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保育園編

男の子のほうが一緒に遊んでいて楽しい。
虫と動物と車が大好き。

でもでも女の子のグループに入りたい!!

当時の私は男の子と遊びながらも彼女たちを観察することが日課だった。

そんなある日、自分だけ着ている洋服がちょっと違うことにふと気付く。
私が好きなのはフランスに住む親戚から送られてくる青とか黄色とか派手な柄の服。

でも可愛い女の子たちはそうでは無かった。

“おそろい”である。

ピンク。
お花柄。
サンリオ。

どこかしらに少しだけ共通点があるのだ。

身につけているみんなのことは可愛いと思うけれど、自分にはきっと似合わない。

私は誰とも同じようなものを持ってはいなかったし「変な服だね」と言われることもあったけれど「ううん、おしゃれだよ」って返事をした。

でも。

運動会の練習でのこと。

ある音楽がかかった途端に、女の子グループが一斉に色めき立ったのだ。
みんなで飛んだり跳ねたり手を繋いだり。

満足げな先生の顔も忘れられない。
若くて丸文字の可愛い先生だった。

その音楽は私も聞いたことがあったし、テレビで見たこともあった。

これなら私も好きになれる気がする!
みんなとおんなじができる!

とても嬉しくて。
ワクワクして。

高校生の姉に必死に説明して教えて貰ったその曲は、光GENJIのパラダイス銀河だった。

姉が録画していた番組のビデオテープを何度も繰り返し観た。

1番かっこいい人も見つけた。

どこにいたって見つけられる。

しゅっとしていてかっこよくて、お衣装も素敵。

私もみんなと一緒に盛り上がりたい。
だけれど、どうしてもうまく会話に入れない。

そんな中。

ついに私にも素晴らしいチャンスが訪れた。

光GENJIのグッズを手に入れることができたのだ。

どこで買ってもらったのかは全然覚えていない。

そもそも買ったのか?
どこかで作ってもらったのか?

なんの記憶もないのだが、とにかく公式か非公式かも分からないグッズを手に入れた。

問題はこれをいつお披露目するか、だ。

私のアイディアは母に猛反対されたけれど、親の言うことを大人しく聞くタイプでは無かったので「大丈夫だから!!」と押し切る形で実現に向かった。

決行の日。

私の通う保育園の体操服は、白を貴重としていれば自由だった。
運動会の練習時間に、私はそれをおもむろに取り出し堂々と着替える。
集まるのはクラスメイトの視線。

それなのに。
おかしい。

「光GENJIだ〜♡」のような声が一向にかからない。

一言くれたなら。

「光GENJIすき?あたしも好きなの!おんなじだね!」
って、用意していたセリフを言えるのに。

いつまで経っても言ってこない。

誰も。何も。

結局、用意していたセリフを言うことはなかった。

体操服として初めて袖を通したバカでかい大沢樹生の顔写真がプリントされたTシャツも、2度と着ることはなかった。

それを入れていたカーキ色の大沢くんのサインがプリントされたナップサックも、2度と使うことはなかった。

みんなの言う光GENJIは大沢くんじゃなくてかーくんのことだった。

そもそもバカでかいTシャツは、先生によりズボンに思いきりインされて。
オールバックとかろうじて目が見えるくらいだった。

怖いよ。

これが私のジャニーズ人生の始まり。

ジャニーズを好きでいればきっとみんなとおんなじで、仲良くなれる。
6歳の私はちょっとも疑うことなく、そう、信じていた。

アラフォーの、ねえ今もだよ。


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