声は強かい?おぉ立派な王の面構えになって。もう小僧とは呼べないな~。」

「いえいえ、いつまでたっても俺は小童ですよ。」

「ソテツ婆様。お元気そうでなによりです。」

「おっその声は鉄の国の女王、美華かい?わしを抜いてこの中で唯一の女王としてしっかりとやっておるかい?」

「えぇ唯一の女王としてこのいかにも楽しそうな場を自身に眠る闘争心を抑えつつ静観しておりました。しかし、どうも血がたぎって仕方がない。そろそろ私も女王なんてやめる頃でしょうかね。」

「はっはっはっ!こりゃあ少し参加せんうちに皆言うようになった!あやつらにもそう言うとかんとな!…ところで、層王?お前はいつまでそんな意地の腐ったような人間のつもりなんじゃ?」

「何を言う!我ら先住民を追い出し、国を作りおったクソババが。」

「ぬしらが勝手に他国に逃げただけじゃろう?」

ソテツというババアは一通り王の皆に挨拶をした。
ここで、一つ彼女について紹介をしよう。彼女が初めてこの会議に参加した時、ある一言を初代王達に言い放った。そしてその翌日、新聞ではこう紹介されることとなる。【最高権力のクソババア ソテツ】と。そんなクソババアはマングスに近寄り…

「マングス..。このことはわしも一緒に獣王に説明してやる。安心せい!お前は獣人類の恥だとは誰も言わん!そして、このわしが言わせん!だから、獣王代理をしっかり果たせ!いいな。」

「ソテツ様…あなたにここまで気を使わせてしまって面目ないです…。
しっかり代理を果たさせていただきます。」

「様はいらん。わしは所詮ただのクソババアじゃ。ハッハッハッ」

と場を収めた。カケルが一区切りついたところで切り出す

「それで?ソテツ婆よ。なんで珍しくこの場にいるんだ?まさか死期が近いから記念に来たとか?まぁ神我捨が起きてもそんなことはないだろうがな。」

「カケルか。相変わらず機械っぽくないのがお前のいいところだ。なぜ来たか?それは…」

「あっそういえば婆ちゃんの国の子が今回の真伝式に参加してたね。それですか?」

「おぉそういえば貫が参加してたのう。忘れてた。忘れてた。で、どうじゃった?強かったか?」

「えぇ残り数分のところで俺の隙をついてきましたよ。でも、最後に他の参加者にハンマーにされてましたけど…。」

「ハンマー?ハッハッハッ!ざまあみろ!強はそんなに弱くないわ!
…って本題忘れるところじゃった。貫のことも気にはなっていたが今回ここに来たのには他の理由がある...。実はな…あのスサノオがまだ生きておるみたいじゃ。」

!!!!!?

王は一人を除き今回二度目の驚きだった。一番表情…というか身体に出たのは機械王カケルだった。

「カケル殿。兵器が体中から飛び出てますよ。」

「あっ!あぁすまない。一応護身用に装備してたのが出ちゃった。ごめんごめん。迎撃態勢オフっとこれで良し!…でソテツ婆それはマジの話か?どこでその情報を?ほんとにスサノオか?ズザノオとかじゃないのか?ああ!聞きたいことが機械の脳だからどんどん出てくる!」

「まあまあ落ち着け。今から詳しいことを言う。まず、生きていると言ったが、それが本物かどうかは現状わからない。最近この周辺でスサノオの名を名乗る者が現れた。という噂をわしの情報網から聞いただけじゃ。そこで少なくとも三つの説が考えられる。一つ目は誰かがスサノオを名乗っている説。二つ目は実はスサノオには子孫がいて、そいつがスサノオを名乗っている説。そして最後に、これはあまり現実味がないが本当にスサノオである説。このみっ…」

「おいおい…あの災厄に子孫がいたぁ?婆さん…歳でもとったか?そんな信憑性の低いことのためにわざわざここに?あんたもつまらない老人になったものだな...。」

「カケル…お前こそ脳の回路がさびたか?
人の話を遮るほどお前は落ち着きがない奴じゃなかっただろう?それとも何だ?怖いのか?かつて泣く子も黙る機械王様と呼ばれた奴が…?」

「そ、そそそんなことは無いぞ!こ、この泣く子も黙る機械王様が…。ス、スサノオぐらい…こ、この護身用装備で十秒も掛けずに倒せるわ!(本当はめっちゃ怖い。もし人だったら今ごろチビってる…)」

「ハッハッハ!さすがに天下のカケルもブルってオイルただ漏れか!」

(なぜばれた!)

「まぁ正直わしもションベンチビりそうじゃ!あれ?これは歳のせいか?ハッハッハ!…ってまた本題忘れるとこじゃった。えーと…オホン!さっき三つの説を言ったじゃろ?まず、最初の説はほぼ違うじゃろう。スサノオの名を知ってるのは一部の人間だけじゃ。じゃあ二つ目か?否、子孫がいるなら真伝式に来ているはずじゃ。つまり三つ目?いや、生きてても100は越えている。だが、聞いた情報と整合性に欠ける。ということは…」

(((((後継者がいる!)))))

「皆、同じことを考えたか。そう、忘れていた…いや、除外していた。第四の説…スサノオと師弟関係の者が表れた説。
奴に限って、子孫ならまだしも他人にものを教えるとは誰も考えなかったのじゃ。」

「あの~。話の途中に申し訳無いのですが…そのスサノオって奴は何者なんですか?」

「!そうかマングスは知らないか…まぁ獅子谷も今日のこの話題は予想出来ないだろうしな…。そうだな…一言で表すなら第三次求権戦争を終戦に導いた英雄…。悪く言うならあの戦争を私物化し、無意味な物にした災厄…。じゃな。」

「「「「「確かに!」」」」」

「な、なるほど…。問題の重大さがわかりました。」

「まぁそんなわけでそのスサノオの後継者らしき者が現れた。そいつが良い奴なら何も問題は無い…。だが、奴が教えるくらいの奴だ。正々堂々国を潰しに来るくらいの狂った奴…戦闘狂だと覚悟しておくことを勧めておく!」

そりゃ嫌でもそうするよ。と王達は思った。ソテツは続けて言った。

「で?今回はどんな議題だったんじゃ?ついでじゃわしも参加することにしよう。」

「意外に切り替えが早いですね。もしかして、内心楽しみにしてたりして…。
よし!では、改めて先導会議始めましょうか。今回の議題は無知…」

いよいよ本来の先導会議が始まった。その同時刻…ある森で一人の男?いや、女?が墓参りをしていた。

「じいちゃん…いや、ここは師匠とでも言ってあげましょうか。いよいよこの私が世界に名を上げる時が来ました。天で見ていてください!スサノオの名に恥じない生き方をして見せましょう。」







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